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何暗さんの話

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随想的なもの、評論的なもの。 わりあい大事に書いています。
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#随想

この道は失語に至る

サンチャゴ・デ・コンポステーラにゆく道は、丘につぐ丘である。 夜は星がのぼり、昼には泉が…

何暗
5年前
2

かきつばた

五月の風が吹いて、マンションにオレンジの灯がともりはじめている。この淡いグレーの空の下の…

何暗
5年前
1

「かしら」と生きる

幼い頃は、「〜かしら」という言葉を聞く機会なんてフィクションの中でしかなかった。好きでは…

何暗
5年前
5

本を買うことは、ともに暮らす相手をえらぶこと

わたしは、ようやく今一人になったところで、一人でいるのがとても心地よい。 性欲がないわけ…

何暗
5年前
7

苔に触れる

わたしは旅好きではない。 旅するならばたいがい一人旅、目当ては美術館に行ったり町並みを歩…

何暗
5年前
3

性別が人称のふりをしやがる

まったく変な話だ。 かつての恋について、ノートを書こうと思った。 書こうとして、手が止まる…

何暗
5年前
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虫と死(variation 2):花、虫、生殖

根津美術館で、同館蔵の喜多川相説作《四季草花図屏風》を一度だけ見たことがある。わたしは花をこんなにも神経質かつ露悪的に描く絵があるのかと思って驚き、すっかり魅了された。 魅了されたあまり、花一つ一つの病的なたたずまいや「花の死体」「花の首」「斬首された花」といった素性の知れない言葉ばかり感想として持ってしまって、作者・作品名等の周辺情報を全然覚えていなかった。 六曲一双の屏風ではあったと思うが、全体像さえあやふやな始末。 その絵が根津美術館の喜多川相説作《四季草花図屏風

虫と死(variation 1)

以下は2017年の夏に書いていたものです。虫についてはいくつか書いていたものがあって、どれも…

何暗
5年前
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