中国の「双11(ダブルイレブン)」を知っていますか?
【ホット検索ワードから見る中国 vol.7】
今回のホット検索ワード「双11(ダブルイレブン)」
(新浪博客より)
中国人の代名詞にもなっている「爆買い」。この「爆買い」現象が中国国内で最も過熱するのは、11月11日。1が何個も並ぶことから、元は「独身の日」として中国の(彼氏・彼女がいない)大学生を中心に盛り上がっていたイベントでした。
2008年、アリババの創始者・ジャック・マーがこの日に目を付け、ネット上で大型セールを開始。その規模が年々膨らみつづけ、今年で10周年を迎える中国国民の一大イベントと化しました。
今年は10年目にして初めて総売り上げ2000億元を突破し、計2135億元(約3.4兆円)を売り上げました。去年の総売り上げより、約450億元(約7300億円)増加し、10年目でも衰えない勢いがうかがえます。
さて、今回は中国のビックイベント「ダブルイレブン」について、紹介したいと思います。
中国最大のショッピングサイト「淘宝(タオバオ)」とは
「淘宝(タオバオ)」は、中国で最もよく利用されているネットショッピングサイトです。電子マネー・アリペイ(支付宝)を利用して買い物をすることができます。一度自分のアリペイとタオバオのアカウントを紐づけしてしまえば、パスワードまたは指紋認証だけで買い物ができるのでとても便利です。
「初めのころは、こんなもの(タオバオ)が流行るわけがないと思った」と、ある中国人の友人が言っていました。なぜなら中国では偽物の商品が多いため、皆偽物をつかまされないよう敏感になっているからです。
しかし、タオバオの評価システムは徹底しています。商品を受け取ると、利用者は商品そのものに対する評価だけでなく、お店の対応や発送までのスピード、包装、アフターサービスなど細かな項目一つ一つに対し評価を付けます。これが、店の評価に反映されます。これを見て、その店が信頼できるかどうかを判断できるようになっています。
また、問い合わせのシステムも豊富です。お店への問い合わせだけでなく、購入したことがある人に質問することができるシステムもあります。そのため、利用者はじっくり商品について調べ、買い物をすることができます。
これらのシステムのおかげで、悪質な業者は次第に淘汰されるようになり、結果として多くの人が安心して買い物できるようになりました。
とはいえ、やはり店舗選びは大事です。偽物ではないにしても、イメージ写真と違う、ということは結構よくあります。やはり他の利用者の評価をよく見ることが大切です。
タオバオの評価コメントには、画像も載せられるので、実際に買った人が利用している様子から商品を選ぶことができます。たまにこんな面白画像や、怒りの投稿も見かけます。これらも店選びの大事なヒントです。
中国人がもっとも念入りに準備を行う行事?
このタオバオを舞台に行われる、ダブルイレブン。この一大イベントの準備は恐ろしい程念入りに行われます。中国は割と何でも突貫工事で、直前にならないと準備が進まないことも多いのですが、ダブルイレブンの準備だけは、早め早めに、そして念入りに行われます。
まず、3週間前(10月20日頃)からタオバオを含むアプリのアップデートが始まり、各アプリがダブルイレブン仕様へと変わります。(おかげでこの期間、携帯の動きが少し鈍くなります)
そして、アプリの中では、ダブルイレブンに向けた様々な準備コンテンツがオープンします。このようなコンテンツ内では、ダブルイレブン当日に使用できる割引券を受け取れたり、当日に割引券に交換できるポイントを貯めたりすることができます。
ポイントを貯めるためには、毎日アプリにログインし、時には自分のSNSで友達にシェアをしたりしなくてはいけません。そのため、ダブルイレブン前は(割引券獲得のために)何かと忙しく、気が抜けない状況になります。
正直、これらのポイントによる割引は1000円にも満たないですが、子どもの頃にコツコツお小遣いをためて、欲しい物を買うときに少し似た気持ちを味わえるので、楽しいです。
ネット環境が鍵を握るダブルイレブン当日
11月11日の目玉は、なんといっても当日だけ大幅割引されるブランド商品です。スポーツブランドのスニーカー、高級家電、最新のスマートフォンなど様々なものが人々を惹きつけます。
これらを、最安値で購入するためには11月11日の0時ピッタリに支払いボタンを押さなければなりません。そうでなければ、商品の在庫がなくなったり、先着順でもらえる特典がもらえなくなってしまいます。そのため、タオバオの買い物カート内を整理し、よりスムーズな買い物のために準備をします。
しかし、たくさんの人が同時にアクセスするため、タオバオ自体にアクセスできなくなったり、携帯がフリーズしてしまったりすることが往々にして発生します。
ダブルイレブンで勝ち抜くために最も重要になるのは、やはりネット環境です。ある大学生は学校にむけて、深夜学校のWiFiを切らないように請願書を出していました。
「携帯の4G回線だけでは、年に一度の大イベントでは戦いきれません」
「(このイベントに参加できないと)社会から逸脱してしまいます」
など、学生達の痛切な叫びが請願書から見てとれます。
男性陣にとってのダブルイレブン
(意得百货より)
ダブルイレブンに関するある笑い話があります。
もうすぐダブルイレブンがやってくる。11月10日の夜にやっておくべきことは一つ。妻(彼女)の携帯で、アリペイ(支付宝)を開く。そして、三回間違ったパスワードを入力する。これだけで、世界は平和になる。
中国は共働きが進んでいるとはいえ、食事や買い物をするときは男性が支払うという文化が根強く浸透しています。これは、夫婦だけでなく、カップルも同様です。そのため、ダブルイレブンの中国の男性にとって恐怖の一日でもあるのです。
アリペイはパスワードを3度間違うと、アカウントが凍結され数時間使用できなくなります。こうすることによって、妻(彼女)の爆買いを防ごうという作戦です。
おそらく一時の平和は訪れるでしょうが、バレた後が恐ろしいですね…。
各地に出来上がる宅配便の山
11月11日に注文された商品は、瞬く間に発送され注文者の元へと届けられます。この時期、各運送会社は配達員の数を増やし「ダブルイレブン特需」に備えます。
(早知珠海より)
日本同様自宅まで届けてくれる場合もありますが、中国は主に「快递站(宅配ステーション)」という場所に、まとめて荷物が届けられ、近くの住民がそこに自分の荷物を取りにいきます。
(腾讯图片より)
11月11日後の宅配ステーションは人と荷物でごった返すため、時には荷物の取り間違いも起こります。また、荷物の包装に使われた段ボールや袋などの大量のゴミも一つの社会問題になっています。
今後は、単なる商業イベントとしての姿だけでなく、宅配便の安全性確保やごみ処理など社会的な面からもダブルイレブンがどのように成長をしていくのか、注目していきたいですね。
(記事作成 竹内亮 石川優珠)
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中国版Twitter“微博(ウェイボー)”で話題になっているホット検索ワード“热搜(rè sōu)”をもとに、「中国の今」を紹介していきます。