2024甲子園 準々決勝分析③ 京都国際(京都)-智弁学園(奈良)

京都国際
勝ち上がり
1回戦 7-3 札幌日大 (南北海道)
2回戦 4-0 新潟産大付 (新潟)
3回戦 4-0 西日本短大付 (福岡)

<チームの強み>
・徹底された打線
高い守備力や走塁意識、犠打の精度も目を引くものがあるが、3試合見た中で最も目についたのが「徹底して低い打球を打つ」という打線の意識。秋大会から本塁打は1本も出ていないものの、各打者が徹底してミートし、低く鋭い打球で大振りすることなく繋いでいく意識の高さが異常。その証拠として三振数が非常に少なく、1回戦では2個、2回戦では1個、3回戦では5個。徹底しているのでどんな投手に対しても対応できる、いい意味で欲深くない洗練された打線。

・完投能力のあるダブルエース
3年生の中崎①が初戦と3回戦で2桁奪三振を記録し完投 (3回戦では完封)、2回戦では2年生の西村⑩が完封した。いずれも左腕で、特徴としては球速以上に球が強くノビを感じさせ、中崎はスライダー、西村はチェンジアップで空振りが取れ、崩れる気配を見せない。交互に先発して完投するので役割分担がしっかりされており、疲労も分散されている。

<チームの不安要素>
・打線が意外と決め切れない?
2回戦では11安打、3回戦では16安打を記録した打線だが、いずれの試合でも4得点にとどまっている。もちろん相手投手の粘り強さも光っていたが、打率のわりに得点が少なく、攻撃時間は長いものの決め切れない印象がある。準々決勝以降は中崎も西村もある程度は失点することが予想されるので、こう決め切れない状況が続くようだと決定的な1点を奪えず、逆転負けという状況に繋がる可能性がある。

・継投という状況になったときの対処
序盤から二枚看板が崩れることはないと思うが、終盤まで競った展開の場合はどうしても継投が視野に入ってくる。そうなったときにスパッと継投できるかに注目。「自分たちの形」をしっかり持っているチームだからこそ、想定外の事態が起きたときにスパッと投手を変えられるかが重要になってきそう。

智弁学園
勝ち上がり
1回戦 9-6 岐阜城北 (岐阜) ※11回タイブレーク
2回戦 2-1 健大高崎 (群馬)
3回戦 6-3 小松大谷 (石川)

<チームの強み>
・奪三振マシーン・田近
2回戦では選抜優勝校の健大高崎を、3回戦では大阪桐蔭に完勝した小松大谷の打線をきりきり舞いにしたエース。左右関係なく投げ分ける2種類のチェンジアップが絶品で、スライダーの切れも素晴らしい。130球近くを投げて中1日という意味では疲労も心配されるが、そうそう打てるような球ではなく、投手の柱になっている。

・長打で打開できる打線
低反発の環境では珍しく、打線が長打で打開できる。小松大谷の投手陣に対して8安打で6得点という効率の良い攻めを見せたが、それはすべて長打。準々決勝以降は投手のレベルも高くなってくるが、好調のリードオフマン佐坂③、捕手の山崎②などを軸に長打で違いを作りたい。

<チームの不安要素>
・田近以外の投手陣がかなり格落ちする
田近が完投した2回戦を除き、タイブレークの初戦と3回戦では田近以外の投手が登板したが、制球を乱す場面も多く、田近に比べると大きく水準が劣る投手陣となっている。準々決勝以降をエース1人で凌ぐのは限りなく難しいので、どれだけ踏ん張れるかがキーになりそう。個人的には昨年も1年生ながら登板のあった田中に期待したい。

<展望予想>
疲労が心配されるがおそらく智弁学園は田近が先発。京都国際は持ち前の徹底された打線で低めの変化球をしっかり見極めたい。田近の攻略ができればまあ京都国際だろう。智弁としてはとにかく田近の出来がカギ。京都国際の打線を超えるような出来が求められる。そうなると勝負は終盤。智弁が勝つとしたら僅差で終盤まで行って京都国際を慌てさせ、ワンチャンスをモノにしたい。そういう意味では前にも述べたように、仮に僅差の試合になるなら少し気になる「決め切れない京都国際の打線」というのは響いてきそう。脱却できるか。

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