わかった気になってもらうことの大切さ/アホの壁
僕の大学院の恩師は常々言っていた「アホなやつにはわかった気分にさせとけ」と。
暴論ではあるので少し説明を加えたい。
人にはそれぞれ得意分野がある。
人は誰でも打ち込んできた分野や得意な分野がある。例えばSEであれば案件の担当した部分におけるスキルはある程度あるだろうし、研究者であれば専門分野があるだろう。大酒飲みのオッさんは酒に酔って人生を満喫するのが得意なのかもしれない。
その得意分野の説明をきちんとすると、そのバックグラウンドやトレンド、なぜ自分のアプローチをそれにしたのか等込み入ったものになる。実に論理的だ。
しかし、実際問題、その分野において素養がない人間にとってそれを会話の中で短時間で理解すると言うのは困難である。
わかった気にさせる、大切さ。
例えば面談や面接等では、この場面がしばしば起こる。この時には多少のバックグラウンドを大幅に削ってもわかりやすさに内容を寄せる事で、「わかった気にさせる」のはとても有効だ。内容的には10のうち3でもいいだろう。
偉そーな顔してても、面接する人事の9割はそんなもんである。
わかってもらう大切さ
一方で、共に働くチームメイトには、これではいけないので全体フロー、そのペース配分、予測されうるトラブルなどしっかりと詰めて、「わかってもらう」ことが大切だ。貴方が十分な腕を持っているなら、貴方と言う巨人の肩に立ってもらう必要があるのである。内容で言えば10のうち8は理解してもらう必要がある。
チームの平均的な理解度を上げておくとプロジェクトはスムーズに動く。
情報密度の違い
素頭の良さ、素養、それまで培ってきた知識経験のネットワークによって人による理解度は異なるので、必要に応じて情報の密度を変える事で、話が早くなるのである。
僕は院生時代、後者の説明に終始していた。なぜなら相手は海千山千の教授陣なのだ。1聞いて10理解して、気を抜くと蜂の巣にされる。彼らは元が優秀かつ常にサバイバルなのでキレッキレなのだ。
だから世の中にでて僕は、世間はそんなスーパーエースばかりではないということを嫌味ではなく認める必要があった。得意分野もアホさも許容してわかった気になって貰うのは処世術として重要なのである。
もちろん、初めての分野では自分も他から見てアホなこともお忘れなく。