_タクシードライバーは見た__60歳を越えたタクシー運転手の幸せな働き方_のコピー__84_

#タクシードライバーは見た「横断する外国人観光客」前編

今日も、タクシーで都内を巡る。
朝の街を見れば、会社へ向かう人だかりと
その人だかりをかき分け
死に物狂いで急ぐ人もいる。

お昼の街を見れば、財布やお弁当箱を持ってランチに出かける
OLさんがいる。
夜の街を見れば、残業帰りの疲れたサラリーマンも居れば
お酒を、飲み気分の良くなったおじさんもいる。
出会いだけではなくて、街を眺めることもこの仕事の愉しみである。
よく観察していると、面白い人間の性格まで見えてくる。

例えば、信号待ちで私が止まっていると。
目の前の横断歩道を歩行者が渡っている。
渡っていると、そのうち歩行者信号が点滅し始める。
そこから人間の面白味が見えてくる。
点滅したことに気づき、
車の邪魔にならないように早く渡ろうと小走りになる方。
点滅したことで、
渡り始めても間に合わないことに気づき元の場所に戻る方。
点滅したことに気づくが、
自分のペースで歩いている方。
点滅してるけど、
その時点で急いで渡り始める方。
点滅が終わってから、赤になって渡り始める方。

特に変わった光景ではないが、
その渡る歩行者の様子をみると面白い。

「やばいやばい、取り残される!」
と遊び心を持って渡る様子や
「赤になろうと関係ねぇ!」
と自分の道のように渡る様子、
「ちょっとすみません。」
と運転手へ会釈をして気を遣う様子や
ただただ、赤になっていることに気づかない様子。

渡る人の中にもたくさんの違いを感じることが出来る。

歩行者信号が赤で、車の信号が青になっているのに、
大の大人が「私は赤でも渡れます」
と言いたげに渡る様子には驚くこともある。
中学生じゃないんだから。。。

その一つの違いが、普段の生活においても出てくるのだろうと
自分が信号を渡るときもちょっとは意識することもあるが
この間は、点滅から赤に変わる寸前に渡り始めた歩行者に
ホッコリさせられたことがあった。

夕方の銀座、中央通りと晴海通りが交差する銀座4丁目という交差点。
銀座和光という時計台の付いた建物や三越のある銀座の中心と言える場所。
仕事帰りのサラリーマンや買い物帰りのマダム、デートをする男女や外国人旅行者でごったがえす交差点。
いつも通り、人が渡り始めると人の壁で向こう側が見えなくなるほど
大勢の人たちが目の前を横切る。

みんなそれぞれ上を見たり、スマホをみたり、会話を楽しんでいたり、
歩行者信号が青の間は確実に車は通れない、つまり左折が出来ない。
歩行者信号が点滅し始めてようやく、人の壁が崩れはじめる。

小走りになる方やスマホを見ていて気付かない方、
変わらず我が道という顔で渡る方がいる中で
もう歩行者信号の点滅が終盤になり、赤に変わる、
というときにわたり始めた歩行者がいた。


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