2021年5月2日放送 風をよむ「SDGs・持続可能な世界」
中国の内モンゴル自治区で発生した大規模な黄砂。今年中国で発生した黄砂は過去18年で最多です。さらに・・
ロシアのハバロフスク。川にあふれた流氷がフェンスや電柱を破壊。 去年の洪水で、水位が上昇したまま凍結した氷が流れ出たといいます。
またインドでは、ヒマラヤ山脈で氷河の一部が溶け出し、崩落。少なくとも18人が死亡し、200人以上が行方不明になりました。
気候変動が一因とも思われる、異常な事態が相次ぐ中、オンラインで開かれたバイデン大統領主催の気候変動サミット。そこではこんな声も、
ドイツ・メルケル首相「アメリカが、また気候対策に参加してくれてうれしい」
トランプ前大統領が、温室効果ガスの大幅削減をめざすパリ協定からの離脱を表明しておよそ4年。気候変動に対する動きが再開したのです。
二酸化炭素排出量が世界第1位の中国、2位のアメリカなど、40の国・地域の首脳が温室効果ガスの排出削減を巡り、発言しました。
アメリカ・バイデン大統領(22日)「アメリカは2030年までに温室効果ガスを半減させる道を歩み始めた」
中国・習近平国家主席「二酸化炭素の排出量を2030年までに減少に転じさせ、2060年までの実質ゼロ実現を目指します」
人権問題で激しく対立する中、前向きな姿勢の米中の首脳。さらに・・・
イギリス・ジョンソン首相「イギリスは1990年レベルでCO2排出量を約42%削減、経済は73%成長した。環境と経済は両立するのだ」
強気な意見もあれば、水没の危機を訴えた国も・・・
マーシャル諸島・カブア大統領(22日)「私たちは海抜わずか1mという 低地の国で、今、気候変動の嵐の中で難しい舵取りを迫られている」
そして、日本は、
日本・菅首相「2030年度において温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指します」
姿勢に違いはあるものの、気候変動への取り組みには前向きの各国。しかし、この日、アメリカ下院の委員会にオンライン出席した18歳の環境活動家、グレタ・トゥンベリさんは・・・
環境活動家 グレタ・トゥンベリさん(22日)「あなた方のような権力者は、この問題から逃げられると、いつまで思っているのですか?気候変動がもたらす危機や、CO2排出という問題について、責任を問われる事なく無視しつづけることができると、思っているのですか?」
不満を表明したのは、トゥンベリさんだけではありません。
インドネシアではダンスで、コロンビアでは11歳の少年が、植樹で、気候変動の危機を訴えました。
そして日本でも、およそ100人の若者が、温室効果ガスの削減目標への抗議の声を上げました。
23歳女性「地球を犠牲にしてここまで成長してきた、というところがあるのに、それを省みず、今までの延長線でしか、目標を立てられない、今の日本政府の目標の立て方が問題」
17歳男子「これだけ多くの若者がすでに声を挙げ始めていると言うことを是非多くの人に知ってほしい」
こうした若者の多くは、1990年代の半ば以降に生まれた、いわゆる“Z世代”。これからの未来を担う立場の彼らは、繁栄を享受しておきながら、気候変動などのツケだけを、自分たちに遺していく世代に、強い不信感と憤りを感じているようです。
気候変動への不安が高まる2015年、国連は、世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べ2度未満、できれば1.5度までに抑えるために、温室効果ガス排出量の削減を目指す、とするパリ協定を採択。
一方で国連は、気候変動対策、地球環境保護などの、目安となる17の目標を提唱してきました。それが「SDGs=持続可能な開発目標」です。そこには「環境」にとどまらず、「生物多様性」「貧困」「男女平等」など人類が解決すべき、多くの課題が示されています。ただ、ここで示された課題が、解決に向かうかどうかは、判りません。
持続可能な世界の実現について、生命のありようを見つめつづける科学者、中村桂子さんは、
JT生命誌研究館 中村桂子名誉館長「今コロナという問題、核の(ゴミの)問題、それから気候変動の問題、一見別々のように見えるけど、よく考えると、人間は生き物で、自然との関わりを、いかに上手にやっていくかという問題が、全部そこにある。20世紀って科学技術をものすごく進めた時代。ただその時に、自分は、自然の外にいて、自然をコントロールできるという思いでやってきた。だから事故が起きると“想定外”という言葉を使ってしまう。この20世紀の生き方を、もう一回考え直さないといけないんじゃないかな。次の世代に自信を持って、あなたたちにお渡ししますよって渡すためには、どうしたらいいだろうって・・・」
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