_タクシードライバーは見た__60歳を越えたタクシー運転手の幸せな働き方_のコピー__37_

#タクシードライバーは見た「救世主はそばに」

「なんでだよ、頼むから動いてくれよ」
朝会いに行くと、彼は力尽きていた。
それなのに僕は為す術がなかった、これから共に大海に出ていくというのに。

朝一、タクシーの乗務前の点呼を終え自分の担当する車へ行くとエンジンがかからない。
エンジンを完全に切らない状態で置かれていたためバッテリーが上がっていた。
外見には一切力尽きる様子は見えないが、ウンともスンとも言わない。
ガチャガチャというキーを回す音だけが静かな車内でこだまする。

応急処置で息は吹き返したが予断は許さない。彼は完全に力尽きていたようだった。
この状況でこれから一日、大海に出て人々をお送りするわけだがまたいつ力尽きるか分からない。
結局、バッテリーを交換することになった。

うちの会社には整備工場があり、整備士が常時対応してくれる。
今回力尽きていた僕の相棒も含め、タクシー、ハイヤーの定期点検や、修理などをしてくれる。
助けてくれる存在がいることとその有難さには、助けてもらわないと気付けない。
僕の相棒は力尽き、動けなくなっていたが、それを救ってくれた。

頼れる救世主はそばにいる。


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