もしも、村上春樹が租税法学者だったら その1

僕は、今、冷たいビールの代わりにホッピーと焼酎を飲んでいる。ホッピー焼酎で眠気を吹き飛ばしながら、少しづつ、でも、確実に前に進んでいる。少なくとも、「進んでいると」感じられること自体、二十代の終わりの頃の僕より少しだけ進歩した証拠だ。そして、今、僕は伝えたいことがある。法人税法第22条第2項がそれ以上でも、それ以下でもないことを。法人税法第22条第2項にはしっかりとした重石があって、君がそれに気がついただけでも十分だと。 国際課税というとてつもない難敵に挑んで、山のような時間を浪費しては失敗を繰り返し、年齢的限界で朽ち果てようとしている君に、そっと、でも、しっかりと伝えたいと思う。法人税法第22条第2項が、寄附金課税(法人税法第37条)が、そして、租税特別措置法第61条の4(交際費課税)があるよと。君の考えは、やってきたことは間違っていなかったと。 地道な作業は見落とされがちで、そして、いつの間にやら忘却の彼方に忘れられがちだけど、本当のことは、本当に正しいことはそんなに多くない。それだけは確実に言える。そして、僕たちが生きた証は、もがき苦しんだ印はいつまでも、いつまでも租税法論文として形に残るだろう。 そして、今僕は語ろうと思う。世界は本当に広くて、それでいて、狭い世界の集合体で成立している。不毛な作家、ディレクハートフィールドは多くのものを憎んだ末、エンパイヤーステートビルから傘をさして飛び降りたけれど、君は、大丈夫、そのままで良い。

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