見出し画像

39歳父の竹修行奮闘記 第十三回「正六角形に近い、六つ目を編め!」

【前回までのあらすじ 】
39歳でひょんなことから別府で竹細工を学ぶことになった私。竹細工をする上で、とにかく大事な材料作りであるひご取り。竹を割って、剥いで、幅を揃えて、面を取って、うらすきで厚みをそろえて、とうとうひごが出来上がる。まず風車と四海波かごを作って、いよいよ第一課題「六つ目編み盛りかご」へと突入した!

前回は「六つ目編み盛りかご」の材料加工について紹介した。材料が一通り揃ったので、いよいよ編組(へんそ:編んだり組んだりする作業)へと入る!

今日は六角形が連なる編み方「六つ目編み」を紹介する。この記事を読めば、誰でも六つ目編みができるようになる、はずだ。うちの六年生の息子に検証してもらおう。

7本目までは丸覚えでOK

ではまず、竹ひご(もしくは似たような細長いもの)を用意する。地べただと腰が痛くなるので、机の上でやるか、地面に座る場合は何か台を用意するといいだろう。

まず1本目。斜め60°くらいに置く。赤いひごが現在説明している手順のひごなので、赤いひごに注目して、手順を追ってみてほしい。

2本目は1本目と左右対称の60°に上に重ねる。

3本目は水平に下に差し込む。1本目の下、2本目の上に入るように差し込むのがポイントだ。この三角形の形状をよく覚えておこう。

4本目。1本目と平行に、2本目の下、3本目の上に差し込む。

5本目。2本目と平行に、1本目の下、4本目の上、3本目の下に差し込む。ここまではとりあえず見たままを丸覚えで大丈夫。

さあここから規則性に沿って編んでいく。まず5本目で現れた五角形に注目しよう。この五角形を見つけることが、今後編んでいく上で、最も大事となる。なぜなら、五角形はもう1本ひごを足せば六角形になるからだ

そして、ここで面倒をいとわずに専門用語(というほどではないけど)を覚てほしい。

おさえ(おさえる)対象のひごの上を通ること
すくい(すくう)対象のひごの下を通ること
組み替え おさえとすくいを逆に変えること

日常の言葉から逸脱してない用語なので、理解は難しくないだろう。さあ続けよう。まず下の図を見てほしい。

五角形が出現したら、ひごの入れかたは常に上の図の通りだ。つまり五角形の右上に伸びるひごはすくって、左上に伸びるひごはおさえる。この通りに入れてみると、こんな感じだ。

ようやく六角形ができた!と小躍りしていてはいけない。このままではせっかく入れたひごが抜けてしまうので、組み替えをする。組み替えについては、以下の図を見てほしい。

そして組み替えをした後にようやく六角形が完成だ!

ひごを順番どおり、規則どおりに入れても、残念ながらきれいな六角形はできない。六角形ができるたびに、目で見て、なるべく正六角形に近づけてやる手直しが必要だ。だが悲しいかな、ひごは曲がっているので、絶対に正六角形にはならないので、こだわり過ぎると一生終わらない。

ここでは五角形が現れなかったので、以下のように、おさえとすくいを交互にして、六角形の上に7本目のひごを差し込む(ここまでは丸覚えで構わない)。

8本目からは規則通りに編む

気づいただろうか。また例の五角形が出現した。しかも同時に二つ。通常右利きの人は右回りに編んでいくので、右から編んでいこう。

先ほどの規則を確認する。五角形が現れた場合は、以下のようにするのだった。

それでおさえとすくいの数を確認しながら、差し込む。

六角形ができたら、その上の三角形の組み替えをして、入れたひごが抜けないようにしよう。

9本目。五角形の上に、おさえとすくいに注意しながら、ひごを差し込む。

このままだとひごが抜けてしまうので、六角形の上の三角の部分のひごを組み替える。

10本目。同じ要領で五角形の上にひごを入れて、

三角のひご2本を組み替える。

11本目。同じ要領で、おさえとすくいに注意しながら、五角形の上にひごを差し込む。

このままだとひごが抜けてしまうので、六角形の上の三角のひごを組み替える。

12本目。ここは五角形が2つになるので注意が必要だ。必ず五角形の右上のひごはすくい、左上のひごはおさえる。

そして組み替えも注意が必要だ。五角形の数だけ組み替えが発生する。組み替え忘れは後で面倒なことになるので気をつけよう。

といった調子で、どんどん編み進めていけばOKだ。たとえ五角形の数が増えても、規則は同じだ。以下の図を見てほしい。

上の図のように入れて、できた六角形の上の三角のひごは必ず組み替える。覚えてしまえばとてもシンプルだ。

同じ要領で、今回の課題では5段目まで編んでいく。一枚作るのに必要なひごは6×5=30本だ。ひごの長ささえあれば、編み目はいくらでも増やしていける。6段なら36本。10段なら60本。15段なら90本といった感じで。

ちなみに5段まで編むとこんな感じだ。今回は一段ごとに練習用の染色ひごと通常のひごを交互に使ってみた。

いやあ美しい。幾何学模様はなんともいえない達成感を与えてくれる。没頭して時間が経つのを忘れてしまう。

ところで、お気づきだろうか。

今回は練習用の身竹(表皮のつるつるした部分を剥いだ竹)を使っているのでわかりにくかったが、実は節の部分をどこに置くかについても決まりがある。中心に近い位置のおさえ部分に使う、と決まっているのだが、初心者は特に気にしなくていい。まずは六つ目を編む楽しみを味わうことが大切だ。

またきれいに編みたい人は、とにかく六角形を作ったら、すぐにその形をしっかり手直ししてやることで、正六角形に近い幾何学模様を作ることができる。

訓練校で教わった方法や他の教材で紹介されている方法などもあるが、私なりに一番伝わりやすい方法を模索していきたいと考えている。

なので、上記の作り方を見ながら作ってみて、もしわかりにくい点(特に組み替えの手の動きでおそらく苦戦するはずだ)などがあったら、コメントでもメッセージでもよいので教えてほしい。そうしたみなさんからのフィードバックが、今後竹をやっていく上での糧となる。

さあ底編み(今回紹介した5段の六つ目編み)が出来上がった!

次回はこれを立体に立ち上げていく、「立ち上げ」「胴編み」を紹介する予定だ!乞うご期待!

いつもご覧いただきありがとうございます。私の好きなバスキング(路上演奏)のように、投げ銭感覚でサポートしていただけたらとても励みになります。