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駆け出しフリーランスデザイナーがWordPressの仕事に手を出すときに気を付けたい事

元WEBデザイナーが、デザインの仕事についてつらつらと書いていきます。今回は、駆け出しフリーランスデザイナーがWordPress案件を受注したいと考える時、受注した時に気を付けたい事について語ります。デザイナーを目指したい人、デザインを学んでいる最中の人、デザイナーを目指して就活中の人、駆け出しデザイナーに読んでいただければ幸いです。


サーバー、ドメインの契約、名義はお客様にしておくのが無難

Wix、STUDIO等のノーコードツールと異なり、WordPressでホームページを制作する場合は自身でサーバーを調達する必要があります。

クライアント側が既にサーバーを調達していれば、そのサーバーにWordPressをインストールして直接構築作業、または移築作業をすれば済みますが、クライアントがホームページ制作に関して素人だった場合は、サーバー、ドメインの調達から依頼される事があります。

その際にサーバー、ドメインの契約名義をクライアント名義でなく、自身の名義にすることで顧客囲い込みを計る業者が結構います。

囲い込みの手段としてはよくある方法ですが、後々クライアントとのトラブルに発展する事がよくあります。(筆者も主にリニューアル案件で、結構な頻度で巻き込まれたことがある。)

フリーランスとして個人で請け負う場合、瑕疵対応や責任を負う事、争い事をできるだけ避けたいなら、下手に囲い込もうとしないで、契約時の名義はクライアントにしておく事をお勧めします。

運用フェーズの事まで考えて作れないなら、手を出すのは時期尚早

WordPress導入を希望するクライアントの大半は、ホームページの管理・運用は自分達の手で行いたいと考えている人達です。

しかし、クライアントの「自分達でやりたい」の内容・程度によってはWordPressの管理画面、投稿画面の高度なカスタマイズが必要になる事があり、技術面、予算面を考えるとノーコードツールを選択する方が合理的な事も良くあります。

また、WordPressを使うのが妥当と判断される場合でも、クライアントのニーズ、運用方法等、運用フェーズの事を考えた企画立案、設計、構築が必要になります。

WordPressはノーコードツールと比べて、高機能で設計の自由度も高いですが、要件定義、設計の段階から運用フェーズの事を考えて作らないと、更新作業がやりにくい、扱いが面倒で手間のかかるホームページになってしまう事がよくあります。

クライアントの要望をヒアリングして、要件定義と必要機能の洗い出し、設計・構築ができるだけの知見と技術、ホームページの管理・運用に関する知識と経験が十分に無い状態でWordPress案件に手を出すと、痛い目を見る事もありますので注意が必要です。

既製品テーマ、プラグイン頼み程度では高額案件受注は難しい

高額な案件が多くあるから、という理由でWordPress習得を目指すデザイナーは多いと思います。しかし、既製品テーマの流用、機能追加はプラグイン頼み程度の技術力、ノーコードツールと同等か少し高度な事ができる程度では、思っていたほど高額にはならないし、高額な案件を受注できるには至りません。

WordPressが絡む高額な案件を発注する企業は、WEB制作、システム開発に関する知見を有する企業であることが多く、要求される内容も、ユーザーの要望に沿った機能のカスタマイズ、もしくはスクラッチでの機能追加であったりと、PHPを使ったシステム開発ができる技術を求められたりします。

そもそも業界全体の相場として、数で押さない限りデザイン+HTML・CSSコーディングができる程度の技術力、仕事内容で案件単価が高額になる事はまずありません。

WordPress案件で高額になるという事は、値段相応の高度なカスタマイズ、システム開発が必要になる、そのあたりの事情も加味したうえでの金額であると考えた方が良いでしょう。

機能面のカスタマイズは意外と難易度が高い

WordPressの機能面のカスタマイズは、普段からPHPを用いて開発業務を行っているエンジニアでも苦労する事があります。

他人が書いたコードの内容を解析しつつ加筆・加工を加えるのは、まっさらな状態からコードを書くよりも余計に手間がかかる事であり、また必要とされる技術力も意外と高かったりします。

筆者は過去に、クライアントからはWordPressをベースにしたいという要望のあったWEBサイトとバックエンドの構築・開発案件で、その内容についてエンジニアに相談したら「WordPressをカスタマイズするよりLalavelで独自開発した方が早いし、工数もかからない」と言われた事が何度かあります。

また、クライアントの要望通りWordPressをスクラッチでカスタマイズした結果、工数が無駄に膨らんだうえに、不具合を連発する、セキュリティ的な甘さが目立つという、実用性に乏しく質の低い仕上がりになった事例もありました。

WordPressの機能面のカスタマイズを検討する場合は、WordPressカスタマイズの実戦経験があり、それを得意とするエンジニアをメンバーに加える事を検討した方が良いと思います。

セキュリティ対策は万全に

ホームページ制作にWordPressが良く用いられる理由に、WordPressに関する知識、情報が豊富に出回っている事が挙げられます。

WordPressがオープンソースで内部構造を誰でも知る事ができる点、PHPという扱える人が非常に多い、人気のプログラミング言語で作られている点が、WordPress関連の情報が数多く出回る要因になっていると考えられます。

しかし、内部構造を誰でも知る事ができるという事は、詳しい人が見れば構造的な欠陥がわかるという事であり、悪意あるハッカー達に攻撃の隙を与えているとも言えます。

実際に、WordPressを利用したホームページに対する悪質なハッカーの攻撃は、ホームページの有名無名を問わず(月間PV数が100以下でも発見・攻撃される)起きていますし、実害が出るケースも後を絶ちません。筆者自身は攻撃されて実害が出た体験はありませんが、筆者の周囲で実害を受けた企業、個人は複数あります。

WordPressを使用したホームページの案件では、セキュリティ対策は万全に行う必要があります。自身がセキュリティ対策に詳しくない場合は、専門家を交えて対策を考える事も検討しましょう。

「デザインだけが得意」なデザイナーが単独で手を出すのはおすすめしない

WordPress案件と言っても、既製品のテーマ、プラグインを使えば何とかなる程度のものから、スクラッチで開発しなければならないほどの機能追加まで、その内容の幅は広く、難易度もさまざまです。

まずはクライアントにヒアリングして要望を把握しないと、どの程度の技術力が必要なのかがわかりませんが、コーディングスキルは初級程度、PHP、mySQL、サーバーに関する知識も無い「デザインだけが得意」なデザイナーが単独で手を出すのは無理な案件が多いと思います。

コーディングや開発技術に自信の無いフリーランスのデザイナーがどうしてもWordPress案件を受注したいのであれば、コーダー、エンジニアとチームを組むか、いざという時に頼れるように、専門家との繋がりを持っておくことをおすすめします。


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