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七十二候【腐草為螢】 自分の中で腐ったもの、そこから光りだすものをタロットで確かめよう!

芒種の次候【腐草為螢──くされたるくさほたるとなる】

6/10より、芒種の次候【腐草為螢くされたるくさほたるとなる】。

草の中からホタルが舞い、光を放ちだす頃。昔の人は草場からホタルが舞う様子を見て、枯れて腐った草がホタルになったと思いました。

カードを引いて、あなたの中に光るホタルがどんなものかイメージしてみましょう!
その後、腐草為螢と対応カード「ソードの10」の関係を考察します。

やり方

1.腐草:あなたの中で腐って終わりを向えたもの
2.螢:終わりの中から生まれた光

「腐草」と「螢」、それぞれにカードを引きます。これは、あなたの中で腐って終わりを向えたものと、その終わりの中から生まれた光を示す、と読みます。でも、腐草や螢があなたにとって他のなんらかの象徴的意味を持つなら、それに沿って読んでも構いません。

単に「こんな草から螢が出てきた」と風景をイメージするだけでもよし!

サンプルリーディング

1.腐草:ワンドの8
2.螢:ワンドの6逆

腐草、タイツタロットのワンドの8は、光るエネルギーを放ちながら飛んでいくタイツたちの絵。こちらの方が螢に見える絵です。

螢、ワンドの6は堂々と勝利のパレードをする人たち。これが正位置なら情熱の光にあふれ飛ぶ螢という見立てもできますが、逆位置ではなんだか堂々とせず、コソコソしたイメージも浮かびます。こちらの方が腐っていそう。

どちらかというと、腐草にワンド6逆が、螢にワンド8が出た方が、絵とのイメージがしっくり来ます。

カードの立場が逆転している?

こんな風に「他のポジションに出た方がしっくり来るのに」と感じる場合、なんらかのねじれやひねり、立場の逆転が生じている、と考えるのもアリです。

ここでは草と螢の逆転。螢が消えたので草が元気になった、みたいな読み方もできます。

もしそう取るならどう読めるでしょうか?

ワンド6は評価する側・される側の関係があるからこそ成り立つため、「他者」の存在が意識されます。人の目を気にして、それに認められそうな振る舞いをすることで承認を得ます。他者からの見え方を無視できないカードです。

ワンド8ではもう人の目は関係ありません。情熱は結晶化し、揺るぎないところまで高まっています。

通常、ホタルが光るのは、「プロポーズのため」「刺激された時」「敵を驚かせるため」の3通りの理由があるそうです。自分以外の存在に見せるための光、これはワンド8というより、他者の存在ありきの6に近いようです。

螢のような人の目に美しい光を放たなくても、腐草は人目に関わらず情熱を高めている。周囲からは腐って見えようが高い熱意を持っている……そんな風に読めそうです。

タロット対応は「ソードの10」

次に、この候に対応するカードを見てみましょう。

タロット暦

タロット暦によれば芒種は引き続き双子座のシーズン。双子座のカードは「恋人たち」です。そして芒種の次候である腐草為螢は「ソードの10」に対応します。

ソードの10

カードと季節を結びつけるには、「ソード10の腐草為螢っぽさはなにか?」「腐草為螢のソード10っぽさはなにか?」を心の中で考えます。

詩歌に詠まれる、ホタルは死者の魂

ホタルを死者の魂とする詩歌はいくつもあります。

中国の白居易はくきょい長恨歌ちょうごんか』には、

夕殿蛍飛思悄然
(夕方の宮殿に蛍が飛んで、物思いは憂い悲しく)

白居易『長恨歌』より

という一行があります。ホタルを見て亡き楊貴妃ようきひを偲ぶ場面です。

この詩を受け、『源氏物語』ではこう書かれます。

蛍のいと多う飛びかふも、「夕殿に蛍飛んで」と、例の、古言もかかる筋にのみ口馴れたまへり。

紫式部『源氏物語』幻の巻

源氏も白居易の詩を思い出しながら、ホタルに紫の上の魂を見ています。

さらに次の和歌では、体を離れて浮遊する我が魂としてホタルを見るのです。

物思へば沢の蛍も我が身より あくがれ出づるたまかとぞ見る

『後拾遺集』より和泉式部の一首

他にもホタルを魂と重ねる詩歌はたくさんあります。

死者の魂とホタル……ソードの10で剣に刺された人物の魂がホタルとなって現れる絵をイメージしてみましょう。

スタジオジブリ『火垂るの墓』

終戦直後の日本、戦災孤児の二人の兄妹が描かれる高畑勲監督のアニメ作品です。蛍のように儚く消えた2つの命の悲しみが鎮魂として描かれます。

節子の「なんでホタル直ぐ死んでしまうん?」というセリフが印象的でした。

ジブリにしてはあまりに暗いこの作品と、ソードの10の死と暗さを重ねてみます。

ホタル成虫の寿命は10日

ゲンジボタルの場合、寿命は1年ほどありますがそのほとんどは幼虫時代。光を放つ成虫になってからは10日ほどしか生きられません。

生涯の最終段階を、スートの最終段階である10のカードとして見立ててみます。正確に「寿命10日」ではありませんが、ソードの10を10日と覚えてもよさそうです。

水辺

ホタルは水辺に生息する生き物です。ソードの10も水辺のシーンです。

また、ホタルは水の環境が汚染されると生きることはできません。環境を汚染され生きられなくなるホタル=ソード10の人物、と照らし合わせてみます。

空の黄色い光

ソード10の空は黒いですが、わずかに黄色い光の部分も見えます。

これを闇夜に光るホタルの光と見立てましょう。

腐れたる草=死体?

10本の剣に刺された人物は死体で、このまま放置しておけば段々腐っていくはずです。これを枯れて腐っていく草、と見なすこともできそうです。

こじつけでも思い出せればよし!

七十二候と対応カードの対応は、毎回こじつけのようにやっていますが、それで「思い出せればよし」です。

ソード10を見て腐草為螢を思い出せればいいし、逆に腐草為螢からソード10を思い出せれるようになればいいのです。

思い出せる、というのは心の中でその間につながりができたということ。このつながりが象徴を扱う際の力になってくれるはずです。

他にも腐草為螢とソードの10の関連性があれば、考えてみてください!