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2019年8月の記事一覧

ああ、疲れた

小説が書き終わらず、理屈が身体に浸透していないのか、こんなの誰でも書けるのでは?言葉ってみんな使うのでは?私、考え過ぎでは?時間かかり過ぎでは?こんなに文章書く人間きも過ぎでは?と不安になったりして、感情にまだ波があります。徐々に沈静化してきているようにも思えます。そんなときに、おおかみこどもの雨と雪を久しぶりに見て、雨がお母さんに大丈夫大丈夫してえ、と言うシーンがあり、あれが可愛すぎて悶絶し、雨

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ドライオーガズムの先生

「自分のちんこを自分のまんこに入れるんだよ」
私は男だが、彼はまるで私にまんこがあるかのような口振りで淡々と話を進める。
「てめえ目見せて。やっぱ何にもないねえ。あれだよ。自分のちんこを自分のまんこに入れてないからだよ」
彼はTohjiの歌詞みたいな言葉を織り交ぜつつ、無いはずのまんこについて話している。やっべ俺ドライアイだから涙出てきちゃった、と彼は言い、水で満たされたコップを手に取り目に注ぎ始

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成人式には絶対に行きたくありません

成人式には絶対に行きたくありません。よろしくお願いいたします。成人式には絶対に行きたくありませんでございます。どうかどうか成人式には絶対に行きたくありませんに清き一票をよろしくお願いいたします。成人式には行きたくありません。成人式が怖くて怖くてたまりません。よろしくお願いします。よろしくお願いします。成人式には絶対に行きたくありません。成人式には絶対に行きたくありませんでございます。どうか未来のた

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寝たい人

ああ、寝かせてください。子守唄でも絵本でもセックスでも何でも良いので寝かせてくださいお願いします。寝ないと眠たくなってしまって、涙が出てきます。あれは何の涙なのでしょう。たぶん顕微鏡とかで綿密に見てみても何も無く、退屈で空虚な、赤ちゃんの方が余っ程良い涙を出すと揶揄されそうな、そんな適当な涙だと思います。夜は何度経験しても慣れません。暗いからでしょうか。明るい夜もそれはそれで恐ろしいですが、暗い朝

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方丈記

「行く川の流れは絶えずしてしかももとの水にあらず」
お婆ちゃんの相槌は長く、いつも方丈記の冒頭部分で、意味ばかりあり、文化を語る滑稽な人間と等しく、聞くたびに侘びしい気持ちになる。何を言おうにも、返ってくるのは方丈記の冒頭部分で、諸行無常を伝えているのはわかるが、聞いている文章というのは、時場所、お婆ちゃんの喉の調子は違えど、全く同じように聞こえ、もとの水にあらずとは、心の底からは思えない、つまり

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ストーカー

お風呂の掃除を頼まれた。ブラシとシャワーを手に取り、浴槽の底に溜まった黒い汚れに水をかけて三擦り半、僕の肩にハエが止まった。僕は憤怒を大量に抱え、「僕はそんなに臭いのかい?」と呟いた。浴槽はチェーンをジャラジャラと鳴らし、鼻をつまむようにゴム栓を排水口に入れる。「いかれてんのか?」と呟き、浴槽を蹴った。チェーンを引っ張り、ゴム栓を外すと、先程まで大人しかったシャワーが暴れ出し、嘲笑を水圧で表現し始

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