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2022年3月の(音楽とかの)こと

私の住む街にKASUMIというスーパーマーケットがあるのですが、そこの新業態『BLANDE』がすごいぞ!!これはもはやテーマパークであります。2022年、1stクウォーターが終わったここまでで特に心を動かされたもの2トップが、「ポケモン」と「スーパーマーケット」になるなんて。誰が予想できようか。

先にKASUMI自体の情報を補足しておきますと、近隣どこでもあると言っても過言ではないくらいの店舗数を一帯で擁しているスーパーチェーンで、私の家からの最寄りとなってもKASUMIかもう一つ別のところが同じくらいの距離という感じなのだけど、私が普段メインで通っているのは実はKASUMIじゃない方のそれなのです。従来のKASUMIにはなんというか、おもしろみのなさを感じるんですよね。

自宅から徒歩10分くらいの位置に「食に特化した新業態」がオープンするという報を聞いたときにも、これ以上KASUMIを増やすなんて正気の沙汰じゃないと冷めた態度を取っていたのですが、オープンしているところを通りかかってふらりと入店したが最後、その店内の情報量にすっかり圧倒されてしまったのです。あまりに興奮しすぎて初回は何も買えず、ちょっと体調を悪くして帰りました。思えばフジロックに初めて行った日にも同じような興奮があったような気がします。

なかなかスーパーの様子を文字で説明するのも難しいのだけど、ざっくりと言うなれば、高級スーパー × デパ地下 × 道の駅や地元の魚市場 × コストコのいいとこどりといったところか。場所が茨城の郊外ゆえ高級スーパーや、デパ地下要素に振りすぎてしまうと品の無さが目立ちかねない(コストコもあまり品のよさを感じず好きじゃない)ところを、各カテゴリ徹底して茨城のものを集めるという意思の伝わるラインナップによってバランスをとることに成功している。

これまで茨城県に10年近くいて見てきた、もしくは知らなかったあらゆる県内の名産食材・加工食品や人気店のそれがもはや網羅されているといっても過言ではなく、全部一ヶ所に集めちゃうことにそれはそれで節操の無さを感じなくもないが、好感は持てるのです。

地元イタリアンの名店の冷凍モノが普通のスーパーの冷凍ショーケース1レーン分を占めていたり、食品だけでなく笠間焼の陶器コーナーまで揃えてあるのも素晴らしいが、なによりインパクトがあるのが鮮魚売り場で、日立沖等で獲れたものを中心に一尾そのままではなかなか見たことないような魚が並ぶ姿はまさに壮観。

あとは個人的に入店して最初の青果コーナーに青い未熟バナナが置いてあるのをみたときも興奮を隠しきれませんでしたね。

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南インド料理ではポピュラーな食材だと聞いていたため、一度は使ってみたかったのです。

さっそく買ってきてヨーグルトで煮たモールコロンブにしました。

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「バナナの内部のトロッとした食感と外部のモサッとした食感の配分を少しモサッ寄りにシフトさせて、甘さを完全排除した」という感想で青バナナの味を想像してみて頂きたい。

どうでしょう、それはほとんどイモではないでしょうか?

他の慣れ親しんだ美味いイモを抑えて、あえてファーストチョイスする食材かと言われると疑問符が付きますが (モールコロンブは普通にサトイモとかでつくってもうまい)、エキゾチックなフィーリングだけは保証できるかと思われます。青バナナ、みなさまもぜひお試しあれ。


同期のドクター修了を祝して、指導教員も含む研究室時代の面々で飲みに行ったときにもBLANDEの話題でひとしきり盛り上がる。もはや市民共通の話題ではないか。普段ばったり遭遇することはほぼないとはいえ、私も含めて卒業後も大学からそう遠くないところに住んでいる面々は多いのだ。


久しぶりにしっかり飲んで帰ってきた夜中、優河の新作『言葉のない夜に』を聴きながら近所を散歩した。ああーなんてすばらしいのだ!!到達するところまで到達してしまっているぞ!!

新作がドロップされてからのネット上の反応を見るに、そのほとんどには「音響」というキーワードが入っているように感じられる。その「音響」の言い表すところはほとんどの場合、2019年リリースのEP『めぐる』から顕著になった "岡田拓郎に依る音響" ではないかと思うのだが、もっと視野を広げて優河の「音響」を見てみるのもおもしろいのではないかなーと思ったりします。

そのときにまず聴いてもらいたいのは、2015年に発表された最初のフルアルバム『Tabiji』ですね。

(いつの間にかストリーミングで聴けるようになっていている。)

プロデューサーとしてゴンドウトモヒコを迎えた本作の「音響」を言い表すとするならば例えば、"SSWのための音響" というところでしょうか。ソングライティングとボーカルの素晴らしさにまず何より耳がいく。そんなデザインが成された作品。

 『言葉のない夜に』での音響的達成に最大限の賛辞を送ったうえで、では例えば『Tabiji』との間に音響的に優位があるのかと考えてみると、私はむしろ "別解" という言葉でもってこの2作品を同列に置きたいような気さえしてくるのです。

さらに続けておおはた雄一の編曲とギターが全編に施された2017年発のEP『街灯りの夢』におけるミニマルながら華やかなサウンドを聴いていたりすると、「優河の作品の音響は前から "ずっと" いいのだ」とそんな確信めいたものさえこみあげてくる。

そこで優河の作品の音響がずっといいのはなぜだろうかと考えて新作を聴いてみると、なんだかその答えが見えてくるような気がします。あなたは例えば「WATER」や「ゆらぎ」における彼女の声が積み上げられたコーラスを聴いただろうか。空間をふくよかに漂うその声に文字通りのアンビエンスを感じはしないか。少し大げさかもしれないが、鳴っているどの楽器よりも、優河の声の質感こそが最も音響的に研ぎ澄まされて聴こえはしまいか。

優河というSSWはその声でもってこれまでの自身の作品の音響的ディレクションを導いてきた、そんな側面があるとはいえないだろうか。ゴンドウトモヒコや岡田拓郎を始めとするクリエイターたちはなにより彼女の声に導かれ、はたまたインスピレーションを掻き立てられたことで、『Tabiji』や『言葉のない夜に』(はたまた『魔法』)のような録音作品が産み落とされた。そんな美しい想像をしてみるのもおもしろいのではないかなと私は思うのです。


最後に一つ小話ですが、柴崎祐二さんによる本作のレビューで、ヒース・フォッグ、ブレイク・ミルズ、ビッグシーフ、ジュリアン・ベイカーという名前が出てくる前に、

こういう音楽に対して、なにがしかの固有名詞を挙げながら類似性を語るのは若干気が引けるのだが、「良心的リスナー」のために付言しておけば

という前置きがついていたのをめちゃくちゃ分かるーと思いながら読みました。ホイホイ類似・比較対象の固有名詞を提示していっちゃう語り口に対する違和感、最近すごいんですよね。


優河と同じくらい待望していたJuan Fermin Ferrarisの2ndソロアルバムもたくさん聴いた。

私の心の中にはこの人のピアノでしか突けないポイントみたいのものがあるのだなー。


畑下マユさんというSSWの1stアルバムにも衝撃を受けた。リンクの「鳥になる」という曲のなんとアシッドなこと!研ぎ澄まされた構築美を感じる一曲です。

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ストリーミングなし、Bandcampも配信は2曲だけ。現在CDを取り扱うレコード店を挙げてみても、JET SET、RECONQUISTA、more records、ROOK RECORDS、Tobira Records、高円寺 黒猫と、聴いてみないわけにはいかないコンセプチュアルな流通をしている人なのですよね。(現時点ではディスクユニオンにも卸していないのだ。) ちなみにRECONQUISTAではよく売れているらしいです。


レコードではTownes Van Zandtの『High, Low and In Between』を久しぶりに少し奮発して手に入れる。

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Poppyのレーベルは本当に見るだけでテンションが上がりますね。(レコードレーベルとしてだけの意味で)


もう一枚レコードで森山ふとし『ゆうたいりだつ±』も気に入ってよく聴いていた。

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2015年にカセットでリリースされるも既に完売、森山ふとし本人の意向によりデータ販売もなかったため入手困難となっていた「ゆうたいりだつ』がこの度、ヴァージョンアップした<永久保存版>『ゆうたいりだつ±』としてEM Recordsよりリリースされる。なおタイトル内に±(プラスマイナス)とある通りジャケットの新装に加えて一部収録曲の差し替えも施されている。
http://turntokyo.com/reviews/moriyama-futoshi-yutairidatsu/

ということだそう。最初完全に去年リリースのデビュー作なのかと思っていたな。変な音がたくさん入った宅録オーケストラ作品となっていて、これがとてもおもしろいのです。



Sam Gendel & Sam Wilkesが6月のFESTIVAL FRUEZINHOで来日というビッグニュース。すかさずチケットを取りました。
この二人の相性には何か特別なものがあると思うので、Sam Wilkesも一緒に来てくれることが何よりうれしい。あまりライブ映像を見ないので想像でしか言えないが、Sam Wilkesのベースによってステージが一気に引き締まるようなそんな想像をしています。


ビッグニュース2つめ、『ゲーム・オブ・スローンズ』の前日譚ドラマ『House of the Dragon』が8/21にアメリカで配信開始されることが判明。4月からは『ベター・コール・ソウル』の最終章もいよいよ公開されますし、2022年はビッグタイトルそろい踏みで楽しみである。今はシーズン3が公開されたタイミングで手を出した『サクセッション』の画面上のアクションの少なさ (室内でしゃべってしかいないイメージだし、しかも魅力を感じるキャストが全然いない) に耐えきれずシーズン1を2エピソード残してリタイアして、こちらも今年公開の『オザーク』のシーズン4を観進めているところです。『オザーク』はどうしても次のエピソードを続けてみたくなるようなことはないんだけど、シーズン1からずっと安定しておもしろいな。あっけなく殺めたかと思いきや、その後はこれはヤバいかもというときでもなかなか事が起こらない緊張感の作り方がとても上手いと思います。

どうぞお気軽にコメント等くださいね。