【詩】九

あなたが全うできなかった職に
わたしは10年早く就いてしまう

本当ならば
わたしのゆく道の先にはあなたがいて
ずっと追い越せない星のように
光り続けているはずだった

空高く登れば登るほど瞬けるのに
あなたは人知れず山を降りた

聳え立つ山に目を背け
麓にとどまって

その山の残酷さも
わたしの未熟さも
痛いほど理解した上で

それでもわたしの知らせを
心から喜んでくれる姿が浮かぶから

わたしは悔しくてたまらない

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