0328 人との距離 The Atelier des Lumières
東京で1日の感染者が3桁に突入し、いよいよ感染者の数が多くなっているこの時に、のんびり機材の記事ばっかり書いていていいのだろうかと思ってしまい、なかなか文字が進まなかった。
これだけの世界の劇的な変化の中をリアルタイムで過ごすというのは歴史の中でもそう多い事ではないかと思うが、こんなにも簡単に世界は変わっていってしまうんだ、という感覚がある人もいるのではないだろうか、私もその一人だ。
中国武漢の都市閉鎖が1月23日で、ダイアモンドプリンセスから全員下船したのが3月1日だ。ほんの一月前の出来事だ。
その時にはソーシャルディスタンスという言葉すら何のことだか通じないぐらいのタイミングだったと思う。
今現在スーパーで買い物をしていても人との距離をとても気にしている自分に気づく。こんな状況になるなんて思ってもいなかった。
コロナが現れてからと、コロナ以前とで、人の変化を決定的に感じてしまったのは、何を書こうか過去の写真を遡っていた時に2018年の夏にフランス、パリに行った際に見てきたThe Atelier des Lumièresの写真を見たからだ。
この時私は、初めてパリを一人で散策した。
一人でiPhoneの地図を頼りにパリの街を歩いた。知らない世界に入ったようだったが、この場所はネットで事前に調べていたし、映像を生業としている人間ならきっと一度は行ってみたい、それくらいの場所であったのでなんとしても見てみたかった。
どんな場所かというと
アートの世界に没入するのである。
この時はクリムトがテーマで床、壁にプロジェクションされたクリムトの世界が無限にループされる。140台以上のBarco製プロジェクターが使われている。
中に入った人は思い思いにその空間の中を歩き、座ってみたり、寝転んでもみたりもしている。
フランス人のアートへの考え方をダイレクトに受けたような気がした。
今この写真を見ていると、映画かなにかの撮影かな?と思うぐらい現実感がない。
皆好きなように過ごし、好きなようにクリムトと接している。
人との距離も、アートとの距離も限りなく近い世界だ。
コロナから戻った世界にこのThe Atelier des Lumièresは、また同じようにオープンすることができるだろうか。
それはいつになるかわからないし、同じように戻るかもわからない、もしかしたら入場制限や距離を空けて入らないといけないかもしれない。
しかし人はそれだけ変化することができるということである。
私はこの世界観がとても好きだなと感じたし、映像とアートの可能性をとてもビビットに感じた。
できることなら、日本でこれをやりたいと思ったし、そう実現できるように動いていた部分もある。
でもそれはコロナで簡単に諦めることなく大切に構想として持っていようと思う。 世界がコロナにこれだけダメージを受けたからには、きっと違う形で発展する文化や価値観があると思う。それを映像やアートと融合できるならばきっと新しい価値が創造できると思う。
そうなった時に日本でこんな素敵な世界観が実現できるならば何より幸せだと、そう思う。
夢をみれない、語りにくい時だからこそ、外出自粛を続けるいまだからこそ、未来に希望をもちつつの努力を今呼びかけられていていると思ったりしている。
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