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2023年5月の(音楽とかの)こと

東京の国立で「台形」という店を構える伏木庸平さんのエッセイ『台形日誌』を読んでいた。

昨年の9月に一度食べにいったときのようす。

おしながき ワイン中心のペアリング付きコース
ラム肉 飛び子 ヨーグルト ミモレット
とても長い犬

国立の店舗とその階上の自宅をベースに、ときに北海道や関西・四国、フランスへの紀行も交えて、日常と非日常の揺らぎのようなものを捉えた篇を並べたエッセイである。そしてどの篇にも文章と交信するようなレシピが一つ。

「金柑のスパイスおでん」のレシピが収録されていたのはとても嬉しかった。以前SNSで見た記憶があって気になっていたもののより詳細なレシピ。
次のシーズンはベーシックなタイプも含めて、おでん強化期間としたい。
これぞ台形なルックをした「台形的鱈汁」にも惹かれた。鱈一尾さえ手に入ればできると思うのでこれも次シーズンまで覚えておこう。

魚屋で買ってきたサワガニへ鯛めしやシャインマスカットを与え溺愛する「美食クラブ」「サード・インパクト」。続けて "急遽思い立ち、西へ" と書き出して「西へ」。本場明石で食べる明石焼きの描写のおいしそうなこと。

長らく私の頭の中の深層部分に眠ったままであった明石焼き。あんなに魅力的な食べ物の存在を忘れていたなんて!文章を読んでハッと思い出す明石焼きのよさ。普段は寿司が乗っているイメージの下駄みたいな板の上に、その優しい柔らかさゆえにハリ無く居る佇まいのよさ。たこ焼きという圧倒的存在と常に比較されてきたがゆえのブルースと、たこ焼きよりも古い歴史を持つ気品とが、その佇まいには同居して表れているように思うのだ。東京、宮城、茨城と東に住んできた私からすると少々異文化的なあこがれもある一方で、幼稚園や小学校の低学年くらいの頃、母と出先で明石焼きを食べていた記憶もあるのだけれどあれは何だったんだろう。個人店のようなところでなく東京の駅ビルとかそういうところの店だった気がする。思い返すほどに不思議に感じてきた。今度母に聞いてみようと思う。

先日ちょうど京都、大阪、兵庫を巡る出張があったので、帰りの新大阪駅で冷凍の明石焼きを買って帰り、家で食べた。お土産用の冷凍でもしっかり美味いが、やはりお店で出来立てが食べたいと思い関東の明石焼き屋を調べたら、思っていたよりも食べられるところは少ないようだ。

秋葉原と御徒町の中間の太幸結というお店が気になっている。口コミをみるにスコッチウイウキーのボトルが異常に豊富なのも気になる。写真を見るにハイボールをとにかく推しているような気がするが、明石焼きと共にハイボールをあおるようなコンセプトならばもっとボトルを絞ってもいいような気がするのだが。気になる。

1泊2日の関西出張はたまたま夜に一人行動だったので、大阪の街を楽しんだ。ダルバート食堂 (店主が豪徳寺のOLD NEPAL TOKYOと同じ)でダルバートを食べて、この日当日に見つけたFolk Rock Bar "Phoe~be"へ。ここがもう最高のお店で、レコードを聴きながら店主さんと話し込んでいたらあっという間に2時間半ほど経っていた。
この日は偶然にもボブ・ディランの誕生日ということで、入店時には『Oh Mercy』、そのあと『Nashville Skyline』とボブ・ディランの "いいところ" を聴きながら、先月の来日公演の感想を話し合ったり、ボブ・ディランの昔の来日公演のこと、ジャクソン・ブラウンのこと、レコードのことなど歓談する。

デニス・ホッパー制作&主演の二ューシネマ『アメリカン・ドリーマー』のサウンドトラック作品も聴かせてもらう。あるところには¥2,000くらいであり、ポスター付きか否かがポイント、シールドもけっこう多いとのこと。探そうと思います。

7/15に麓健一×澁谷浩次という夢の2マンを観るために大阪へ行く予定にしていたのだけれど、その夜も必ずやPhoe~beに寄ろうと心に誓った。しかし、昨年10月七針での両者の邂逅を逃していた身としては、今回の主催である音凪さんには感謝してもしきれないな。

しかもその翌日7/16には同じ会場でコルネッツとゑでぃまぁこんの2マンが予定されているのである。すさまじいな音凪。

ちなみについ最近麓健一さんにTwitterをフォロー頂いたのがとてもうれしかったです。
去年末に出たアルバム『3』、圧倒的な作品ですので各位マストチェックでお願いします。

7月は立川のFESTIVAL FRUEZINHOもあるし、この前ついにフジロックの30日日曜日の1日券も取ったし、大きなイベントが多くて楽しみ。フジロックはかれこれ4年振りである。ROTH BART BARONがどんな演奏をするのかが一番のメインでありますが、久しぶりに丸一日苗場で過ごすこと自体を楽しめるといいな。

ROTH BART BARONといえば5/16の新代田FEVERでのワンマンライブ『NEW DOOR』を観に行った。ロットの新しいことが始まりそうな場はなるべく見ておきたいのだ。

序盤の「Skiffle Song」で自然発生した "ホウホウ 燃える" のシンガロング。この後三船さんもすぐに「この感じ久しぶり」という旨のMCをしていたように非常に感慨深い瞬間を体験しかなり胸にきてしまった。と同時に「Skiffle Song」でシンガロングが起きるなんてわたしが見てきた限りでは初めてだったので、どこか遠いところまで来たようななんとも不思議な時間でもあった。

その前の週末にはSlawek Jaskulkeの演奏を聴きにめぐろパーシモンホールへ。

公演が発表されて即座にチケットを取りにいったら最前列を指定できてしまったので、ワクワクでパーシモンの最前列に着いたのだが、この日はどうにも疲れがあってコンディションが整わず、共演の横山起朗さんの演奏の大部分で眠ってしまった後のスワヴェクの演奏も細部まで集中して観たというよりかは全体の音の雰囲気をぼんやりと楽しむに留まった。それはそれで極上であることに変わりはないのだが、あのスワヴェク・ヤスクウケであるからには見れば見ただけ幅のある楽しみ方ができるのも確かであろう。今回のツアーに組まれていた米子の教会とかで見直したかったな。何年後かリベンジに期待しよう。


5月末にはWorld Standard ×ミンモアというスペシャルな2マンを観た。

World Standardは鈴木惣一朗のギター弾き語り。一つ一つのフレーズをそっと置いていくような演奏を至近距離でじっくりと体感する。去年の年明けにバンド演奏の公演がありましたけど、近年のWorld Standardの楽曲はアルバムバージョンに近いバンド編成での演奏と、ミニマムな鈴木惣一郎弾き語りver.のどちらも出来るならばライブで観たい。「マロニエ」、「夕なぎ」といったアルバム『EDEN』の曲が特に染みた。World Standardで一番好きなアルバムは『EDEN』かもな。

続いて、初めてライブを観られるのを楽しみにしていたミンモアのステージ。これがもう突き抜けるように素晴らしかった。フォークロックのツボを全て押さえているかのような伸びやかでバランスの取れた演奏。そして、いい曲ばかりなのは元から分かっていたけれど、同時に実はあんなにバンド演奏が映える曲ばかりだというのは全く想定していなかった。

具体的な曲を挙げると「強い風」、「オオカミ」、「飛行機」あたりが特に素晴らしかった。

この日の会場である神田POLARISの、人通りの少ない閑静な路地をガラス張りの店内からのぞむような環境も抜けのよく落ち着いた両者の演奏にマッチしていて気持ちよかったのに加えて、この日は夕方くらいに神田・神保町まで出てきていたのだけれど、天候もよく、ライブも含めて街としてすごく静かで爽やかな時間を楽しめた実感があり、大充実で帰路に着いた。今後ありとあらゆるライブは全部神田・神保町で開催されてくれないかな。

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