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フリーランスのあなた!インボイスで仕事がピンチです

ご存じでしょうか、来年の10月からインボイス制度が始まります。

今の段階ではお客様からも「インボイスって何かしなきゃいけないの?」と聞かれる程度であまり関心も高くないように感じます。

しかし、実はフリーランスのあなた!あなたの仕事がインボイス制度のせいでピンチに陥るかもしれません。

そうならないために、本稿ではインボイス制度が実際フリーランスの方にどのような影響を与えるのかご紹介させていただきます。


・インボイス制度とは 簡単にいうと

そもそもインボイスとは何かといえば、「適格請求書」と国税庁が名付けた請求書の一種です。

もともとEUで導入されていた消費税(EUでは付加価値税なんて呼ばれています)の管理方法で、実は日本でも学問の世界では10〜20年以上導入の議論はされてきていました。

簡単に言えば請求書に記載する情報を今より充実させる、程度のものです。今までの請求書に加えて追加を要求される事項も

○インボイス事業者としての登録番号

○適用される税率(8%、10%)ごとの集計

○消費税額の明示

このくらいなのです。


インボイス制度の詳細については、国税庁でわかりやすくまとめたもの発信してくれているので本稿ではご説明を割愛させていただきます。


ここまでの話では請求書のフォームちょっと変えなきゃな、くらいの話のように感じます。

ですが、実際にはフリーランスの方、外注で仕事を受ける業種の方(SE、ホステス、保険外交員)で売上が1,000万円に達していない方にとっては、このインボイス制度が導入されると仕事の受注にも関わる大きな影響が出てきます。

今回はこのインボイス制度について、フリーランスの方目線でご紹介したいと思います。

「消費税のかからないフリーランスの方」はもちろん「フリーランスや外注さんへ仕事を依頼している方」側にも影響がありますので、ご自身にも影響ないかご確認いただければと思います。


・そもそもなんでインボイス制度が必要なの?


インボイス制度の内容を理解して、対策を考える上で国税庁が「何をしたくて」「何を狙って」こんな手間のかかる制度を導入するのか?そこに問題の本質があります。

なぜ従来の「請求書等保存方式」ではなく、新たに「インボイス制度」を導入する必要があるのでしょう。

背景にあるのは「軽減税率対応」と「免税事業者の益税の抑制」です。


①軽減税率への対応

インボイス制度導入の背景にあるのが「軽減税率への対応」です。R1年10月の消費税増税により軽減税率が導入され、8%と10%、2つの消費税率が混在するようになりました。

それまでの税率は商品の種類に関わらず一律だったため、税額は簡単に算出できました。

しかし異なる税率の混在により、商品の仕入れや販売時の税額計算は複雑になってきています。この辺は実務の世界で私達会計事務所もかなり手を焼いています。

単一税率の時には手集計での計算も可能でしたが複数税率になってからは税の専門家でもソフトなどの集計機能の助けがないとなかなか集計が困難になってきたのも事実です。

そこで国側もEUのインボイス制度を見習い正確な税額の管理をしよう、とインボイス制度導入へ舵を切ったです。


②益税の抑制

消費者が事業者に支払った消費税の一部が納税されず、そのまま合法的に事業者の利益になってしまう仕組みを「益税」といいます。

例えば、SEのフリーランスの方が年600万円程度の収入で仕事している場合、従来の制度で言えば、1,000万円の売上に達していないので消費税を納める義務はありません。

しかし依頼主側は消費税込みで購入したという理解であるため、消費税の計算上、仕入れた消費税を経費として差し引いて計算しています。

つまり今は

○消費税免税のフリーランス →消費税をもらい得!

○依頼主 →払った消費税をきちんと引いて計算できるのでOK

○国税庁 →フリーランスがもらい得したせいで税金が取れていない!これではうちが損をしている・・・

そうです、この「もらい得」を排除することこそ、インボイス制度導入の最大の理由なんです。


・国税庁はどうやって「もらい得」を排除するの?


では、国税庁は今の

○消費税免税のフリーランス →消費税をもらい得!

○依頼主 →払った消費税をきちんと引いて計算できるのでOK

○国税庁 →フリーランスがもらい得したせいで税金が取れていない!これではうちが損をしている・・・

この構図を、どう変えるでしょう?

シンプルに考えれば

○消費税免税のフリーランス →消費税をもらい得!

得しているフリーランス、ここを是正するのが普通ですね、消費税免税のフリーランスも全員消費税納税しなさい!といえば済むような気もします。

でもこうしてしまうと売上が年間10万の小規模な事業者も全て申告しなくてはいけない理屈になります。

そうしたら今の申告件数が一体何倍になるんだ・・・ということで意外と国税庁の側からしても現実的に導入しづらい方法なんです。

そこで国税庁は申告件数は増やさずに、国税庁が損している状況を改善するため

○依頼主 →払った消費税をきちんと引いて計算できるのでOK

こちらに調整を入れることを入れることにしました。

調整後は

○依頼主 →消費税免税のフリーランスに対して払った消費税は「原則」引けないので依頼主の側が負担しなくてはならない

ということになります。

なお、「原則」という言葉を入れているのは下記の経過措置があるためです。

○R5年10月導入からの3年間・・・経過措置で免税フリーランスへ払った消費税は80%部分は控除OK

○R8年10月からの3年間・・・控除80%OK →50%OKへ縮小 

こうして6年間は経過措置で依頼主への影響は軽減されるものの、6年経過後免税フリーランスへ払った消費税は全て控除NGになります。

こうして負担増の影響を免税フリーランス本人ではなく、依頼主に追わせることにより、国税庁は効率的にもらい得を排除できる制度構築にしたわけです。

これこそがインボイス制度最大の目的といえます。


・免税フリーランスに仕事をお願いする依頼主の心理

では、上記のような制度導入後、依頼主はどうなるのか。

例えば免税フリーランスへ仕事を依頼している依頼主の立場でシミュレーションしてみます。

○免税フリーランス 年間依頼金額 600万円(消費税60万円)

通常であれば60万円丸々控除できていたのですが、

R5年10月から 60万円×80% =48万円の控除可 (12万円損する)

R8年10月から 60万円×50% =30万円の控除可 (30万円損する)

R11年10月から 控除不可 (60万円損する)

こう考えるともうお分かりですね。依頼主としては免税フリーランスに仕事をお願いしたいと思うでしょうか?

もし身の回りに、同条件でありながら、消費税課税のインボイス発行可能なフリーランスがいたら、そちらにお願いした方が得だ、と考えますよね。普通の人ならやはりそういう風に考えるでしょう。

例えあなたの仕事が確かで、継続的にあなたに仕事をお願いしたいと思ったとしても、依頼主が不当に背負わされている消費税の分は価格を下げてくれと交渉してくるでしょう。いずれにしても免税フリーランスの方の収支は厳しいものになっていくでしょう。


・まとめ

ご覧いただき感じられたと思いますが、インボイス制度の一番のターゲットは実は消費税免税フリーランスの方達だったのです。

悪くすれば免税フリーランスの方は取引から排除される方向に向かっていく恐れすらあります。

メディアなどではまだまだ報じられていませんが、この制度が来年(R5年)の10月から導入されますので免税フリーランスの皆さんはこれから取引先との取引継続のためにも検討・対策をとっていかなくてはいけません。

さて、次回は具体的に免税フリーランスの方がインボイス導入までに検討すべき事項やとるべき対策などを具体的にご紹介したいと思います。

免税フリーランスの方には厳しい制度ではありますが、きちんと先行きを考え準備して行っていただければ十分活路を作り出すことも可能ですので次回の投稿もぜひご覧ください!


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