真説佐山サトルノート round 21 初期シューター
正当なノンフィクションは思い出したくない過去を掘り起こし、被取材者を傷つけることもある、この連載で書いた。
佐山さんは修斗の話題になると機嫌が悪くなる。そのため弟子たちは修斗には触れないという。そのため、なぜ離れたのか、そのとき何を考えていたのかを誰もきちんと訊いたことがない。
当時を知る格闘技ライターの布施鋼治さんに相談すると、取材すべき人間を何人か教えてくれた。そのリストの一番上にあったのが、石川義将さんだった。
石川さんと待ち合わせをしたのは、御堂筋線の江坂駅だった。江坂駅は高架になっており、古い鉄製の階段を降りると車通りの激しい道路になっていた。約束時間の少し前、石川さんが車で迎えに来てくれた。そして、近くのファミリーレストランに向かった。
今も鍛錬を続けているのか、ジャケットの上から上半身の筋肉を保っていることが見て取れた。
「本当のこと、ぼくは書いてもらいたいんですよ」
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