テレワークは利益構造を変える

こんにちは。
少し前になりますが、非常に興味深い記事を見つけたので少しばかり考察を。
「外出禁止になって以降、音楽の消費が落ちている」という話です。


記事元はこちらになります。
"Music Streaming Is Down in the Time of Social Distancing"

要点は5つ。
・8%前後、ストリーミング再生数が低下
・デジタル版の音楽売上も10%ほど低下
・CDアルバム売り上げに至っては28%も低下
・Amazonでは生活必需品の注文が増加
・しかし、クラシック、カントリー、児童向け音楽の再生数は微増

ここから考えられるのは、現代の音楽消費は身体的動作と深く結びついているのではないかということです。具体的には移動運動です。
「音楽がどこでも楽しめるように」と、再生デバイスはCDコンポからスマートフォンへ、スピーカーからイヤホンへと移り変わりました。しかし、これは単純に「音楽が持ち歩けるようになった」のではなく、「音楽は持ち歩くためのものになった」と解釈することができます。テクノロジーが発達した故に、家で音楽を聴くという習慣が無くなりつつあるということです。

これは人間の特性に大きく関わっていると考えられます。
人間は90%弱の情報を視覚から取り込んでいます。しかし、音楽はあくまで聴覚情報です。全体の10%にも満たない聴覚情報のみで過ごす時間は、明らかに「不足している」のです。
家にいればYoutubeにせよNetflixにせよ動画が見られますし、ゲームもできますし、ゆっくり読書も出来ます。なので、「視覚メディア」に軍配が上がってしまうのは当然だと思います。特に動画視聴の普及は大きな影響を与えていると考えられます。

一方で家で音楽を聴く場合を考えると、料理や読書やネットサーフィン中など、何か作業をしている時がほとんどではないでしょうか。そして、この「作業と並行して聴く状態」に適しているのは歌詞のないインスト音楽、つまり、クラシックやカントリーなどです。(歌詞ありの曲は集中力を低下させます)
音楽を聴きながら新聞を読む、読書をするなどは昔からの典型的な過ごし方ですよね。

家にいても利用可能なストリーミング再生が低下しているというのは非常に驚きましたが、その背景にはこうした現状があるのかなと推測しました。


●テレワークはあらゆる利益構造を変える?

ここから考えられるのは、テレワーク化に伴い、あらゆる産業が利益構造を再検討する時期が迫っているのではないかということです。

音楽業界はストリーミング再生での収益が大きく落ちる可能性があります。そうなった時、オンライン販売に力を入れた上で再びCDに「所有する価値」を持たせるのも手かもしれませんし、ライブにおける更なる体験価値の向上やグッズ販売の強化等が考えられるかもしれません。

その他には化粧品の売り上げが低下したり、スーツの販売数が激減する可能性もありますね。公共交通機関の売り上げも低下するでしょう。もちろん移動機会が減ることは、自動車業界にとっても難しい問題です。

テレワーク化が進むとどうなるのか、人々の移動が減るとどうなるのか、働き方だけでなく企業戦略も見直す必要が出てきたなぁと実感しました。

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