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2度目のHRサービスでの起業からユニコーン企業へ

効率性の向上と運用コストの削減という組織のニーズの高まりにより、ここ数年でさまざまな業界におけるHRサービスが誕生してきました。

PMRの調査によると、HRアナリティクス市場は、2022年の28億ドルから2032年には90億ドルに達すると予測されています。

そのような中で今月新たにHRサービスのRipplingというサービスがユニコーン企業入りを果たしました。この企業のCEOであるParker Conradは業界でも珍しい2度のHRサービスの企業を経験しています。

今回は、Ripplingというサービスがどんなサービスであるかファウンダーの経歴と共にまとめています。

1-1.Ripplingとは

Ripplingは2016年にZenefitsの元CEOのParker Conradが設立したスタートアップで、中小企業向けのクラウドベースの人事(HR)プラットフォームおよびProfessional Employer Organization(PEO)サービスです。

Ripplingが注力する主な分野は、給与計算、福利厚生、勤怠管理、人材管理である。人事管理だけでなく、IT管理機能も備えており、複数の異なる生産性アプリケーションを管理することができます。

1-2.Ripplingの資金調達の流れ

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Ripplingの投資家は、Y CombinaterやFounders Fundといった著名のVCによって支えられています。
また、Seedのリード投資家であるInitialized CapitalはParkerが以前創業したZenefitsでも同じステージにリード投資家として参画しています。

1-3.Ripplingの売り上げ推移

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Ripplingは、サービス開始から僅か6年ほどで$104.4M(日本円だと約135億円)売り上げを伸ばしています。また、2020年から2021年にかけての売り上げの成長率が521%増と1年で急成長しています。

1-4.サービスの特徴

Ripplingのサービスの特徴を5つ紹介します

1.自動化とワークフロー
ワークフローと承認プロセスを自動化することで、勤怠管理を大幅に簡素化することができます。例えば、PTOの申請は自動的に適切な管理者に送られ、承認または拒否されます。また、従業員が週に一定の時間を超えた場合、残業手当が自動的に開始され、承認された従業員の時間は自動的に給与支払いに同期されます。

勤怠管理のプロセスを効率化したい場合に、管理者は、タスク、チェックリスト、ワークフローを作成し、さまざまな人事プロセスを自動化することができます。

2.アラートと通知
Ripplingは、重要な勤怠管理機能を維持するために、いくつかのアラートと通知機能を備えています。例えば、従業員が残業を申請した時、休憩時間を忘れた時、未承認の勤務時間を提出した時などに、管理者に通知するトリガーやアラートを設定することが可能です。

従業員が残業に近づいたときに警告するアラートは、従業員の適切なスケジューリングと従業員の労働法の遵守を維持するのに役立ちます。アラートへのアクセスは、私たちがレビューしたシステムの中でかなり標準的ですが、時間追跡プロセスの自動化が最優先事項である場合、それは不可欠な機能です。

3.データレポートを自動で作成し分析できる
従業員データのカスタムレポートやグラフを作成することができます。例えば、従業員の離職率、報酬、アプリの使用状況などを視覚的に把握することができます。会社のマネージャーや重要な意思決定者が解釈しやすいレポートを利用できれば、全員がより良いビジネス上の意思決定を行うことができます。

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出典: Rippling

4タイムトラッキング
Ripplingはクラウドベースのソフトウェアで、従業員に複数の打刻方法を提供すると同時に、従業員が他の従業員の代わりに打刻することを防止します。タブレット端末、モバイルデバイス、コンピュータから出退勤を記録することができ、写真による記録や地理的な制限などの機能も備えています。

従業員は、Ripplingのシステム上で休暇申請を行うことができます。上司はそれを確認し、承認し、拒否することができます。これは勤怠管理ソフトの標準的な機能です。

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出典:Rippling

5.従業員スケジューリング
リップリングの従業員スケジューリング機能は、自動的にすべての従業員に適用される会社の休日スケジュールとタイムオフポリシーを簡単に作成することができます。このユニークな機能は、スケジューリングプロセスを合理化し、従業員が適切な時間に対して適切に支払われていることを確認することができます。

2-1.Parker Conradの経歴

Pakerは1980年にニューヨークで生まれ、法律事務所で働いている父と、非営利団体の創設者の母の間で育ちました。高校時代は約2年間、巻き貝の神経生物学について研究しており、1998年の秋にはハーバード大学に留学し、『ハーバード・クリムゾン』の編集長を務めました。その後、バイオテクノロジー企業のAmgen在籍中にMike Shaと共同でWikinvest(現SigFig)というポートフォリオ管理のスタートアップを立ち上げたが、Shaと対立したことから2012年にPakerは同社を去ることになりました。

2-2.Zenefitsの設立

2013年に企業の人事、給与、福利厚生の管理を支援するZenefitsを設立し、わずか2年で1600人の従業員と1万人の顧客を抱え、評価額は45億ドルに達する会社となりました。年間収益は2014年の2000万ドルから2015年には1億ドルに成長し、その年のシリコンバレーで最も急速に成長しているスタートアップとしても報じられました。しかし、2016年2月に同社が複数の州で健康保険の販売に無免許ブローカーを使っていたことが明らかになり、コンラッドはZenefitsを辞職することになりました。

2-3Parkerの2度目の起業

Threshold VenturesのインタビューにてParkerは自身が同じ業域でチャレンジした理由と経験について語っています。

I think I have this sort of very unusual experience where I started a company in the same area twice. There are not a lot of founders who have done that because most people, if they do it the first time, they get to not have to do it the second time. And I, unfortunately, was the unlucky person who had to do it another time. There are a lot of things that are easier about doing it again in the same general market or vertical. There are a lot of things that you know will work and what’s not going to work. I understood a lot of the market contours and had pretty good instincts for what was going to work. My opinions about the business generally turned out to be right because I had done it a previous time.
~同じ分野で2回起業するという、ある意味とても珍しい経験をしていると思います。ほとんどの人は、1回目に成功すれば、2回目はやらなくていいと思っているからです。私は、残念ながら、もう1回やらなければならない不運な人間でした。同じ市場、同じ業種であれば、もう一度やる方が楽なことがたくさんあります。うまくいくこと、いかないことがたくさんあるのです。私は市場の輪郭をよく理解していましたし、何がうまくいくのか、かなり良い直感がありました。ビジネスに関する私の意見は、前例があるため、概して正しいことがわかりました。~

3.まとめ

直近の資金調達では、今後1年間で7つの新サービスを提供する予定だと報道されているRipplingは今後、HRのマーケットをどのような影響を与えていくのか今後も期待したいと思います。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
今後も記事を連載していく予定なのでぜひいいねや拡散をして頂けると幸いです!



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