ざっくりでいいから大体の状況を教えてと聞かれたら......あなたは答えられる?| 書評:地頭力を鍛える 細谷功 著
はじめに
インターネットの情報量にのまれて、物事が進まない、、思考が複雑になって、上手くまとまらない、、コミュニケーションが上手くとれない、、(全部僕)ということを感じたことがある人であれば、今回紹介する本はとっても助けになるかも知れない、ですので、ちょっと読んでもらえれば嬉しいです。
あなたは瞬時に答えられる?-3つの思考力
例えば、あなたが何かプロジェクトを進めていたり、来週に提出をしなければならない計画案を練っているとする。
「ざっくりでいいから大体の状況を教えて」
先生や上司にこう言われた時、うまく答えられなかったり、日を改めて報告したところ、全く持って視点がずれていることをしていて、時間を無駄にする、といった経験はあるだろうか? 私はめちゃくちゃある。これ、すごくつらい。
もし答えられなければ、それは物事に対して「結論から」「全体から」「単純に」考えられていない証拠である可能性が高い。
そしてそれは、インターネットによる情報化社会を生き抜くに当たって致命傷になる可能性がある。
その課題感と、対策=物事に対してどう考えるか?またどういう風に能力をあげていくかを構造化してくれる、めちゃくちゃいい本を見つけた。ぜひ共有させて欲しい。この本である。
地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」著者: 細谷功
「結論から」 「全体から」 「単純に」 考える
まず、top message で伝えたいこの本の良いところは、地頭力という独自の定義を用いて、「考える」という行為に必要な力を分解、整理、構造化をしているところが分かりやすい。
ここではざっくりとその思考力を紹介するが、どう使われるか、ケーススタディなどは本に載っているので是非とも手にとって欲しい。
その必要な思考力は以下の3つである。
仮説思考力=結論から考える
フレームワーク思考力=全体から考える
抽象化思考力=単純に考える
この3つを支えるのは、論理思考力、直感力、そして原動力である知的好奇心である。
問題に対して、仮説ベースで解決方法を立て、問題を俯瞰し、患部を特定する。そして、解決のために、別アナロジーを適用したり、簡単なモデルにして、求めたりするのである。
前提として、その行為に対して好奇心を持って取り組んでいること。そして論理と感情、直感を行き来しながら、思考する基本能力をベースにこの3つの能力を使いこなすことで、初めて"考える"ことができる。
その3つを簡単に紹介する。
1. 仮説思考
仮説思考では、今ある情報で、結論を想定し、目的地を意識しながら、調査分析をしていくことである。ここでのメリットは大幅な時間削減である。僕含め、現代病であるように、最初から、検索エンジンで参考文献を調べたり、何かデータを調べることからはじめようとする。しかしそれでは、時間が足りなくなったり、部分的な解しか得られない問題に直面する。しかし仮説を持って取り組めば、"あたり"を持って調べることで、まずそれが外れているかどうか分かり、外れているとしてもどの程度か、を検討できる。
2.フレームワーク思考力
フレームワーク思考では、課題の全体像を捉え、対象を分解していく思考法である。メリットは全体を俯瞰して、問題に取り組むことで、本質的な解決に繋がる、ということである。問題を扱う時、結局どこがネックなのか、というところを捉え、解決していくことで、全体最適に繋がる。これができないと、見える範囲や足下の問題のみを解決してしまい、部分最適で止まってしまう。
3. 抽象化思考力
抽象化思考力は、対象を近似で考え、ざっくりとした計算をする方法である。(シンプルなモデル化)また、その過程で対象の共通項をとらえ、他の事象で共通項のあるものの法則を適用することで、結論に辿りつく方法である。(アナロジー思考)ここでのメリットは、知識の活用レベルの向上による、工数の削減である。具体抽象の上り下りする力が求められる。
具体的な現象を抽象化して、ブックしておくことで、未知の問題に対して、闇雲な情報検索の前に、参照できる事例を自分の中で抑えておくことで、それらを適用することができれば、それなりの確度でかつ時間を短縮し、挑むことができる。
最後に
つまり、言いたいことは、調べることから始めてはいけない、考えることから初めよう、ということである。
とにかく落とし所、目的から考え、プロセスを立ててから進めることである。
考えるときは、パソコンから手を離し、考えることが必要である。
またそれができれば、その事例、経験を抽象化して、自分の脳に蓄積することで、情報を活用する能力をあげることができる。
事実のみを蓄積した物知り(=what)ではいけない。なぜならそれは、インターネットの存在によって代替されるからである。それよりも、自分の経験、事例を抽象化し、柔軟に活用できる知識(=why)を蓄積し養っていける脳みその立て付けを作っていくことが大事である、ということである。
ここでは書ききれないケーススタディやそれぞれの思考に対する効能やシナジーがこの本には書かれているので、是非とも手にとって欲しい。間違いなく価格以上の価値がある。
僕も本当にまだまだだけども、本質的なことは身に付くのに時間がかかるけども絶対に必要な力である、と確信し、苦しみながら血肉にしていくのである。No pain No gain.
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