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コロナ危機と報道カメラマン シリーズ「いま届けたい」③

聖火リレーが通るはずの桜並木、家族連れで賑わうはずのイルカショー、無人の公園に咲く満開の藤棚ー。新型コロナ禍により想定外の風景が日常となった。TBS報道局のカメラマンたちが映像にこめた思いをつづる。


横浜で生まれ育った私は小さい頃から家族で何回も横浜・八景島シーパラダイスを訪れました。ここへ来るとイルカのショーが楽しみで、いつも早めに行って席を確保したのを覚えています。好きな人とデートしたこともありました。いつか自分が家庭をもったときにはパートナーや子どもを連れて行きたいな・・・私にとって”シーパラ”は「いつでも行くことが出来る」場所、のはずでした。その前提が新型コロナによって崩れました。シーパラに行けなくなった私は『#休園中の動物園・水族館』動画をSNSで見るようになり、いつもと違った動物たちの姿に癒やされていました。シーパラの今の姿を届けたい・・・さっそく取材をすることにしました。

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非常事態宣言を受け休園中のシーパラ(4月23日撮影)。現場につくと、過去に見た活気があふれみんなの笑顔が印象的な光景とは真逆の、ガランとした今まで見たことのないシーパラダイスが広がっていました。

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無人の園内をペタペタと走るペンギンたち、自由にお散歩です。

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くーくーというシロイルカの元気な鳴き声。「みんなこんなに元気だった・・・」胸がホッとしました。

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休園中であっても動物たちは大忙し。いつ再開してもお客さんに楽しんでもらえるように、イルカたちは毎日同じ時間にショーの練習を行っていました。

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感染拡大防止のため、2班制にしている飼育員さん達は、餌やりや個々の体調管理に目を配りつつ、施設の掃除をこなしていました。

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また、自分のスマホを使って動画を撮影し、SNSを通じてお客さんに届けようとしていました。

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取材の最後に外観を撮影していた際、空を見上げると曇り空のなか虹がかかっていました。しっかりとしたアーチ状の橋になっていて、まるで封鎖された八景島にかかった希望の架け橋に思えてしまい涙が溢れました。「自粛期間中、外出できなくても家で水族館を楽しんでもらえるように…」そんな飼育員さんの想いを私が視聴者に届けたい。撮影した映像を見ながら、私は初めての編集作業に取りかかりました。想いを詰め込めたVTRは1分半の尺でした。

【JNNニュース 4月27日放送】

取材に行った私自身がこんなに癒されるほど、動物たちの人を癒す力は大きかったです。もちろん直接会えたら一番ですが、今はそれが出来ません。
テレビ越し、スマホ越し、映像越しでも想いは伝わると思います。ニュースを見た人に少しでも癒しと元気が届きますように。

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取材:鋳延 佳奈 カメラマン

2014年入社。報道の現場でカメラ・音声・照明・中継など様々な業務を行う。大切にしているのは…1人の視聴者として『みんなと同じ目線』からニュースを届けること。動物大好き(特に犬)。姪っ子に夢中。