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定額減税をめぐる議論の深まり~支持と懸念の狭間で議論が過熱~

定額減税とは、一定額の税金を減税する制度のことです。2024年6月の導入に向けて、国民の間で賛否両論が渦巻いています。そこで、今回は定額減税に対する世論の反応を分析していきます。


定額減税とは?

定額減税は、納税者本人と扶養家族1人につき、所得税3万円、住民税1万円の合計4万円が税金から控除されるものです。主な目的は、国民の可処分所得を増やし、消費を促進することにあります。しかし、減税によって国の財政が悪化する恐れもあり、議論の的になっています。

定額減税に関するアンケート

定額減税に関して、調査機関「しゅふJOB総研」の行ったアンケート調査では、定額減税について知らない人が多いことが明らかになりました。
アンケート概要:
・調査期間: 2024年5月15日~5月22日
・対象: ビースタイルスマートキャリア登録者/求人サイト「しゅふJOB」登録者408人

主な結果:
・定額減税を知らない人が40.0%に達した
・「家計が大いに助かる」「家計が少し助かる」が34.3%
・「家計に全く影響ない」「家計にあまり影響ない」が48.6%と、家計への影響を感じない人が多数

自由記述のコメントでは、定額減税を歓迎する一方で、以下の指摘も多数あった。
・物価高への本格的な対応が必要
・一時的ではなく恒常的な施策を望む声
・施策の内容がわかりにくい
・将来的な増税を懸念する声

このアンケート結果から、定額減税に対する認知度が思ったより低く、家計への実質的な影響も限定的と捉えられていることがわかります。一方で、対策の継続性や分かりやすさ、将来への不安など、様々な課題が浮き彫りになっています。

弊社のSNS分析

定額減税をめぐる世論の動向を探るため、弊社は Youtube上のコメントデータ601件を元に、世論が何に関心を寄せて、どのような態度を示しているかを図示しています。その結果、定額減税に対する世論の反応は、否定的(下図 negative)な意見が77.2%と最も多いことが判明しました。調査の対象や集計方法が違うので一概には言えませんが、前述の調査機関の結果と大きく乖離がある結果となりました。
下図からは「自民党」や「減税」といったキーワードに対する批判的な意見が目立ちました。定額減税を推進する自民党にとっても、国民の可処分所得を増やすはずの減税施策にとっても、世論の反応は必ずしも好意的ではないようです。

コメントの態度と対象
(negative:77.2% positive:7.4% neutral:15.4%)

減税という経済対策が、なぜこれほどまでに批判の的になっているのでしょうか。世論が懸念する点や理由についても追加分析を行いました。コメントデータを類似度ごとにグループ分けし、グループ別の割合と代表コメントを図示しています。上図の「自民党」に関するグループは3・4・6で、自民党に対する意見の中でも、対象が自民党の言動なのか、自民党の全体なのか異なるようです。また、「減税」に対しても、減税の制度設計や金額、対象だけでなく、政権に対する不信感についての意見が見られました。また、定額減税に対して肯定的な意見の中には、浮いたお金を貯金や子育てに充てるといった意見がありました。

グループ別の割合と代表コメント

まとめ

定額減税をめぐる議論は、有権者の年齢や収入水準、政治的な立場によって大きく分かれています。弊社の市場調査からは、定額減税に関して様々な立場の意見があり、単に賛成か反対かだけでなく、減税額の適正化や公平性、手続きの簡素化など、より良い制度設計に向けた建設的な意見が存在することがわかりました。

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