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2019/09/22 風をよむ「台風15号の教訓」

・相次ぐ災害、毎回"想定外"の被害

・インフラ設計条件を超える災害増加で被害長期化

・温暖化進むも高まらない関心。被害から何を学ぶか


関東地方を襲った台風15号。

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深刻な被害を残した理由は、千葉市中央区で観測史上1位となる最大瞬間風速57.5mの強風でした。

千葉県内のゴルフ練習場では、ネットを支えるための支柱が倒壊。そのまま、付近の住宅の上に倒れ込んでしまっています。さらに・・・

被災者「朝明るくなってきて、上がってきたら屋根がなくて外壁がなくてさ・・」

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台風通過後の被災地には、ブルーシートに覆われた民家が、軒を連ねる異様な光景が展開。

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建築基準法では、台風などを想定して、地域ごとに、建築物が耐えうる風速の基準が定められていますが今回、被災した館山市や鋸南町などでは、その基準は、風速38m。

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風速50mを超えた台風15号の強風は、この基準をものともせず、民家の屋根を剥ぎ取っていったのです。その結果、千葉県内の建物被害は1万棟以上に上っています。

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この強風による被害は、建物だけにとどまりません。推計で2000本の電柱が倒壊。

これにより、県内の至る所で、大規模な長期停電が発生し、被災地の人々を苦境に追い込んでいるのです。

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被災者(16日)「こんなに一週間も停電になったのは初めて。」

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携帯電話の充電ができず、君津市役所には200人以上が充電を求めて押し寄せる事態に。

停電で給油ができなくなったガソリンスタンドでは、競輪選手がペダルをこいで、ガソリンをくみ上げる光景も・・

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電柱に関しても、国の省令では、風速40mの強風でも倒れないように設置すると定められています。しかし、その基準さえも、台風15号の強風は超えてしまったのです。
  
減災・復興支援機構の木村理事長は、

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木村拓郎理事長(減災・復興支援機構)「風がこれだけ強くて、千葉県ほとんど全域みたいな形で、被害を受ける災害というのは、近年ほとんど聞いたことがない災害だったと思う。設計条件と言いますかね、それを超えるような風が吹いてしまった。そうなると、我々の災害に対する考え方をかなり変えていかなければいけない。従来の、まあ大丈夫じゃないかという非常に安易な予測というのは、はっきり言って、通用しなくなっている」

過去の予測が通用しない、気候変動の現実。これからさらに厳しくなると言うのです・・・


去年の台風21号(2018年9月)「うわー横転や」

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西日本豪雨(2018年7月)「あ~怖いよ~」

去年7月の西日本豪雨では、15府県にまたがって被害が発生。222人の方が亡くなるという、異例の事態になりました。

また去年、関西を中心に猛威を振るった台風21号。全国で14人の命が奪われた、この台風では、関西国際空港の連絡橋にタンカーが衝突するという不測の事態も発生。

年々、激しさを増しているかのように見える気象現象。国立環境研究所の江守さんは・・・

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江守正多副センター長(国立環境研究所 地球環境研究センター)「温暖化によって海水温度が上昇し、(台風の)勢力が強くなっている。温暖化が進めば、海水温がこれからも上がるので、より強い台風がこれからも接近したり、上陸する可能性が高くなっていくと思います。」

勢力が強まる台風の背景には、温暖化の進行があるという江守さん。   さらに、

江守正多副センター長(国立環境研究所 地球環境研究センター)「今、日本においては気候変動問題というのは、プライオリティ(優先順位)が高いとは言えない。多くの国民が、関心をあまり持っていないことが、政治的なプライオリティ(優先順位)が上がらない大きな原因の一つ。温暖化を止めなくてはいけない、ということにぜひ目を向けて、そちら側の意識を高めていって頂きたい」

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20日、ニューヨーク、ロンドン、ベルリン、東京など世界150カ国以上で行われた、気候変動への取り組みを求める大規模集会。主催者によれば、400万人以上が参加したといいます。

温暖化への危機感が大人は薄いと、若者らが立ち上がり、政府に抜本的な対策を求めたのです。

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台風15号の上陸から、2週間近くたっても千葉県ではおよそ3100軒が停電のまま。地球環境が大きく変わり始めた今、台風15号が残した教訓を、どう、汲み取っていけばいいのでしょう。


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