スーパーフォーミュラ第6戦 レースディレクターのイカれた裁定に思うこと

野球にしてもサッカーにしてもファンというものは判定に不満を持つものである。

「なんでストライクなんだよ!」
「PKだろ〜!」どこのスタジアムでもそんな怒号が試合の度に叫ばれている。

それを可能な限り少なくするために例えばラグビーではTMOというシステムがある。「テレビジョン・マッチ・オフィシャル」の略で、レフェリーはスタジアムの大型ビジョンで、映像担当は別室のモニターでそれぞれスロー再生しながら無線で判定をすり合わせる。

プロ野球でもリクエスト制度が採用されたし、サッカーでもVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が主審に判定について進言があれば随時行う。

テニスやバレーボール、大相撲では20年以上前から採用されていたように思う。

モータースポーツはそういう意味ではビデオ判定の先駆者であった。
各チームやコーナーポストのオフィシャルから要望が出されれば合議制で何度も映像を繰り返し確認し判定する。

レース界のトップオブトップ、F1ではこの判定がサーキット毎にバラツキが無いように、同一のメンバーに現地のメンバーを1人加える仕組みだ。

日本では昔から各サーキットの担当者が判定を下してきた。そんなことがあったとは思いたくないが、富士スピードウェイはトヨタの持ち物だからその担当者もトヨタの人間である。例えばホンダの道上龍とトヨタの高木虎之介が接触したとしたら、心の奥底では本人の自覚しないところで裁定に影響を与えたかもしれない。(例えばの話で道上龍と高木虎之介が接触した過去があるかは不明)

スーパーフォーミュラではそういったことが無いようにF1に倣ってJAFからの派遣制にしているはずだ。
だとしたらそのレースディレクターのレベルが低すぎる。
NEXT50の頑張りが吹き飛ぶ程に腸が煮えくり返っている。

事例1  2コーナーでの大湯都史樹へのペナルティ

レーススタート直後の1コーナー、ピットスタートとなった松下信治の9番手を狙う平川、大湯、三宅がスリーワイドのブレーキング勝負になる。

マシンが1番前にあったのはアウトを走っていたイームインパル平川。次いで真ん中のナカジマレーシング大湯。最内、チーム郷の三宅。

三宅は止まりきれずフロントウイングの左が大湯都史樹の右リアタイヤに接触。押し出された形の大湯が1番前の平川亮を左フロントタイヤでプッシングしてしまい、平川はスピン。横を向いた平川のマシンのフロントウイングをコーナーを脱出した三宅が左2輪で踏みつけて平川は終戦。三宅の方もマシンにダメージがありリタイア。大湯もダメージはあったもののレースを続けたが、この接触でドライブスルーペナルティ。10位でフィニッシュし1ポイントを獲得するに留まった。

まずこの接触で非が無いのは平川亮だ。
押し出されてコントロール不能の状態でさらに後方から来た三宅に接触された。残念と言わざるを得ない。

では大湯はどうだろうか。
確かに三宅にヒットされているのだが、オンボード映像を見る限り、コントロールを失うほどではないようにも見える。
従って、大湯の65号車がコントロール下であればペナルティ。コントロール出来ていないと見ればレーシングアクシデントと判断できるのではないか。

最後に三宅。
抜群のスタートでDRAGO CORSEの福住仁嶺をパスすると前が空いていたのでイン側に突っ込みすぎた。1コーナーではそのインは空いているはずもなく大湯にヒット。平川への接触を誘発し、最終的にはスピンした平川のマシンを踏んでしまいにとどめを刺した格好である。
最後の平川のフロントウイングを踏みつけたのはアクシデントだろう。さすがにスピンしたマシンがどう動くかは予見できない。ただ、そのスピンの原因は三宅と言われれば三宅である。

このバトルの結果、平川と三宅はリタイアした事もあり、大湯都史樹にのみドライブスルーペナルティが課せられた。

この裁定で気になる点はまず、ペナルティの対象者が大湯ののみならず、三宅も対象なのでは?ということである。
3台の中で最も被害を被った平川に接触したのは確かに大湯であった。しかしながら、大湯も三宅に接触されていることから、仮にペナルティが出されるならば2人は同一の罰則であるべきである。

加えて、三宅が走行を続けられた場合ペナルティは出されていたのか。更に、大湯の接触は軽微なもので、実際に平川と激しく当たったのは三宅である。ならば大湯へのペナルティはドライブスルーペナルティでは無く、5秒から10秒程度のタイムペナルティが妥当ではないか。

事例2 山本尚貴とサッシャ・フェネストラズのクラッシュの責任はどちらにあるのか

先述のクラッシュの後、3周目に起こったのがストレートで距離を詰めた山本尚貴が75Rとコカ・コーラコーナーの間でサッシャ・フェネストラズに追突する形でサッシャがコースオフ、マシンのリアが大破したというクラッシュだ。
このクラッシュでも大湯都史樹同様に山本尚貴にドライブスルーペナルティが課せられた。

パッと見では後ろから来た山本に責任がありそうだが、実際どうだったのか振り返りたい。

ストレートでサッシャに対して山本尚貴がオーバーテイクシステムとトウを使って接近。
しかしながら詰めきれずにストレートエンド迄の追い抜きはかなわない。
1コーナーからコカ・コーラコーナーへの間も山本はOTSを使っていたので、かなりの速度差があり、このまま行けば、コカ・コーラで順位が入れ替わるように思えた。
テールトゥノーズになったので、サッシャは75Rを右によってブロック。山本はここでついていくことなく左からオーバーテイクを狙う。この動きを見てサッシャは左へ動いたため接触。コースオフし、走行不能に陥った。

論点としては
①山本の追い抜き方に危険性は無かったか。
②一度右に進路をとりつつ左に動き直したサッシャのドライビングは是か非か。
③山本はOTSを使用していたがサッシャはミラーで点滅を確認していたか(安全意識は十分であったか)
といったところだろうか。

①に関しては大凡問題がなかったと考える。
75Rで先に右に動いたのはサッシャだ。山本はそれを見て限界まで寄って左から抜きにかかっている。左はもう芝しかない。なので再び右を選んだが、サッシャとは速度差があったためノーズがリアディフューザーと接触した。
強いて山本の問題点を出せと言うならば、彼のほうがよく見える立場だったということだろうか。ただ、あれだけの接近戦なので、ダウンフォースも抜けていたものと思われるため、スピード以上に山本も限界のバトルだったのではないだろうか。

②のサッシャのドライビングの是非は難しいところだ。
競技規則上は順位を守るための進路変更は1回までと定められている。とすると、はじめに75Rで右に寄ったのをブロックと見るか、通常のコース取りと見るかで全く違う。ここでは話を進めるために問題なかったとしよう。
その後左へ寄せたのは間違いなくブロックだ。(この時に左のスペースは皆無だったので1つ目がブロックと裁定が出ていれば1台分のスペースを残さなかったサッシャがペナルティ対象だ。)
私はファイナルラップでもなければサッシャのこの動きが危険だと考える。

③の安全意識に関しては前方を走るサッシャが不足していたと考える。彼は左右に動いてブロックしていた。
ということはサイドミラーを使って山本尚貴の動きを確認していたということだ。なればこそ、高速コーナーでOTSを使っている山本を執拗にブロックすることはスポーツマンシップにもとる行為といえよう。

こんな状態ならコーナー区間ではバトルなんて不可能だ。
バカみたいにリアウイングを寝かせてストレートで抜くことしかできない。
それすらもラインを変えて守られたらオーバーテイクなんて出来っこない。
次のもてぎラウンドは250km/hで走るレース…ではなく、パレードが見られるだろう。
心底この2つの判定にはガッカリした。
バトルを推進するどころか減らそうとするとは…

レースは興行だ。
バトルが必要だ。
それがいやならシャーシもきちんと全チーム状態を揃えろ。
前のシャーシをキャリーするなんて論外だ。
エンジンもワンメイクに戻せ。
先輩は抜いてはいけない不文律の時代に帰ってろ。

と、ここまで長々と仕事の合間に書いてきたわけだが、ここで最新情報が入ってきた。

平川、大湯、三宅の接触に関しては大湯がコントロールタワーで不服を申し立て、三宅も自らの非を認めたという。

ただし、裁定に変更は認められない。
理由はスーパーフォーミュラにおいて、判定に使用される映像にオンボード映像は使用されず、コース映像のみが判定基準だからだという。

え?
お金をかけてオンボード撮ってる意味は?
勿論レースを盛り上げるためにというのは分かる。
そうじゃなくて、判定に使わない理由を教えてほしい。

怒りに任せて書き連ねたが疲れてしまった。

最後にもう一つ疑問を呈して終わりにしたい。

今回平川亮とサッシャ・フェネストラズは無念のリタイアとなったわけだが、もし彼らがリカバリーして、タイムロスも最少でレースに復帰したとしてもナカジマレーシングの2人にドライブスルーペナルティを出せたのだろうか。

ペナルティは犯してしまった側の行為に関して出されるものだ。

例えば、富士のロングストレートでサイドバイサイド、
傷跡も残らないような僅かな接触で大袈裟に動揺して、コースオフ、クラッシュ、リタイア。
これにペナルティを出すのか?
動揺したドライバーの実力不足を指摘しないでいられるか?

軽微な接触にのみフォーカスして、判定は行うべきだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?