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湯ワークのすすめ

“朝に目覚め夜になると眠くなる“ヒトの1日はこのように毎日繰り返されます。血圧や脈拍を多くしたり、少なくしたりして、心臓や血管の働きを調整してる自律神経や生命の活動を調整し、快適な毎日を送る事ができるようには働いてるホルモンも24時間周期として通常規則正しく変動を繰り返します。

この1日すなわち24時間周期のリズミカルな変動を医学用語では『サーカ・ディアンリズム』と呼び、ラテン語が語源で1959年ミネソタ大学のフランツ・ハルバーグ教授が命名しました。地球上に棲む全ての生命に見られる事から別名『生物リズム』とも呼ばれてます。

昔のヒトはこの周期に即して生活をしてましたが、我々現代人はどうでしょうか?日々の仕事に追われ、過度なストレスを感じながら場合によっては、生物リズムを崩しても、無理をして眠い目をこすりながら残業やスキル向上のための勉強をしている方もいるのではないでしょうか?


新型コロナ禍は世界中に多大な影響を与え、多くの犠牲をもたらしました。しかし一方で今までの生活のあり方を再認識する貴重な機会になったとも言えます。

多くの企業でリモートワーク、テレワークを推奨し、国も励行していますが、昨日まで終電まで残業や夜の御付き合いしていた生活がある日突然、在宅で仕事をするという急激な変化になかなか対応できない方もいるかもしれません。

そもそも何故リモートワークやテレワークが良いのでしょうか?「まわりでやっているから」・「会社で言われたから」理由は色々あると思います。もちろん厄介なコロナから大事な人に感染させない様にすることが第一です。ただその問いかけに対する答えを明確に聞いた事はあるでしょうか?

ここでは別の角度から、観光地での温泉を活用した労務環境の重要性をお伝えしたいと思います。

その重要性を語る前に、前知識として経済学の機会費用(opportunity cost)という概念をお話ししますと、この機会費用とは、ある選択をした場合に、別の選択をした場合に得られるであろう価値をその選択の対価(機会費用)として捉える考え方です。

最近はリモートワーク等や少し前に出来た働き方改革により、職場で過ごす時間が短くなってきたと実感する人も多いかと思います。毎朝駅でみかける満員電車に揺られてのモーレツ社員も以前よりは多くないかもしれませんが、残念ながらまだ痛勤は続いてます。

内閣府による2017年に発行した「地域の経済」では「通勤による年間の損失」を、都道府県別に列挙してます。東京都(66万2000円)を筆頭に、神奈川県(65万6000円)、千葉県(50万円)と続いてます。国の試算ではこの痛勤にかかる時間を損失ととらえているのです。

一方で機会費用が少ない5県として挙げてるのが鳥取県、山形県、島根県、青森県、宮崎県の場合で、平均額は34万1000円と算出されてます。この他に地域間の住宅コスト(他地域との家賃の差額)は毎年36万〜52万円程かかることからおおまかに試算しても、東京都や神奈川県で働いてる人達は、合計で101万〜117万円の通勤コスト(社会的損失)をかけながら働いていることになります。

色々賛否はありますが、痛勤にかかるコストが毎年約100万程かかるので地方の方が利点があるとするならば、今の働き方を続けるか否か参考になるかもしれません。

そこでこの問題を解決するのに注目されているのが国の奨めてるリモートワーク・テレワークです。プラス温泉も加えたのが今回のメインのテーマである仕事の合間に温泉に漬かる即ち湯ワークです。

痛勤にかかる時間を家族や友人と一緒に観光やアクティビティに費やし、仕事とレジャーの確立を図り健康にも良い影響を与えるとしたならば、機会費用は良い意味でのプラスに働く事でしょう。
更に観光地でも温泉地の場合、更なる温泉による相乗効果があると言えます。

具体的には温泉には①薬理効果 ②温熱効果 ③浮力効果 ④水圧効果 ⑤転地効果等様々な効用があります。

薬理効果とは温泉大国の日本では多様な温泉がありますが、温泉の成分に応じ、例えば“硫黄泉”など「泉質名」で泉質ごとに「適応症」という効能が認められています。
入浴することで表面の皮膚から成分が吸収され、泉質に応じた効能が発揮されるのが薬理効果です。

温熱効果
これからの寒い時期、適温の温泉に入ると身も心も体が温まります。そして全身の血行が促進されます。血行が改善すると、新陳代謝が高まり、体の中の老廃物が体外に排泄するのを促す効果が表れこれを温熱効果と言います。

また湯温によりその効果も違います。温度によって2つの自律神経が活性化されます。一般的に42℃以上の熱い温泉に浸かると交感神経が働き、スッキリ目が覚め、リフレッシュ効果が期待できます。37~40℃の湯温の場合、反対に副交感神経が働き、リラックスして落ち着いた気分になります。

浮力効果
これは温泉に限らずリハビリにも取り入れられてますが、浮力により体が軽くなる事を生かし、湯船に入ると浮力が働き体重は約10分の1になります。その結果、体重を支えている筋肉や関節に負担をかけず、体全体の緊張がほぐれ、リラックス効果があります。

水圧効果
脚には全血液量の約三分の一が集まり、この血液が心臓に送り返されるため「脚は第二の心臓」と言われることがあります。しかし脚の血液は、陸上では、重力が邪魔をして血液が心臓まで上がりにくくなります。入浴すると、水圧で血管が細くなり、血液が心臓に向かって押し上げられます。

いわゆる「ポンプアップ効果」です。この他にも水圧によって内臓が刺激され、低刺激で内臓をマッサージしている状態と同じになります。このように普段は重力によって血液の巡りが悪くなりがちな脚の血行・むくみも、水圧効果によってポンプアップされるので、血液やリンパの循環の巡りがよくなります。女性の多くがお悩みの足先の冷え性やむくみ等、これらの症状に悩んでいる方には嬉しい効果といえるでしょう。

転地効果
温泉の効用はこのように色々ありますが、誰しもが感じる効果として「転地効果」があります。普段、日常生活を送っている土地から、温泉地に足を運び地元のお食事等楽しむ、すなわち異なる環境に行くという「転地」をすることによる効果を指します。

転地には五感を刺激し、自律神経を活性化するなどの効果があるとされ、これによりストレス解消や精神的疲労の回復が期待できると言われてます。

この事に関しては、日本温泉気候物理医学会が発行してる 学会の雑誌によると、大分県別府の検証事例を取り上げてます。

高齢者向けの温泉観光をはかることは,高齢者の健康増進をも進めることができると期待できるとされ、具体的には温泉観光ツアーを催し,4泊5日という短期間でも,高齢者において,ストレス解消と血清コルチゾール値等、心身のストレスを軽減する数値をみても改善効果があらわれたとの事です。

筆者がこの「転地効果」が重要だと痛感したのは、以前留学してたドイツでの実体験にあります。当時在籍していた大学で日々勉強に追われ、恐らく周りにいたドイツ人の友人が目が三角になってる筆者の心理状態を心配したのでしょう。

フライブルグという街にいたのですが、週末比較的近くにある観光名所のバーデン・バーデンに行く事を勧めてくれました。この街はバーデン=ヴュルテンベルク州にあり、有名なシュヴァルツヴァルト(黒い森)の北部にある自然も多い緑豊かなドイツ国内でも有数の温泉街です。

筆者自身温泉が大好きですので、時間があれば日本国内の名湯といわれる各温泉地に訪れましたが、ドイツでは温泉はリラックスするというよりは、どちらかと言えば療養目的が主であると思います。

街中には色々なスパがありましたが、数ある個性的なスパの中で、筆者が訪れたのが、『FRIEDRICHSBAD』フリードリッヒバードという外観が宮殿建築を思わせるような重厚なスパでした。

http://www.carasana.de/en/friedrichsbad/home/

このスパでは色々な面で驚かされました。入ってまず最初に驚いたのが、更衣室自体は男女分かれてますが、入浴時は混浴でしかも日本のようにタオルで隠さないで、皆生まれたままの姿で施設内を巡るのです。これにはさすがに参りました。

なんせ屈強なゲルマンの人々に囲まれ、ブロンドの美女が目の前にわんさかいるので目のやり場に困りました。更に入浴方法にも困惑したのが、施設内には色々な浴槽やサウナ等ありますが、それぞれ入浴時間が厳格に決まってる事でした。

周りのドイツ人達は時計を見ながら出たり入ったりしてましたが、さすがにドイツ人はpünktlich(厳格)な国民だと苦笑いしたのを覚えてます。

ただ不思議な事に彼らと同じように入浴した後、街中のレストランやブラームスの記念館等、散策して帰ると日帰りでしたが、落ち着いた気分になり、
前述のサーカ・ディアンリズムに基づく活力ある自分に戻る事が出来たように感じ、翌日から心機一転集中することが出来ました。この転地効用を勧めてくれた友人には今でも感謝してます。

ストレスを解消する方法はヒトそれぞれ多様です。どれが正解ということはありません。ただこれはあくまでも一知見ですが、温泉に漬かりながら、仕事とレジャーの確立を図り健康にも良い影響を与え、サーカ・ディアンリズムを維持し知的生産性を図ったり、仕事の成果を出す事は、実体験からも自然なように思います。

最後に当施設が『田園』としたのはベートーヴェン の代表作 交響曲第6番「田園」に由来します。
御存知の通り、作品を生み出すため塗炭の苦しみを味わいながら、数々の名曲を生み出しました。

しかしその代償として難聴が悪化してしまいました。兄弟に宛てた手紙でも酷く落ち込んでいたようです。療養と澄んだ空気を求め、音楽家として最も大切な聴覚を失っても、眼前に広がる素晴らしい自然の風景が絶望の淵にいた彼を優しく受け入れ、癒したのでしょう。

第一楽章は「田舎に着いたときの愉快な気分」を表したものと言われてます。当施設もベートーヴェンの自然に対する純粋な気持ちをここ田沢湖の自然でも再現できるよう触れて頂き、御客様にも是非とも感動を味わって頂きたいと思っております。

そして湯ワークによる温泉が、「転地効果」により、乱れた生活のリズムを戻し、あるべきサーカ・ディアンリズムを戻すのに非常に効果的であると考えてます。

現在、国も各自治体もGo to トラベルや地域プレミアム宿泊券の併用等様々打ち出しております。全国各地にも魅力的な観光地やプランが沢山あります。

その中でもこの機会に秋田県に来県して頂けたら多くの魅力を発見できると思いますし、
紺碧の湖田沢湖とその周囲を取り巻く雄大な自然が訪れる貴方を優しく包んで癒してくれるでしょう。
 
Viel Spaß! und gute Reise! !

御予約(長期滞在割引有)等 お問い合わせ先

1棟貸し切り温泉付きコテージ
(Go To トラベル対象施設・
  秋田県プレミアム宿泊券利用可能施設)
 
フォレスト倶楽部 田園
〒014-1201 
秋田県仙北市田沢湖生保内字下高野73-21
☎・FAX:0187-46-2631  
メール:umwelt@topaz.ocn.ne.jp

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