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日本選手権⑦ 4日目速報&東京五輪内定選手一覧

男子110mハードルで泉谷が驚異の13秒06! 日本新&今季世界3位!
5000mの廣中と新谷は10000mに続き2種目目の代表内定

●男子110mハードルと走幅跳で今季世界上位記録が誕生

 日本選手権最終日(6月27日・ヤンマースタジアム長居)は12種目の決勝が行われ、男子110mハードルで泉谷駿介(順大)が13秒06(+1.2)の日本新で優勝した。この種目は近年、人材が次々に育ち、18年に金井大旺(ミズノ。当時福井県スポーツ協会)が13秒36と、14年ぶりに日本記録を更新すると、19年には髙山峻野(ゼンリン)と泉谷駿介(順大)も13秒36の日本タイをマーク。髙山がその年のうちに13秒25まで日本記録を縮めると、今年4月に金井が13秒16まで更新していた。
 しかし13秒06は、誰も想像できなかった記録だった。今季世界3位という世界トップレベルの記録で、東京五輪での決勝進出だけでなく、メダルの可能性も出てきた。
 前日本記録保持者となった金井が13秒22で2位、元日本記録保持者の髙山が13秒37で3位。3人が東京五輪代表に内定した。
 男子走幅跳では橋岡優輝(富士通)が8m36(+0.6)の日本歴代2位記録で優勝。城山正太郎(ゼンリン)の持つ日本記録に4cmと迫った。この記録も今季世界5位タイと世界レベル。18年のU20世界陸上で金メダル、19年の世界陸上ドーハ大会8位入賞など、橋岡の特徴が国際大会の勝負強さであることを考えると、メダルも不可能とはいえないところに来ている。
 男子走幅跳は2位の津波響樹(大塚製薬)、3位の城山も標準記録を突破していて、上位3人が東京五輪代表に内定した。
 男子200mでは小池祐貴(住友電工)が20秒46(+1.0)で初めて日本選手権を制した。「負け続けていましたから、勝つっていいですね」と心情を吐露した。小池は五輪代表に内定した。

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●女子5000mに代表内定済み選手3人が出場

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 女子5000mは、10000mで代表に内定している廣中璃梨佳(JP日本郵政グループ)が15分05秒69で優勝。同様に10000mで代表内定済みの新谷仁美(積水化学)が2位に入り、2人とも2種目目の代表に内定した。
 また5000mですでに代表に内定していた田中希実(豊田自動織機TC)は、800 mで3位に入った35分後に5000mにも出場。終盤で新谷と競り合う見せ場も作り、15分18秒25で3位に入り長距離関係者をも驚かせた。
 標準記録は突破できなかったが、男子やり投に80m88で優勝した小南拓人(染めQ)は、7月1日に世界陸連が発表する世界ランキング次第では、この種目の五輪出場人数枠(32人)に入ってくる可能性がある(日本選手権前は29番目)。
 女子200mは兒玉芽生(福岡大)が23秒46(-1.0)で優勝。一昨年は200m、昨年は100mでタイトルを取っていたが、今年は100mと合わせ2冠を達成した。
 日本歴代上位記録が誕生したのが男子800 mと砲丸投。800 mは田母神一喜(阿見AC)が1分46秒68の日本歴代8位で初優勝。砲丸投は武田歴次(栃木スポ協)が18m64の日本歴代3位タイで2年ぶり2度目の優勝を果たした。
 大会全体で日本新記録が男子110mハードルと3000mSC(三浦龍司=順大=が8分15秒99)の2種目で樹立され、大会新記録が4種目で7個誕生した。
 最優秀選手には男子が泉谷、女子はやり投に優勝し五輪代表に内定した北口榛花(JAL)が選ばれた。
【泉谷駿介】
「率直にうれしいです。(13秒0台は)ここまで来たな、と思いました。13秒1台は競技人生の目標として考えていましたが、13秒0台が出たことにはビックリしています。いつもよりハードルにぶつけず、しっかり行けたことがよかった。公認で13秒0台はオリンピックでも戦っていけるタイム。本番まで、特に変わったことはしないで、このまま行くイメージで。決勝に進出して、しっかり入賞したいと思います」
【橋岡優輝】
「前半の2本でファウルをしてしまい、3本目でようやく公認記録を残しましたが、オリンピックでは絶対にやってはいけない失敗です。その後8m36まで記録を伸ばしましたが、日本記録(8m40)の更新も狙っていました。一歩及ばずでした。1本目のファウルは完全に緊張が原因です。2本目は修正しすぎて助走が走れすぎました。3本目はスタート位置は下げましたが、攻めた助走をしたなかで8m27を跳ぶことができました。オリンピックでは今回の再現するのは最低限として、8m50でメダルというところを目標にしています」

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●今大会で東京五輪代表に内定した選手

<男子>
▼100m
多田修平(住友電工)
山縣亮太(セイコー)
▼200m
小池祐貴(住友電工)
▼110mハードル
泉谷駿介(順大)
金井大旺(ミズノ)
髙山峻野(ゼンリン)
▼400mハードル
黒川和樹(法大)
安部孝駿(ヤマダホールディングス)
▼3000mSC
三浦龍司(順大)
山口浩勢(愛三工業)
青木涼真(Honda)
▼走幅跳
橋岡優輝(富士通)
津波響樹(大塚製薬)
城山正太郎(ゼンリン)
<女子>
▼5000m
廣中璃梨佳(JP日本郵政グループ)
新谷仁美(積水化学)
▼やり投
北口榛花(JAL)

TEXT by 寺田辰朗
写真提供:フォート・キシモト

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