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何暗
2019年3月27日 14:05
さまよっていたレンズが不意に焦点にゆきあたる。手さぐりで時刻は5時35分、天窓はまだ暗いが、足元の窓には曙光の末がある。ベッドからずり落ちかけたデニムを掴み、上体を起こす。朝一番に着替えることができるかどうか。これがいのちの明暗を決める。衣服、これこそが人間を人間として生かした最大のものだ。火、二足歩行、そんなものはどうだっていい。自分の身体のテクスチャを自分で加工できる。自分の身体を自分の