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気血津液精の相互関係

 気血津液精は、水穀の精微から生成されるもので、人の生命活動を成り立たせていくために重要なものです。

 気血津液精は個別の役割がありますが、東洋医学では、全体が繋がっているという考え方があるので、相互に強い関係があると考えています。

 例えば、「出血して亡くなってしまった」という状態を考えてみます。

 「気は生命力」「精は成長や生殖」という前提があり、「血は赤色の液体」です。「出血して亡くなってしまった」という状態だと、「血がなくなった」だけであり、生命力や生殖などの気・精は残っているので亡くなるというのはおかしくなりませんか?

 戦い、事故、病気などいろいろな人を見ていく中で、「出血が多い」と亡くなってしまうという当然の現象を目のあたりにしたので、「出血」は「生命力」が失われると考えられ、一緒に気や精なども不足していると結論づけたのではないでしょうか。

 これが東洋医学を分かりにくくしている部分なのですが、観察から作っていった医学ですし、全体に繋がりがあるというので、東洋医学に取っては重要で必要なことになります。

 病態や症状の変化としても、気血津液精の繋がりは非常に重要なので、ポイントをしっかりと抑えて理解したいところです。

 気血津液精の相互関係を理解するための一つのポイントは、「気の作用」と「気の種類」になります。

 気は物を作り(気化)、動かし(推動)、漏らさない(固摂)ようにする働きがあるので、気と血津液精との関係では、この3つが関わることになります。

 逆に気に対する働きは、生成したり、栄養したり、載せて全身に運ぶ働きが血津液精にあります。

 気についてまとまっているのはこちらになります。

1.精と気

 精は腎に貯蔵されていますが、この腎精から原気が生じることで、各臓腑や全身に気が満ち溢れることになります。

 精は、水穀の精微から化生されますが、これは気の気化作用が必要になります。精は腎に漏れないように蓄えられていかなければいけませんが、この漏れないようにする働きが気の固摂作用になります。

 気に問題が生じてしまえば、精を化生することも、精を固摂することもできないので、生成不足や精が漏れることがあります。

 精が不足してしまえば、原気を生じることができなくなるので、原気の不足に繋がってしまいます。

2.精と血

 精と血は、お互いに補い合ってサポートする関係にあるので、精と血の関係は精血同源(肝腎同源)と呼ばれ、身体や精神(神)の滋養に関係していきます。

 精と血はお互いに補い合う関係性があるために、精が不足した場合は、血が補い、血が不足した場合は精が補います。

 精の不足が続けば、血も不足します。血の不足が続けば、精も不足します。

3.精と津液

 精と津液は相互に補う関係にある訳ではありませんが、精と津液は身体を潤していく働きがあります。陰陽での分類では、精も津液も陰に該当するので、身体を冷やす役割もあります。

 血にも精と津液と同じような働きがあるので、精と津液だけではなく、血も合わさることで、身体の滋養、熱くなりすぎないような冷却を協力して行っていきます。

 例えば、精が不足して、滋養や冷やす力が弱くなってしまえば、血や津液が使われてしまうので、精と津液は相互補充する関係ではありませんが、協力して働いています。

4.気と血

 気と血の関係は、「気は血の帥」「血は気の母」と呼ばれ、血の生成・循環管理は気が行い、血は気を養う関係になります。

 気が行う働きのことを、生血(気の気化作用)、行血(気の推動作用)、摂血(気の固摂作用)と呼び、気によって水穀の精微から血を化生し、血を循環させ、血が漏れないようにしている働きになります。

 血は滋養する働きがあるので、臓腑をしっかりと滋養することによって、気の生成を助けていて、気を栄養する働きもあるので、「血は気の母」となります。

 血が循環していくためには、「活動力」である「気」が必要になるので、「血は気を載せる」といいます。

5.気と津液

 気と津液の関係は、津液の生成・循環管理は気が行い、津液は気を養う関係になります。「気と津液の関係は」「気と血との関係」とほぼ同じように考えることが出来るので、どちらかをしっかり理解できていれば十分です。

 気が行う働きのことを生津(気の気化作用)、行津(気の推動作用)、摂津(気の固摂作用)と呼び、気によって水穀の精微の液体部分から津液を化生し、津液を循環させ、津液が漏れないようにしている働きになります。

 津液は滋養する働きがあるので、臓腑をしっかりと滋養することによって、気の生成を助けていて、気を栄養する働きがあります。

 津液が循環していくためには、「活動力」である「気」が必要になるので、「津液は気を載せる」といいます。


6.血と津液

 血は脈内を流れている赤色の液体であり、津液は全身にある水分になります。血は水が必要なので、津液は脈内も流れて血の構成成分となります。

 血が不足すれば、脈外の津液が補充し、脈外の津液が不足すると脈内の津液が補充する関係があります。

 津液の不足は血に影響しやすく、血の不足は津液にも影響しやすくなります。

 津液と血は水穀の精微から化生され、相互に補う合う関係があるので、「津血同源」という考え方もあります。

7.まとめ

 気血津液精の相互関係は、東洋医学的な考え方である、相互補完の関係があるので、最初はなかなかイメージしにくいかもしれませんが、気の作用をしっかりと学習しておくと理解しやすくなります。

 気血津液精は、陰陽分類では、「気は陽」「血津液精」は陰になるので、陽である気と、血津液精のどれかの関係を一つでもしっかりと理解しておけば、他は応用しやすい考え方になります。

 血津液精は陰液とも呼ばれ、相互補完する関係があるので、血の不足は津液の不足、精の不足にも影響しやすくなります。精の不足も同様に血・津液の不足を生じやすく、津液の不足も同様に血・精の不足を生じやすくなります。

 東洋医学を考えていくときには、臓腑はもちろん重要ですが、気血津液精も非常に重要なので、しっかりと理解したい項目の一つです。

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