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CKTC
2015年8月7日 11:12
暗く暖かい部屋で眠っていると「ひゅうっ」と小さく音を立てて、冷ややかな風が吹いたような気がした。どこの隙間から入り込んだのだろう、と手のひらの感覚を頼りに壁を探ってみる。ザラついた壁紙は、無限に続くかのような単調なリズムでそこに張り付いている。指先に伝わる無機質な感触は、無表情なあの人の顔によく似ている。この部屋のどこかに、ついさっき芽吹いたばかりの、棘のある植物が置かれていて、い