タクシー運転手の不思議体験
この仕事をしているなかで、たまに不思議な体験をすることがある。
タクシー運転手の不思議体験で思いつくのは
「後ろに乗っていた人がいなくなった」等
いわゆるお化けを乗せることが多い。
それもあるんだけど今回はそんな霊的な話ではないんです。
同じ日に同じ目的地に行く
タクシーは、お客様を目的地まで運ぶ運送業のお仕事です。
バスや電車と違い決められた目的地はなく
そのお客様の行き先によって、その出会いによって行く場所は様々。
渋谷→恵比寿→渋谷
同じ地域を行ったり来たりすることもあれば
渋谷→恵比寿→六本木
次々といろんな場所へ連れていかれることもあります。
そんなどこにいくかは殆ど想定出来ないタクシーの仕事で
たまに不思議なほど同じ方向へ向かうことがあります。
それも、乗せた場所や時間は違うのに
目的地や通る道まで同じ。
そしてそれを不思議に思わるのが、都内ではなく神奈川等、頻度が少ない地域に行く時のこと。
都内だけならまぁ珍しい話ではない。
ここで一番強調して伝えたいのは、目的地
六本木→中野
と言った東京都内の話ではなく
六本木→神奈川県横浜市の青葉台 等
東京から出た地域であること。
都内であれば多少同じ地域に行くのは珍しい話ではないけど、
東京から離れた神奈川の一つの地域のほぼ同じ場所に
同じ日に行くことは不思議に思う。
確率の話をしてしまえば
「ウン百万、ウン千万分の一の話だ、可能性はゼロじゃない」
となるかもしれませんが、
これだけ多くの人が行き交う東京で一人を乗せ
同じ方向、同じ道、ほぼ同じ目的地へ行くことは不思議で仕方ありません。
タクシーの仕事をしていない方であれば、ピンと来ない方も多いと思います。
ただ、こんなのは序の口といったところです。
もう一つの不思議体験は、所謂、引き寄せの法則、宇宙の法則と並ぶ体験です。
願うとその場所に行くお客様をお乗せする
上にも書いた通り、
タクシーの仕事は一日中東京を走り回り、連れて行かれる先は
乗せたお客様によって変わってきます。
まっすぐ行けば渋谷駅に着く道を渋谷駅方向へ走っても
渋谷駅を通り過ぎる方を乗せたり、途中で曲がる方を乗せたり
終いには、渋谷方向でありながら全く反対方向へ行くこともあります。
行き先は、運転手によってコントロール出来ません。
そんなタクシーの仕事ですが、都内を走り周るといえど、時には運転手によって寄らなければならない用事があったり、行きたい場所があることもあります。(帰る際やガソリン補給等)
ある日僕は、23時に中野区へ用事がある日がありました。
予定時刻が近づく21時過ぎ、僕がいるのは東京駅周辺。
大まかに測っても15キロ程の距離があります。
可能性がゼロではないとは言え、何万といる人間の中から自分が行きたい場所の周辺に向かうお客様をお乗せするなんてほぼ無理に近い。
最後の一人を乗せて目的地に送ったら、中野方面に走ろう。
そう思って入った東京駅八重洲口のタクシープール。
タクシー待ちのお客様の列が5、60組ほど並んでいながら
タクシーがスカスカの状態でした。
「次乗せる人が中野の方面だったらいいのにな~」
そんな独り言を発して、特に期待も持たず
新幹線の移動疲れのクタクタな人たちの並ぶ列の前に止めてお乗せしたお客様からでた行き先は
「中野区の~」
「えっ、あっ、はい中野区の」
言葉が詰まりながら心の中ではびっくりする。
「(うそ~~~!中野区行きたいって想ったら中野区に行く人乗っけた!)」
「中野区の~南台の方で」
「南台の方ですね、かしこまりました」
僕は営業所が東京の西側がなので中野区の南台は知っています。
というより、なによりびっくりなのが中野区の南台は僕のこの後の用事がある隣の地域。
「(うぉー!、行きたかった場所に売り上げも上げながら向かえるー!)」
そんな心の興奮は一切見せずに、淡々と向かおうとしました。
さらに、
「早そうだったら高速使ってください」
高速まで使って時間短縮もできるオマケつき。
自分の用事があり行きたい場所へ、売り上げを上げながら、しかも高速を使い時間を短縮させて向かえる。
口調は淡々としながらも、心の中はもう狂喜乱舞。
まさかまさか、行きたい場所を願ったらそこに行くお客様をお乗せすることが出来た。
これを読んだところで大してピンと来ていないかもしれませんが、
タクシー運転手のお仕事を4年やっても1.2回ほどしかありません。
不思議な体験でした。
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