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2020年11月29日「風をよむ~ SDGsと資本主義」

いま、自動車の世界で起きている変化…
それは、ガソリンエンジンのみに頼らない、クルマづくりです。

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日産自動車 星野朝子副社長「ゼロエミッションということで排気ガスを出さない社会に貢献する。電動化をさらにスピードアップしていきたい」

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11月23日、日産自動車は来月発売する小型車について、ガソリンエンジンのみのタイプは、すべて廃止すると発表。

世界の自動車メーカーは、「脱ガソリン車」に向けてその舵を切っているのです。

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一方、ペットボトルや食品トレーなどを扱う、サントリーや東洋紡などの会社は共同で、プラごみの再利用に取り組む新会社を設立すると発表。

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サンントリーHD 新浪社長「(プラスチック問題は)決して先送りできない世界的課題であります」

2027年までに、再資源化する技術の実用化を目指しています。

経団連の中西会長も…

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経団連・中西宏明会長(11月19日)「この地球に対するサスティナビリティ(持続可能性)、これを企業活動の根本に入れなければならない」

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企業だけではありません。7月に導入されたスーパーやコンビニでのレジ袋の有料化。私たち消費者もまた、プラスチック削減のための努力が求められているのです。

こうした取り組みの背景にあるのが、2015年、国連で採択された「SDGs=持続可能な開発目標」です。  

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シンボルとされるのが17色のカラフルなマーク。それぞれの色が、
「持続可能でよりよい世界を目指す」ための17の目標を表しています。

そこには、「13.気候変動に具体的な対策を」「14.海の豊かさを守ろう」、「15.陸の豊かさも守ろう」といった環境問題、「1.貧困をなくそう」「2.飢餓をゼロに」といった貧困問題への取り組みが掲げられています。

ところが現在…

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世界気象機関(WMO):ペッテリ・ターラス事務局長「大気中の二酸化炭素の濃度は、危険な水準を、去年すでに突破し、今年も上昇を続けている」

WMO=世界気象機関は23日、気候変動の主な要因である「温室効果ガスの排出量」が、去年、観測史上最も高くなり、今年も改善の気配は見られないとしたのです。

また貧困を巡る問題についても…

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国連:モハメド゙副事務総長「新型コロナのために数百万人が貧困に逆戻りしつつある」

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国連のモハメッド副事務総長は、今回の新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、数百万人が再び貧困に陥ったと発表。

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WFP=世界食糧計画の推計によれば、新型コロナで飢餓に直面し、緊急援助を必要とする人は、およそ2億7千万人に急増。去年の2倍近くに増加し、「飢餓パンデミック」とさえいわれる状況に達しているのです。

このままで、本当に「持続可能な社会」は実現可能なのか、
その問題を考えるキーワードがあります…。

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ノーベル賞化学賞受賞 パウル・クルッツェン氏 「人類は活動を拡大し、 『人新世(ひとしんせい)』の、新たな時代の扉を開いた―」

オゾン層破壊の研究でノーベル賞を受賞したパウル・クルッツェン氏が提唱した、「人新世(ひとしんせい)=アンスロポシーン」という言葉。

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人間の経済活動が、地球環境に壊滅的影響を及ぼすようになってしまった新時代を表す言葉として、注目を浴びています。

経済思想家の斎藤幸平さんは、こうした人間の経済活動と、地球環境との関係について…

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斎藤幸平さん(大阪市立大学大学院准教授・経済思想) 「『人新世』の危機という形で、今非常に多くの問題が起きている。ではこの根本原因は何かというと、やはり資本主義という経済システムにある。無限の経済成長を資本主義は目指すわけです。でも無限の経済成長を、有限な地球で推し進めていこうとすると、やはりどこかで限界が来る」

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そして、斎藤さんは、資本主義による利益の追究は、結局、人々の「格差」を拡大し、さらなる「環境破壊」をもたらすといいます。

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実際、温暖化の原因のひとつ、二酸化炭素を、世界人口の上位1%の超富裕層は、下位50%の人々が排出する量の、およそ2倍を排出しているというデータが発表されています。

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斎藤幸平さん(大阪市立大学大学院准教授・経済思想) 「富める者がますます富んで、そのお金を使って地球を破壊している。気候変動が進行していくと、一番大きな被害を受けるのが貧しい人たち。だとすれば、経済成長というものだけを、際限なく目指すような社会から脱却して、資本主義そのものをスローダウンさせていく必要がある」

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SDGsは本来、「いま、正しい選択をすることで、"将来の世代"の暮らしを持続可能な形で改善することを目指す」ものとされています。

どういう選択をし、どういう形でこの世界を将来の世代に渡すのか。そのための知恵が今、私たちには求められています。

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