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キャッシュレス・レスのレッスン

私の家業、持ち帰り専門の天ぷら屋では未だに現金のみ。

現金のみだと分かると、去っていく人も増えてきている。

私は、消費者としては結構キャッシュレスだ。

 GWの旅では初めてスマホでのSuica決済をやってみたが、滅茶苦茶早くて楽だった。

(福島県いわき市では、クレジットカードはokでもSuicaは使えない店もそれなりにあったが)

人手不足の最近は、きっと現金支払いでモタモタされるのも、店側は困るだろう。

ほとんどの決済がタッチで終われば、人件費を抑える効果もありそうだ。

会計の際に現金を出すと店の人の顔が一瞬イラッとするように感じる時もある。

全国規模のチェーン店などでキャッシュレスの決済額が大きくなれば、決済会社との交渉で店側が負担する手数料も下がるだろう。

逆に、個人経営のお店では、現金だけの店もある。それもよく分かる。飲み屋さんなんかだと、個人経営の小さなお店なら、現金のみの店のほうが魅力的なことがある。良いものを安く出そうと考えれば、キャッシュレスの手数料はありえない。

それでもお客さんが喜んで現金を用意して、飲みに来てくれる。

さて、うちの店の話だ。

現金のみだと知って、去っていく人はしょうがないと思っている。

一人で調理から接客までやっている時間が多いので、キャッシュレス対応にして、顧客サービスを増やして、手数料を取られてまでこれ以上忙しくなっても困る。(別に繁盛店ではないが)

最近、面白いことを始めた。

「あっ、現金だけですよね、すみません今、持ち合わせがないんです」という人の中で、小さなお子さん連れの方は、『ツケ』を試験的にした。

私が「こっちこそ、キャッシュレスに対応してなくてスミマセン。今度で良いですよ」というと、ほとんどの人は、「いやっ、それは申し訳なくて」とおっしゃるのですが、

「小さなお子さん連れの人には、『今度で良いです』とお伝えしていまして、みなさん喜んで持ち帰っていかれるので、お客さんも安心して持って帰ってください。」

というと、眼の前の人も安心して持ち帰られる。

小さなお子さんがいる子育ては24時間体制みたいなものだ。

小さな商店がやれることで、これもありかな、と思った。

今日も、返金に来られた人がいたが、その人は最近引っ越して来られたばかりで、初めてうちの店での買い物で、ツケだったそう。

その人は、すごくいい笑顔で、天ぷらが美味しかったと言ってくださり、私からお返しするはずのお釣りの数十円を、これは受け取って下さいとおっしゃった。

私はありがたく頂いた。

キャッシュレスの店なら、買い物をして、その場で決済が終わって、更にポイントも付くのに、うちの店ではわざわざ、また来店して余計に数十円お金を払ったことになる。

でも、この数十円は、私にとって、とても価値のある経験だった。

うちの店でのキャッシュレス化はもう少し遅らせて、ちょっとこのツケ払いを、まずは小さなお子さんがいる人から限定でやってみようと思う。

何十人かに一人くらい、返済を忘れる人が出るかも知れない。(一応、電話番号は聞いているが)

それでも、金融会社に手数料を払うよりは、なんか仕事をしていて面白いんじゃないかと。

もう、原価計算をしながらお金を稼ぐの、
つかれた。
面倒くさくなった。

なにか、ここから新しい世界が開けると良いなぁ。


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