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“森友自殺”遺族側会見。佐川元理財局長と国を提訴。亡くなった赤木俊夫さん(当時54)が残した手記。

「すべて佐川理財局長の指示です」
「森友学園」を巡る財務省の公文書改ざん問題で自殺した近畿財務局の男性職員が書き残していました。きょう、この男性の妻が真相を知りたいと財務省と当時の佐川理財局長を提訴。会見の概要をまとめました。

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出席者 遺族側代理人 松丸正弁護士(左)、 生越照幸弁護士(右)


「佐川さん、どうか本当のことを話してください」

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生越照幸弁護士:
まず原告のメッセージを読み上げさせていただきたいと思います。

夫が亡くなって2年経ちました。あのときどうやったら助けることができたのか、いくら考えても私には助ける方法がまだみつかりません。心のつかえがとれないままで夫が死を決意した本当のところを知りたいと思っています。夫が死を選ぶ原因となった改ざんは誰が何のためにやったのか、改ざんをする原因となった土地の売り払いはどうやって行われたか。真実を知りたいです。今でも近畿財務局の中には話す機会を奪われ、苦しんでいる人がいます。本当のことを話せる環境を財務省と近畿財務局には作っていただき、この裁判で全てを明らかにしてほしいです。そのためにはまず佐川さんが話さなければならないと思います。今でも夫のように苦しんでいる人を助けるためにも、佐川さん、どうか、改ざんの経緯を、本当のことを話してく
ださい。よろしくお願いします。

以上がメッセージです。


被告は国と佐川元理財局長

生越照幸弁護士:
被告は国と佐川、おふたりとなっています。国に対しては1憶712万8017円、佐川に対しては550万円の請求を立てています。
目的なんですけれども、大きく分けてこの訴訟の目的は3つあるという風に考えています。まず赤木俊夫さんがどうして自殺に追い込まれたのか、その原因と経緯を明らかにすることにあります。2つめは、行政上層部のある種「忖度」と「保身」、そういう判断に基づいて一番やはり苦しむのは現場の末端の職員でありますから、現場職員が二度とこのようなことで自殺しないように、ということが2つめの目的です。3つ目は配布した資料にもありますが、赤木俊夫さんはご自分で事の顛末を説明したかったという遺志があります。その遺志を継ぐことがこの訴訟の3つ目の目的ということになります。

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(赤木さんが残した手記)


残された道は訴訟しかなかった

生越照幸弁護士:
なぜこの訴訟をせざるを得なかったのかということは非常にこの訴訟の中でも重要だと考えています。端的に言いますと、財務局も財務省も赤木俊夫さんの死に対してちゃんと向き合ってこなかったと。原告は妻としてどうやって夫が死んだのか、ということに関して、佐川にも代理人を通じて手紙を書いたり間接的に話を聞こうとしたんですけど残念ながら回答はちゃんと返ってこなかったと。原告は「ちゃんとお墓参りに来てほしい」と麻生大臣のみならず佐川さんについても、お墓参りに来てほしいと希望を持っていたんですけど行政の職員のほうが結局、具体的にどうなったのかはわからないですけど、最終的な麻生大臣の答弁は「遺族が来てほしくないと言ってるから行かないんだ」という趣旨のことを国会で答弁している。そのことによっても原告は非常に傷ついたのですね。提訴に至った1番最後のダメ押しは、これも公開していますけど公務災害の認定を原告は受けています。公務災害の認定に関して、情報公開請求を行いましたけれども出てきた資料は本当に真っ黒で、過剰なまでに真っ黒でなにもわからない、というところで、やはり原告としては、なぜ夫が死んだのか、まあ任意で尋ねても教えてもらえない、情報公開しても教えてもらえない。そうなるともう「残された道は訴訟しかない」ということになり、やむなく訴訟に至った、というのが事の経緯であります。

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佐川氏を提訴した理由

生越照幸弁護士:
国家公務員は基本的に個人責任を負いません。最高裁で負わないという判決があるので佐川個人を訴えても不法行為は基本的に彼は負わないということになっています。佐川に対する請求は二段階になっています。1つは改ざんを指示したことの違法性です。これは彼が公務員であったときの行為の過失と問うてるわけですね。これはおそらく国家賠償法が適用されるでしょう。2つめは原告からの先ほどお話しした、説明とか謝罪に関して、退職、公務員を辞めてからその要望が来てるのに無視をし続けたというところをとらえてこの違法性を問うてます。この部分は公務員だという言い訳が立たないということには一応なっています。

特に本件で我々が重視しているのは、池田統括という方がいらっしゃって、赤木さんの直属の上司なんですけれども、彼が原告のご自宅に焼香に訪れた際に「赤木さんは改ざんに関してかなり詳細なファイルを作っていた。そのファイルを見れば、誰の指示でどこを改ざんしたのか一目瞭然になっていた」というようなことを述べています。「パソコンのデスクトップにメモがあった」と。「改ざんのことを記録したメモがあった」というふうにもおっしゃってます。なのでこの訴訟のなかではそのファイルとメモの存在はまだ明らかになっていないんですけど、上司が原告にお話しされてるところを見ると存在自体は蓋然性は高いのではないかと思っています。なので「これを出せ」ということを被告に求めていく、という方向で考えています。

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(赤木さんが残した遺書)


「 官僚組織の中に赤木さんのような方がいたことに感動」

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松丸正弁護士:
罹災者の方は真面目で几帳面で部下に対する他者配慮に満ちた方です。部下をかばうためにいろんな抵抗をしています。部下が改ざんをしないように自分で責任を負うような形で他者配慮に満ちた方。しかも有能な官僚であったわけですね。この赤木さんを自殺に追い込んだわけ、理由について今回の法務上に認定されたもの、これ真っ黒なんですよ。みなさんの資料にありますけど。要するに、いつ発病したか、平成29年7月10日に災害が発生した、そしてうつ病を発病したと。それ以外のことはほとんど、じゃあどうしてうつ病を発病したのか、自殺に至ったのか、それについてはほとんど、真っ黒。結局亡くなった理由については全く語られていません

そしてもうひとつは赤木さんが、自分の死をもってまで抵抗し、守り、訴えようとしたのは何だったのか。そこのことについても、今回の認定の理由には全く書いていないし、それはこれからの裁判の中で、ぜひ国の側としても、あるいは当時の理財局長としても、しっかりそれについての答えを出し
ていただきたいと思っています。ただ官僚組織のなかで赤木さんのような方がいたということで私はこの事件に関与する中で感動しました。権力の姿勢に対して死に至るまで、その是正を求め、最後には死に至った。そして彼の場合は死に至ったんですけども、財務局なり中では抵抗した、是正を求める声を上げるような動きもあったわけで、そういう人たちが声を上げられるような、その人たちを支えるようなコンプライアンス体制を作るひとつのこの事件が大きな力になればと思っています、まあ公文書の管理については相変わらず是正されずに彼の死をもっても、抗議にも関わらず是正されないままで同様の問題が起きていますけどこの事件を通じて国がしっかりとしたコンプライアンス、公文書管理についての、コンプライアンス体制をしっかり作り上げることをこの裁判のなかの一つの意義として考えていきたいと思っています。

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(赤木さんが残した遺書)


亡くなる直前まで更新されていた

Q.公開された手記、メモについて。例えばどういうところで見つかった、どういう日付のものなのかひとつひとつ説明していただきたい。

生越照幸弁護士:
まず平成30年2月作成中という手記なんですけど、これは私も聞いた限りでしかお話できないんですが、これはお亡くなりになったあとに赤木俊夫さんのパソコンの中に保存されていた、というふうに聞いています。なのでお亡くなりになってしばらく経ってから見つかったということは聞いています。「平成30年2月(作成中)」というふうになっているんですけれども、亡くなる直前まで更新がなされていたので、最後までおそらく書き続けられていたのだろうというふうに、これはもう誰もわからないことですけれども、代理人としては、考えています。

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(赤木さんが残した遺書)


「遺書があるなら見せてくれ」

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Q.財務省なり財務局も手記であったりメモの内容というのは見てない?

生越照幸弁護士:
それは恐らく見ていないと思います。その過程に関しては原告が赤木俊夫さんが亡くなった直後に近畿財務局の職員が「遺書があるなら見せてくれ」って言ったらしくてそれに対して、原告が非常に怒りを覚えたっていうお話をされていたので、近畿財務局とか財務省の人間には見せてないのではないのかと思いますけど。

  

Q.様々な手記によると、杉田さん(杉田和博官房副長官)とか、これまであまり財務省側の調査報告でも出てこなかったような美並局長(美並義人近畿財務局長(当時))とか出てきましたね。なぜあえて今回の訴状では佐川さんだけに絞り込んだのか?

生越照幸弁護士:
それは誰を訴えるかということは非常に検討は実はしました。法律攻勢として。やはり諸悪の根源という言い方はアレですけど、スタートは佐川さんですし、下の人たちに関しては個別の関与の仕方が現段階では特定できないのでやむを得ず、色んなパターンを実はあったんですけど最終的には佐川さんだけということにしました。

接写まとめ


同僚で協力的な人は?「いません」

Q.遺族の方の、奥様の「怖い」という部分に関してなんですけれども、伊藤詩織さんの部分と重なるんですが、相手が財務省であり、まだ、今でも当時の事件の当事者の首相等々が政権与党の幹部についている、そういう事情も含めて、奥様の不安とか恐怖とかあるのですか?


生越照幸弁護士:
それはあるのかもしれませんね。一般的に自死遺族の方がですね、ご自宅でご主人が亡くなってそういう精神的なダメージを受けている中で、訴訟を起こすこと自体が一般的に凄い、しんどいことなんですよね。それに加えてある種記者会見、今日もレクにたくさん来て頂いていますけれども、社会的な注目を集めるような話しであるということもあって、さっき仰った財務省とか国という事もあると思いますけど。そういう事も含めて怖いというか重圧を感じられているのではないかと思います。


Q.今回の訴訟で、赤木さんの同僚などで協力的な人はいるか

生越照幸弁護士:
いません


Q.直属の上司の池田さんとはどんな人間関係?

生越照幸弁護士:
生前は非常に尊敬していたというふうに聞いています。赤木さんは池田総括のことを。お亡くなりになった後に実はおそらくよく来てくださったのは池田さんだった。ただある時期から「来れない」という話しをされて、今、原告のご自宅に赤木さんのために焼香に来られる方はいないんじゃないかなと思います。そういう意味で訴訟の中で協力して、実はこうだったんだよと話をしてくれる方はこれから出てくれるかもしれないけど現段階はいらっしゃいません。

20200318 近財職員 赤木さん手記-2

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20200318 近財職員 赤木さん手記-5