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この仕事はクリエイティブじゃないよ? 勘違いされやすいオペレーター仕事3選

元WEBデザイナーが、デザインの仕事についてつらつらと書いていきます。今回は、クリエイティブの仕事の範疇だけれど、その実態は「クリエイティブじゃない」職種について語ります。職業訓練、スクールで学んでいる人や就活中の人に読んでいただければ幸いです。


クリエイティブな仕事をめざしていたのに、単純作業員になってしまうことがある

クリエイティブの仕事は企画、コンセプト立案、設計、要件定義、グランドデザインといった「コンセプトワーク」、概念、思考、アイデアの可視化、実体化をする「アートワーク」、紙媒体ならDTPオペレーション・印刷、WEBならコーディング、プログラミング、管理・運用、動画制作なら編集作業等を行う「フィニッシュワーク」まで、様々な工程を経て完成へと至ります。

実務未経験でクリエイティブな仕事への転職を行った場合、デザイン職等のアートワーク寄りの職種を希望している人でも、就職先の企業の方針でフィニッシュワークの仕事からスタートする場合があります。

また、自身の実力に不安があるからなのか、自分の意志でフィニッシュワークのオペレーション業務からまずは始めようとする人も見受けられます。

クリエイティブの仕事はどの工程でも「楽しいモノ作りの仕事」と勘違いしている人もいるかと思いますが、フィニッシュワークのオペレーション業務は、製造業でいうところのライン製造並みに単純な作業であることが多いです。

意外と「クリエイティブじゃない」職種3選

・DTPオペレーター

グラフィックデザインと混同される、あるいは境界線が曖昧になってきたせいか、クリエイティブな職業だと勘違いされがちな職種です。

DTPオペレーターの仕事は、印刷会社等に入稿されたデザインデータをその企業のレギュレーションに沿って、印刷物として出力できる状態に編集、加工するのが主な内容です。

基本的に作業内容にデザイン的要素が含まれることはなく、マニュアルやガイドラインに沿ってアプリの操作、出力機器のオペレーションを行います。その作業内容のほとんどは自由度の低い、単調な作業であることが多いです。

アナログとデジタルが混在していたDTP黎明期には必要とされていましたが、現在はグラフィックデザイナーでもDTPの知識を有していることが多く、完全データ版下で印刷会社へ入稿される機会が増えている事、広告としての紙媒体の衰退等にともない、将来性が危ぶまれる職業でもあります。

・HTMLコーダー

高度な技術を駆使したり、設計そのものを担当するフロントエンドエンジニアであればクリエイティブな仕事と言えますが、デザインカンプとガイドラインを渡されて、ひたすらHTML、CSSを書くだけのコーダーは、WEB制作の現場の単純作業の代表格と言えるでしょう。

デザインカンプを元にコーディングをしていると、プラモデルを組み立てている時と同じく、疑似的な「ものつくりをしている感覚」を得られるために勘違いをしてしまいますが、その本質は設計図通り、言われた通りにWEBページ組み立てる単純作業であり、クリエイティブな仕事とは言えません。

また、ノーコードツールの普及、AIの進歩に立場を脅かされつつある職種でもあります。完全消滅するような事は無いと思いますが、将来性があるとも言えないので、長期間続ける価値のある仕事とは言い難いです。

・動画編集

駆け出しの頃のつらかった思い出として「動画編集作業」を挙げる有名YouTuberを割とよく見かけます。実際にやってみるとわかりますが、思いのほか単純作業で苦痛を感じがちな仕事です。

個人依頼のYouTube動画編集等であれば、編集者のアドリブもある程度許されるのかもしれませんが、基本的に動画編集の仕事は、渡された素材を指示通りに繋いだり、音(BGMやSE)やテロップを入れたり等の単純作業であることが多いです。

そしてDTPやWEBと違い、時間軸を持ったメディアであるため、どんなに頑張っても作業時間の短縮に限界があります。時間を溶かしてしまう危険性の高い仕事だと言えるでしょう。

また、近年急激に参入障壁と専門性が下がったせいなのか、作業単価が暴落した分野でもあり、かかる手間と時間の割に単価が低く、ワーキングプアに陥ってしまう危険性をはらんでいます。ここで上げている3つの職種の中で最も危険性が高い職種ではないでしょうか。

WEBが得意な人であれば、動画編集に手を出すよりもコーディングあたりをやっていた方が作業時間も短く、効率よく稼げる可能性が高いです。

クリエイティブな仕事がしたいなら、フィニッシュワークは避けるべき

上記3つの職種については経験、練度が上がればキャリアアップが図れるのかというと、その可能性が低い職種でもあります。キャリアアップを図りたいのであれば、業務内容以外に目指す職種に必要な領域の技術、知識を学習、習得する必要があります。

オペレーター職からクリエイティブ職へのキャリアチェンジはハードルが高いと思っておいた方が良いでしょう。

グラフィックデザイナー、WEBデザイナー、UIデザイナーになりたいのであれば、最初から「デザイナー」を目指すべきです。DTPオぺーレーター、HTMLコーダーを経験してから、という考えは無駄な寄り道にしかなりません。

動画制作の場合は、企画立案、撮影の技術も身に着けて、制作工程を一貫して行えるのが良いと思います。編集だけが上達したところで単純労働であることに変化はありません。アートワーク、コンセプトワークに食い込むことを考えましょう。

いずれの場合でも、フィニッシュワークから入って這い上がるのは最初から上流工程を目指すよりも、余計な時間と労力を費やしてしまうことになります。

フィニッシュワークの業務は参入障壁が低く、短期間の学習でできるようになる仕事であるが故に、付加価値が付きにくい、経験を積んでもステップアップが難しい仕事である事を理解しておきましょう。


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