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教員と科学技術

   教育ニュース。教員不足にテクノロジーで対応するという話をテレビでしていました。この夏教員採用試験を受ける身として非常に関心のあるニュースでした。
    内容としては、教員不足の現場に様々なテクノロジーを取り入れて対応していくというものでした。コロナも相まってよりデジタルが担う部分が増えているように感じました。
   ふと考えたのは、まずなぜ教員が不足しているかという根本的な課題です。鹿児島県では数年前は10倍という難関をくぐりぬけた受験者だけが県教員になれたという過去があったそうです。しかし今では3倍もないという下落よう。一体なぜか。それはブラック業界だという認識が強くなっていることが大きいでしょう。残業代は出ない。業務のノルマはない。休憩時間もなく、学校の校務に追われながら授業の準備。傍から見れば社畜そのものです。そして教員が最も頭を悩ますであろうものは、保護者対応だと思います。我が子がかわいいあまりにあることないことクレームをつけられたらたまったものではありません。教員は指導、教育が専門です。世の保護者は教員養成課程を修了して、先生の視点を持ち合わせるべきだと、大学で学びながら思います。
   そして、政府、省庁も現場を知らないお役人が並んでいるのではないかと思います。どのような採用過程を踏まえているか分かりませんが、現場を知っている人が、この現場の激務を見過ごしているなら高い椅子から降りてくるべきでしょう。Twitterは教育のトレンドで溢れていますが、この4月の多忙さは目を覆いたくなるものも多々ありました。「お前が選んだ仕事だろ。」と言えばそれまでですが、果たしてボロボロの教員が質の高い教育をする余裕があるのでしょうか。票を集めるために高齢者に媚びへつらう政治家はどれも保身です。日本のことを思って出馬するなら、教育現場と出産、育児が何より重要だと思います。
   このような杜撰な対応を強いられた教育現場を、教員養成課程の学生は様々な場面で見聞きし、今の不足という現状に至るのではないかと考えます。

   話はニュースに戻りますが、教員の業務をテクノロジーに任せるという改革はとても素晴らしいものだと思います。しかし問題視しているのは、子どもの教育をAIが直接引き受けている場面です。人の仕事と、科学技術の仕事は、担当すべきことは異なるはずです。子どもの教育をAIが担うと、AI教育を受けた子どもは、将来人間社会に馴染むことができるのでしょうか。その子が表した答えに対して苦手を見つけ、克服させることはAIにはできるかもしれません。ですが、その子がなぜその分野が苦手なのか、適した対応、指導の仕方かないのか、その子の人生と向き合うことはAIはまだできるとは思えません。人として同じように学校生活を過ごしてきた人間(教員)だからこそ教えられることが、教科を含め多岐にわたっていると思います。


   現在は教員免許更新制が廃止され、卒業後はいつでも教育現場に参入することが可能になる身です。日本の未来を創る子どもに良質な教育を、そしてその教育の質を高め、提供する教員に、より快適な労働環境を提供するべきだと強く願います。1年後には、前線で踏ん張っている先輩教員と一緒に、日本の担い手となる子ども達を育てる教育者をめざしたいです。

おわり

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