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今のタクシーの仕組みが乗客も、運転手も損する理由。

タクシーをエンタメにしています、
ヨナシロです。

これまで何度か書いてきているタクシー運転手の評価制度。
(僕が言っているというより多くの人が言っています)
その中でも僕は現在取り入れられている「臭いが」「接客が」云々の改善点を乗客に評価させるモノではなく、良い運転手にはチップをあげるように良い点数をつけるというまずは引き上げられるモノを引き上げるという考え方を持っています。
なんなら、Facebookのいいね‼の機能くらいシンプルな評価で良い。

そのような考えになる理由を、実際の乗務の中で感じたことから久々に書いてみます。

1時間まって420円はなかなかキツイ

東京のタクシーの初乗り運賃は420円です。
この運賃による売上の約60%が乗務員の収入になります。

よくお客様が「運転手の態度が悪い」等と言っていたりしますが
売上が低ければ収入にも直結する運転手はどうしても近距離(=安価)に良い思いは出来ません。
でも近距離だからといって態度に出すのはサービス業として良くないですし、近距離のお客様は一切悪くないです。

駅の乗り場では、待っている運転手が乗せたお客様が近距離だと、
“順番(時間)を待った挙句安い”という問題があります。
「どうせ近いならその辺のタクシーに乗ってくれ」なんて意見は、タクシーをやっていれば誰しも共感できることです。

具体的な話をすると、僕は品川付近に行くと品川プリンスホテルのタクシー乗り場を覗いてみて少なければ並びます。
ここからは横浜や羽田空港、六本木や銀座など平均的に悪くない場所に行くお客様を短い待ち時間で乗せることが僕は多いです。
それでもたまに、品川プリンスホテルと同じ親会社のグランドプリンス新高輪へお送りするお客様をお乗せすることがあります。
場所はすぐ近くです。
料金にしてワンメーターを越えるくらい。
同じ親会社なら連絡バスなどがあって欲しいと思ったりします。
それに、並んでいるタクシーじゃなくてすぐ目の前を走る第一京浜で手を上げて拾ってくれたら、、、と思ったりもします。

それでも、お客様は悪くない。
利用したくてタクシーを利用しているだけです。

駅の話に戻すと、駅からタクシーに乗るお客様はホテルから乗るお客様ほど遠くには行きません。最寄駅から自宅や会社などです。
その駅からの近距離問題に文句をいう運転手に対して、
「売上を考えて他の場所で仕事をすることも出来るはずなのに、平均的に近距離が多い駅の乗り場で待つお前(運転手)が悪い」
と能力や責任を問うことも可能ですが、それは凄く簡単なことです。
(それに、駅で並ぶ運転手がいなければタクシーに乗りたい方々が利用できません。)

簡単な原因を責めるのではなく、もっと根本から良い方向に向かうための仕組みを作ることが必要だと思います。
お客様も、運転手も悪くない、
それなのにお互いに得しないのが今の仕組みです。

次は会社や業界の目線から考えてみます。

タクシー会社は運転手個人の波が気にならないが、法律は存在する

タクシー会社にとっては、
運転手が420円の近距離を乗せようと、
長距離を乗せようと、
個人個人の売上の当たりハズレは気になりません。
気になるのは全体で見た売上です。

東京では一日あたりの売上平均が5万ほどになっていて
どの会社でもその辺りだと思います。

一時間待って1000円しか売上を上げられない運転手がいて、
その運転手が最終的に4万の売上でも、
他の場所で長距離のお客様を乗せた運転手が最終的に7万であれば、
会社としての売上では悪くはない。

どんなに乗務員が近距離のお客様をお乗せする等の波があろうと、
普通にやれば東京では一日の売上は5万が平均となる。
景気や、季節によって全体の売上が多少の増減はあっても
乗務員1人1人の増減はそこまで会社には気にならない。

だから全体で見た売上さえ基準を越えていればそのままの仕組みでも気になりません。

それぞれの会社に接客などのクレームは入ることもあると思いますが、
「接客業だから」「法律がどうだから」「よく考えてやってくれ」といった運転手の良心に任せるのがタクシー会社であり業界です。

近距離のお客様をお乗せしても最終的には5万に到達することは可能。
会社単位で見ても全体の売上平均はおおよそ5万に落ち着くから細かくは考えない。
会社は運転手に「決まりだから、上手くやって」といった思考停止の状態が続く。
でも、この仕組みによって「近距離を拒否する」運転手もその中には存在し、それを罰する法律も存在する。

個人、会社、業界、法律、そして利用者。
それぞれの立場からは感じるコト受けるコトすべてが違うのに
うまく噛み合わせられていない。

これは本当に勿体ない!

特に気にならないのかもしれないけど、こっちの方が良くない?

例え近距離のお客様をお乗せしても、最終的に5万には到達する運転手。
売上の低い運転手がいても、全体の売上が落ち着けば運転手の波は気にならない会社。
個人の売上の波は気にならないし、法律があるからと、特に近距離の仕組みを気にしない業界。
乗車拒否したくなることもあるのに「乗車拒否は違法」という法律。

上手くやれば特に気にならないのかもしれない。

だけど、タクシー利用者には
運転手に不満を感じたり「近くて申し訳ない」と言って乗る方が存在し、
タクシー運転手の中では
「近距離の客ほどメンドクサイ」というイメージが存在する。
これは、⦅近距離のお客がただメンドクサい人⦆なのか
⦅近距離のお客がメンドクサイから運転手が雑になって、お互いに不和が生じてしまって運転手がメンドクサイと言っている⦆のか
の関係性は明らかではありませんが、
お客様と運転手で得する仕組みになっていないのは事実。

そんな仕組みをお互いがプラスにするには、冒頭のように
良い運転手には評価がつく仕組みがあった方が良い。

それがあれば駅の近距離問題の場合、
420円の距離でも丁寧なサービスを行う運転手であれば評価され、
その評価が大きくなれば信頼度は上がりいずれ依頼されやすくなる。

以前、それを図にしました。(値上がり前のため410円)

通常、410円含め近距離の場合は売上だけが少ないながらも増えますが、
収入は伸びません。

売上

しかし、評価される仕組みがあると同じ410円でも信用が貯めることが出来ます。
その信用によって後に必要(予約する)とされ、売上(=収入)も上がる。

売上 (1)

こういう図式(仕組み)になれば、
短い距離でも丁寧に対応していると評価(信用)が増え売上に繋がる運転手は近距離も真摯に対応したくなるはずです。
そうすれば、近距離で利用するお客様も嫌な思いはしない。
これは、
タクシーを利用する時間を運転手にイライラするか、
自分の時間にするか、
という時間の使い方にも関わってきます。

全て書くと長くなるので閉めますが
こういうことを考えたところから始まったのが「タクシーをエンタメにすること」です。

タクシー運転手タレント化計画も含めたら、
タクシー運転手と言う職業は面白くなると思っています。

ありがとうございました。


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