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勝ち目が見えない戦いをどうするか?

令和2年度に新規参入した我々てんぷ畜産なんですが、紆余曲折あって就農計画を見直しています。理由はコロナだったり、借りてた農場を買うことになったり、賃貸借契約していた機械一式が使えなくなったりと就農当初と状況が変わってきたからです。

農業はスタートが特に大変なので国から補助や有利な融資をしてもらえる制度がいくつかありますが、飛び入りしてきた人が制度を使うのはなかなかハードルが高いです。ハードルを乗り越えても補助使えば事足りるというわけではなくてむしろ牛飼いは補助では足りない部分が多いと思います。

めぼしい補助制度をみると、融資3700万まで無担保無保証で借りれたり、年間150万円給付金が貰えたりします。ウチはこの二つを使ってるんですが現実的には厳しく儲かりません。

まず母牛を買うのに一頭当たり120万、餌代月2万円、その他治療費やらなんやら。
子牛が産まれたら、餌代が月1.5万、ワクチンやら薬代、治療費、、。

妊娠してる母牛を買ってきてから産まれるまで半年、そこから10ヶ月育てて競市に出すまで投資のみでその間に子牛が病気を拗らせたら競りでは叩かれ、死ねばパーになります。順当に行ったとしても、16ヶ月毎月餌代が掛かって例えば70万で売れた場合でも餌代(47万)を引けば、粗利で23万、月に割り戻せば1.4万円、そこから牛舎代、光熱費と引いていくと、、労働費は出るのかな?という状態ですね。(だから業としてするなら一定数以上の頭数が必要だと思います)

必要なのは餌や牛だけではなく、掃除するための機械、餌を運ぶ機械、牛舎となるので、普通に土地買って機械買って牛揃えて始めるなら3700万じゃ全然足りないんですよね。(さらに草作りをするなら、トラクターやら、堆肥散布マシーン、などなど)ということでオール借入でゼロからスタートの繁殖事業は毎年赤字と黒字の間くらいでやってます。

繁殖は右肩上がりに成長するためには、規模拡大がセオリーなので今回の計画変更も最大限借入して頭数を増やす計画を作って、昨年の夏の終わりくらいから、役場、JA、振興局の面々に相談しつつ計画を練ってきたんですが、やっぱりどう転んでも赤字になるのです。

どうしても勝ちの算段が見えないから今回は借入して外部導入で規模拡大は諦めようかと考えています。お金を借りて増頭するのではなく自分達の牛の範囲で子牛を売らずに残しながら増やしていく方向にするということです。自分の牛を残して増やしていくのはとても時間がかかるので、牛飼いだけで生活が成り立つまで何年かかるのだろうか。

今まで牛飼い以前から先の見えない戦いは沢山してきて、むしろ先が見えた事の方が少ないです。戦いながら武器を拾っていくイメージで挑戦してきて、できなくてもできるまでする!スタンスでやってきたので、今回の判断は負けたような気分になりました。

どちくしょー


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