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テレワークゆり物語 (2)MZ-80Bとの運命の出会い

このパーソナルコンピューターという機械は、冷蔵庫や電子レンジと違う!

時は1983年。スペイン語の授業に落ちこぼれ、目指していた英語の教員免許の取得も危ぶまれ、自分の未来を見失っていた大学3年生。叔父から「使わなくなったパーソナルコンピューターがあるんやけど、いるか?」と言われたものの、超文系人間の私には「はあ…」という感じ。ところが、全部で約40万円したという話を聞いて、貧乏学生の心が変わった。

とりあえず貰っとこう。

その機械を手にして、まず驚いたことは、最初にカセットテープを入れること。しかも電源を入れると、音楽ではなく変な音がして7分後に起動する。でも、タイプライターになったり、インベーダーゲームになったりする。こ、これは、すごい。冷やすだけの冷蔵庫、温めるだけの電子レンジとは、ぜんぜん違うやん!

何だかよくわからないけど、コンピュータ雑誌に書いてある数字と英語の羅列「マシン語」とやらを、3日ほどかけてカセットテープに入力すると、風船割りゲームまでできる! これまで感じたことのないワクワク感が、体中をめぐった。

この機械の未来を見てみたい。

かくして、スペイン語を専攻していた女子大生は、コンビューターメーカーへの就職を目指すようになる。

もし大学時代にMZ-80Bというパーソナルコンピューターの名機種と出会っていなかったら、間違いなく、私は今「テレワーク」とは無縁の世界で生きていただろう。

MZ-80Bとの運命の出会いをくれた叔父は、10年前に亡くなった。子どもがいなかった叔父。大切なパーソナルコンピューターを姪っ子に託してくれた事に、今でも心から感謝している。

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