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「できる」と「できない」の波

【活動82日目】

言いたいことが言えるって幸せ。
そんな当たり前のことを実感した今日。
普段何気なく使っている言葉が自由に通じないことがストレスになることは頭ではわかっていたけれど、こんなに毎日毎日疲れることなのかと改めて感じた。

今日は同じ街に住むスペイン人の友人が連絡をくれて、「私の友達で英語を話せる子が今ワラスにいるから今夜お茶でもどう?」と誘ってくれた。
彼女はNGOのプロジェクトでペルーに来ていて、子どもたちの支援を行っている。以前私が、スペイン語を勉強したいんだけれど、いろいろ質問したいから英語も話せる人がいたら理想的なんだけどな、という話をしていたのを覚えていてくれて連絡をくれた。
私の勉強のために会話のほとんどはスペイン語だったけれど、語彙力が足りなくてうまく伝えられないところは英語で伝えることができた。
言いたいことが言えてびっくりするほどスッキリした自分に気付いて、伝えられないストレスが溜まっていたんだなと実感。

配属先の同僚は誰も英語を話すことができないので普段のコミュニケーションにはまだまだ苦労している。
伝えたいことが伝えられない、もっとこう言いたいんだけど、本当はこう言いたいんだけど、
というところを単純化して伝えることしかできないので、いつも「本当はもう少し説明したいんだけど」という言葉足らずの気持ちを頭の片隅に残しながらコミュニケーションをとっている。

それに加えて今日すごく助かったのは、彼女たちのスペイン語がとても聞き取りやすかったこと。
訓練所で私の語学の担当はスペイン人の先生だったので、私にとっては一番長い時間聞いていたスペイン語はスペインのスペイン語だった。
英語と混同してしまいやすい発音はかなり指摘されて直された。

実際に南米に来て、毎日スペイン語を使う生活がもうすぐで三ヶ月になろうとしているけれど、どうしても子どもたちの話す早口のスペイン語がうまく理解できなくて、頼めばゆっくり話してくれるけれど、やっぱりうまく聞き取れないことがあって、伸び悩んでいるなという感じが強かったのだけれど、彼女たちと話していて理由はそれだけではないことがわかった。
同じスペイン語を話していても、独特の表現やアクセントがあってスペイン語ネイティブの彼女たちでさえ最初はワラスのスペイン語を理解するのが大変だったというのだ。
これを聞いて、ちょっとだけほっとした。
彼女たちでも難しいと感じることがあるのなら、私には大変なのは当たり前、と開き直ることにした。

第二言語を勉強するとき、私の中では二つの波を行ったり来たりする感覚がある。
私はそれに勝手に、「停滞期」と「伸び期」と名前をつけているのだけれど、必ずこの二つの時期を行ったり来たりする。
勉強しているのにうまく上達しないな、と思う時期が「停滞期」この時期はうまくいかない無力感しか感じない。
でも、あるときふと「伸び期」がやってくる。今まで学んできた単語が、思いがけずスッと出てきたり、これまでよりもスムーズに言葉が口をついて出てくるなと感じる時期。
私はこれが2~3週間くらいのペースで行ったり来たりする。
停滞期はやっぱり、できない気持ちばかりが強くなるからそれなりに落ち込む。
伸び期はわけもなく自信が出てきたりする。
でもまた停滞期がやってくる。
でも、自分なりの波があることを知ってから、伸び悩んでも「あぁ、今は停滞期なんだな、仕方ない。」と思えるようになった。

この間、近くにいる先輩隊員に「スペイン語、全然うまくなる気がしない」という話をしたら、
「自分たちもそんな感じだった。最初の三ヶ月が一番辛かった。」と教えてくれた。
喉元過ぎれば熱さも忘れられるのかな。今が一番熱くて苦しい時期なんだと自分に言い聞かせながら単語を増やすしかない。

でも、時々言いたいことが伝わったという感覚があるとやっぱり嬉しい。
スペイン語でそれができるようになったらもっと嬉しい。
そんな日が来ますように。

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