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2021 SUPER GT 第6戦 振り返り

2021 SUPER GT第6戦オートポリス 振り返り

優勝 ARTA
前戦、スポーツランドSUGOでの借りを返す事ができたが、まだまだ借金生活。好きなチームの1つなので厳しい目線だが有力チームは当然重ハンデにリストリクターなので勝って当然。
YouTube上にアップされているが、野尻智紀の無線を聞くにまだまだチームの成熟度が足りない。それでも「勝って当然」を勝てていなかった事実があったので、僅かながら前進といえる。(亜久里さん、残りも連勝でシリーズチャンピオンだ〜じゃないよ…笑)

準優勝 ZENT CERUMO
セカンドスティントの石浦宏明が鬼の走りでまさかの準優勝。
立川祐路との差がここまで有るとは思えないがおそらくタイヤのマッチングが上手く行ったのかと思う。昨年のツインリンクもてぎ(4戦目)以来の表彰台となったが、予選で下位に沈んだ通りスープラになってから続く低迷の根本的解決には至っていないようではあるが、ARTAと共にひとまず喜びたい。

3位 MOTUL NISMO 
4位 CRAFT SPORT
シリーズチャンピオンへ首の皮一枚残したNISMO。
イレギュラーがあれば必ず上がってくるのがベテランの底力。
CRAFT SPORTも最低限のポイントを獲得。ただ、安定したレース運びだったMOTUL NISMOと比べて順位が乱高下した事が気になる。

5位 DENSO KOBELCO
ARTA、ZENT CERUMOと共にポディウムを最低条件に挑んだSARDチーム。結果だけを見ると残念な様に思えるが、直線区間でオーバーテイクをゆるした様に、駆動系にトラブルを抱えており、最後まで3段階のリストリクターが付いているSTANLEYに背中を狙われた。それでも抜かせなかった事は名門SARD最後の意地だ。

6位 STANLEY
強すぎる。それしか書くことがない。リストリクター含むトップハンデながら6位入賞。小島監督筆頭にチーム力の高さを見せつけた。また、山本尚貴によるともっと上を狙えたというから恐ろしい。

7位 CALSONIC IMPUL
前戦の勝利の勢いで上位を目指したが、そこまでの戦闘力は無かった。とはいえ開幕頃と比べれば明らかに前進している事も事実だ。特に日産は明らかに劣っていたエンジンが2基目の投入で戦えるようになった。

8位 Astemo
菅生ラウンドに引き続き、サクセスウエイトへの対応力を見せた事も事実だが、ブリヂストンタイヤ、ホンダ・NSXと同じパッケージのSTANLEYに2戦続けて先行を許した事も事実だ。得意の富士を残しているとはいえ、茂木は夏前にSTANLEYが勝っている。16ポイントは思ったよりも大きい差なのかもしれない。

9位  KeePer TOM'S
菅生でリタイアを喫したKeePerはSTANLEYとAstemoの前でのフィニッシュが目標だったはずだ。特にGT300クラスがクラッシュしSCが投入されただけに、ペナルティストップのダメージが最小限になった。26kg重いAstemo、44kg以上重いSTANLEYに敗れたことはなかなかにショッキングな出来事だった。

10位
au TOM'S
基本的にはKeePerと同じような内容だったが、同じTOM'Sで24kgも軽いKeePerと10秒しか差がなくフィニッシュできた事はポジティブ。

11位 ENEOS
予選、第1スティントとはなんだったのか。
考えられる事としてはかなりソフト寄りのタイヤだったのだろうか。

12位Modulo
ある程度予想出来たが後半のジェットスターっぷりには大津弘樹もどうしようもない。スタートドライバーの伊沢拓也はペースに苦労していなかったことからタイヤ選択も間違いではなかったと予測される。
セーフティーカーが2回入ったことも手伝って、理想といえるレースだった。レース予想では同じダンロップタイヤユーザーのRed Bull無限よりもハードを選んだと書いたが、実際はソフトを選んだようで、それでも全周回の半分まで走れたのだから伊沢拓也のタイヤマネジメントもさることながら、ダンロップタイヤも相当に進化している。
しかし後半スティントでは3℃程、路面温度が低下していたようで、ここでレンジを大きく外れてしまったようだ。
Modulo陣営としてはSC2回にも関わらずファーストスティント終盤にはタイヤが厳しくなった。そこで、同等かそれ以上に硬めのコンパウンドのタイヤを選択して大津弘樹に後半を託したと予想する。
しかし路面温度が低下したためにレンジを外れ、レースにならなかったのだろう。ARTAの土屋圭市アドバイザーによるとブリヂストンはこの程度の温度変化は全く問題無い様なので前半と後半で別のチームの様になってしまったのはやはりタイヤがカバーできる範囲が原因なのだろう。
路面温度に対してタイヤが硬かったと仮定すれば、大津がARTA野尻智紀に果敢に挑んだことも納得できる。タイヤが機能する温度まで上げる為にはハードなドライビングを必要としていて、それでライフも尽きたということだ。

13位 Weds Sport
暑さにも寒さにも強いタイヤを作るのは至難の業だ。
そういう意味ではYOKOHAMAは夏に戦えることを証明したが、寒いコンディションではまだまだなのだろう。
まだ寒い開幕戦にトヨタ勢が上位を独占したが、唯一のYOKOHAMAユーザー、Weds Sportはその中では不調だった。ここから苦手の低い路温、上位はハンデ軽減となるので厳しいシーズン最終盤になりそうだ。

14位 REALIZE
こちらもYOKOHAMAユーザーのREALIZEも下位に沈んだ。NSXやスープラより戦闘力が無いGT-R+ブリヂストンより劣るYOKOHAMAならこの順位も致し方ないか。

15位 Red Bull無限
大湯都史樹の項垂れる姿は筆舌に尽くしがたいものがあったが、それも頷けるのは、Red Bull無限にとって今回は本気で優勝が狙えるレースだったからだ。
課題のタイヤもModuloより硬いものをチョイスしていたとの事で、特にファーストスティントでは優位に立てていた。
勿論、後半にModulo同様チョイスに失敗する可能性はあったものの、それさえ正解すればペースは十分だった。
それでは何故このような脱輪事故が起きてしまったのか。
1つはメカニックの締めが甘かったという可能性。しかしこれは考えにくい。何故なら、それが原因の場合17周も走れるとは思えないからだ。
という事は、走行中に徐々にホイールナットが緩んだと考える。金属は熱を加えると膨張し、逆に温度が低下すると収縮する特性がある。これを加味して考えるとメカニックはきっちりホイールナットを締めた。そして、レースが始まると熱が入って周回を重ねる。しかしセーフティーカーの投入で温度が下がり、ホイールナットが収縮。レース再開で膨張、またSCで収縮。これが繰り返され徐々に外れてしまったのではないかと推察する。
これは素人考えの推論に過ぎないので正しいかは不明だが、大湯都史樹と笹原右京、無限チームが今季最大の悔しさを抱いたことは間違い無かった。

今レースは2台のNSXを中心に、ENEOSの決勝でのペースダウン等考える楽しさがあったレースだった。次戦、ウエイト半減となるので勢力図も変わるはずで、まだまだSUPER GTが新たな面白さを提供してくれそうだ。

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