実際に見てきたタクシードライバーの短期離職【東京】
みなさん、こんばんは。
タクシーチャンネルのげん太です。
普段、東京のタクシードライバーという仕事についてのnoteを書いていますが、本日は東京のタクシードライバーが「短期離職」をする理由についてまとめてみました。
全て実際に営業所で見てきたパターンとなります。稼げそう…とかなんとなくの会社選びでは、長く勤めることが難しいという現実を知って欲しいと思っています。
1.「お客さまを接客することが怖くなり短期離職」
東京タクシードライバーとしてデビューする時にみなさん口を揃えて不安を訴えるのが地理の知識不足です。地理が分からない状態でお客さんを次から次へと乗せていくことになるので、「怒られたらどうしよう」といった恐怖心から仕事自体を辞めてしまう方がいます。お客さまの99%はとても紳士淑女な人たちなのですが、酔っ払いや怒鳴ってくる人も稀にいます。(昔と比べてとても少なくなりました)そういった面倒なお客さまと就業初期に出会ってしまうと、怒られた映像や声がフラッシュバックしてうまく乗せられなくなってしまうこともあるようです。東京は同じお客さまを2度乗せることはない街なので、割り切りや気持ちの切り替えも大切ですがうまく切り替えられないこともあります。そんな時に愚痴を言い合える同期の仲間や相談できる上司がいると良いと思います。
面倒なお客さまの対応スキルは、個々人のセンスによるところが多いことも問題のひとつでしょう。
ちなみにお客さまから怒られることは、地理の知識が一定以上になると激減します。なので地理の知識を早めにつけていくことも良いと思います。
2.「内勤さん(会社)からの不信感によって居心地が悪くなり短期離職」
東京のタクシードライバーは様々な人が働いています…(察し)が、内勤さんも様々な人が働いています(同じく察し)。そもそもお給料の面で内勤さんよりもドライバーの方が給料が高く、妬みや嫉妬のような感情を向けられることもあります。よく私が会社との相性は一番大事だよ〜と言っている部分です。会社から信頼されるドライバーになると本当に働きやすいのがタクシー業界だと思うのですが、双方に不信感が募って短期離職に繋がるパターンを何件か見てきています。
とはいえ、ドライバー側が今までやってきた悪質な信頼失墜行為を書いておきます。
・事故を報告しない(隠蔽する)
これは何人かいました。事故を報告せずに傷もないからどうせバレないだろう的な発想です。しかしドラレコもありますし東京は多くの人が見ていたりします。街中にもすごい数の監視カメラがあるため、一度疑惑が向けられると必ず特定されている感じです。事故は大小関わらず、必ず警察を呼ぶこと…会社に報告することを徹底しましょう。
・同じ失敗を何度も繰り返す
失敗とは「事故や違反、クレーム」などをもらってしまうことです。私も最初デビューしたての時は事故も違反もありました。一度失敗をすると会社から怒られる(指導をされる)のですが、同じ失敗を何度も繰り返すと「またかよ」的な雰囲気になります。1社目のタクシー会社では毎回同じパターンで同じように事故をする人がいました。内勤さんは全力で指導はしているみたいですが、最終的には外部の研修センターや適性診断など休日返上で研修を続けたが改善されずに辞めていった記憶があります。無事故無違反ノークレーム。基本的なことですがとても大切なことだと思っています。
・金品受領不正(タクシーチケット)や福祉券等で不正
これは横領とか立派な犯罪になるので一発アウトですが、未経験者の新人さんでやらかす人は一定数います。お客さまからもらったタクシーチケットの金額を自分で書いて水増ししたり、福祉券や障害者割引で不正をすることが後をたちません。会社の信用失墜につながるので絶対にやめましょう。リスクとリターンが全然合っていないです。
いやいやこんなこと普通はしないでしょうと思ったあなた。様々な方が働いている業界なので意外と身近に起きたりします。金品の受領不正はどんな会社でも一発アウトですが、その他のことであれば真面目に仕事を続けていくといずれ信用は取り戻せる場合も多いです。(そこまで見守ってくれるかは会社や営業所の器によります。大手本体は切り捨てる傾向があり、中小などは見守る傾向にありますが営業所や担当者によります。タクシーの内勤者で人を指導できる人が年々減っているように思います。)最初はドラブルメーカーと言われていた人も3年後には、頼られるドライバーとして成長していることも数多くありました。会社や営業所、内勤者の教育力、会社と本人との相性によって良いドライバーになれるかが決まってくると思います。
今、タクシーの仕事をしていて悩んでいる人は、まずは目の前のことをきちんと丁寧に誠実にこなすことをおすすめします。1組1組、35組目の最後のお客さままで仕事のクオリティを下げないことを意識してやってみてください。私もそうやって仕事を続けています。
3.「隔日勤務が身体に合わなくて短期離職」
隔日勤務というのは東京のタクシー特有の勤務体系で、1日で平均20時間働きます。それを月に11~13勤務するのですが「睡眠不足」になる方がいます。慣れると毎日勤務するよりもずっと身体は楽に感じるのですが、慣れるまでがとにかく大変です。未経験からタクシードライバーとしてデビューすると長時間運転の後は、家でも布団でもずっとゆらゆら揺れている感じがしました。それも1週間程度で慣れるのですが、稀に慣れることができず睡眠が取れない方も出てきます。最近の新人ドライバーを見ていると、デビュー時に運転の体力がなくてフラフラになることはなんら問題がないと思っていますが、「寝られない」というのは気をつけた方がいいサインです。「身体が隔日勤務に適応できなかった」と言ってやめていく人が、入社で100人いたら2人くらいいて、早期退職につながっています。
東京でのタクシーの隔日勤務で気をつけたい健康面のポイントは首、肩、腰の故障です。長時間同じ姿勢で運転をすることになるので、休憩時間にはきちんと車外に出て身体を動かすようにしましょう。休憩時間の仮眠後は、必ず一度車外に出て屈伸をしてからから運転するようにしています。体勢の硬直もそうですが、眠気や意識も意図的に入れ替えないといけないのが隔日勤務での運転です。ぼーっとする状態での運転は「隔日勤務」では危険な運転につながるのでやめましょう。
4.「思ったよりも稼げないと思って短期離職」
思ったよりも稼げないと言って退職する人もそれなりの人数でいました。会社や営業所が同じでも個々の考え方や「営業スキル」による差によってお給料が変わります。東京のタクシードライバーになれば1,000万円も夢じゃないみたいな誇大広告をよく見かけますが、真っ当な労務管理をしている会社では無理です。しかもそういう広告を見て応募する人は、お金が目当てなので、稼げないなと思った瞬間にすぐ辞めます。タクシーに乗ったことがない転職エージェントの斡旋で入社後、お客さまが決済をしたクレジットカード手数料を自腹で支払っている乗務員がなんと多いことでしょう。そういう会社選びをする人は手残りの給料が少ないです。東京のタクシードライバーという仕事はプライベートの時間(休日)と仕事のバランスをとりながら、年収は600~800万円というレンジで頑張る仕事です。短期で稼いで辞めるという人よりも中長期的に生活をよくするために、コツコツ頑張る人が報われる仕事だと思っています。実際に短期離職はしませんでしたが、私の1社目の同期があまり売上を上げられない人でした。隔日勤務の売上がいつも私の2/3とか半分という日もあるといった具合です。(あまり頑張る気もなさそうではあった)仲も良いし、色々プライベートなことも話をしていて、営業所も同じなのに個人差がかなり出ます。これからの方にとって良い営業所を選ぶことは絶対に大切ですが、営業スキルやモチベーションも大事になってくる仕事だと思います。
5.「交通違反の累積で短期離職」
東京でタクシードライバー始めると、思った以上に交通違反をしないことが難しく感じると思います。都内のあちこちで新人タクシードライバーは白バイの格好の餌食となっています。多い交通違反は、歩行者横断妨害、一時停止、信号無視(黄色→赤での進行)、一方通行、駐停車禁止、Uターン禁止です。この他にも色々な交通違反がありますが、素人ではなくプロとしてドライバーをやっていく場合、運転意識の向上をする必要があります。軽微な交通違反で累積6点となり違反者講習を受けると、免停期間が短縮されますがこの段階で「膝まで泥沼に浸かっていること」を気づくべきです。どこかで運転意識を変えないとそのままズルズルと免停になり、ドライバー業界では働けなくなる日も近いでしょう。6年間で身近な人では3人、仲良くない人ではもっと多くの違反累積による免停者を見てきました。多くの免停者は離職をしていますが、会社に残って免許の復活を待っている人もいます。
交通違反の累積による免停が、短期離職になるケースは大体決まっています。それは入社時に交通違反による累積点数があった場合と、短期間で同じような違反を繰り返している場合です。入社時に交通違反の累積点数は0であることが望ましく、2であれば不利、4であれば転職を推奨しないといった判断を私はしています。もちろん、どういった違反でどの時期に交通違反をしているかという個々の事情は聞いています。しかしどんな理由であれ、交通違反は違反ですし、違反を切られたのはご自身です。タクシードライバーになると後部座席にはお客さまが乗っていて、「右いけ、左いけ、もう少し急いでくれ」と指示をしてきます。より交通違反をしやすい環境でプロドライバーとして生き残る必要があるので、交通違反の累積点数には注意してほしいです。
上記5つが東京のタクシードライバー短期離職の主な原因です。追記するとすればコロナ禍といった不景気で離職するドライバーは生活費が高い人たち、営業スキルがない人たちでした。タクシーを簡単に稼げる仕事だと半分舐めている人たちも辞めていきました。(もっと良い仕事あるでしょって。…本当にあるのかな?)私はこれからタクシードライバーとして頑張りたいと思っている人が、変な広告、スカウトサイトや間違った情報でタクシー業界に入ってこなくて済むように、履歴書を汚さなくて済むように現場のリアルを文章で伝えようとしています。(メリットもデメリットもなんとなく理解した上で、やる気のある方が大勢東京のタクシーに挑戦されるのは大歓迎なんですけどね!現状そうはなっていません。)
同業者の大事故について
これは特定の事故のことではなく、毎年数件あるタクシー関連の死亡事故を見ていて同業の私が思うことです。
まずは、人の命を預かる仕事という再認識をするということ。自分の命も大切ですが、乗客の命を運んでいるという認識。わたしたちと同じように乗客にも家族がいて、大切な人がいるという理解と想像力を持ったドライバー職を全うしないといけないなと思っています。次に自分の仕事をより律していくということ。体調管理や健康管理も自分で行う仕事です。それがあってはじめて月収で50万円以上貰う価値があります。そして最後に死亡事故の確率のことを考えます。毎日4万台のタクシーが走っているという中での事象件数。私は明日は我が身と思って6年間やってきています。今まで少なくとも2万5千組のお客さまを無事にお送りして、月収は50~80万円をもらい続けてきました。大事なことは「無事故無違反、無苦情で無事に帰庫すること」です。そういった日々の無事故への心がけがタクシー業界の死亡事故を減らすこと、撲滅することにつながると願っています。
事故に対する同業者の考え方は、私が東京のタクシー業界に入った6年前に先輩や専務から口すっぱく言われてきたことに似ています。そのほかだと「無事故無違反と売上は両輪で両立できる。どちらも高いレベルを目指すこと」とよく言われて育ちました。デビューから6年経って仕事への姿勢や考え方が当時のメンターと似てきているなと感じます。未経験職は最初に与えられた教えや影響が、その後ずっと続くというか日々の仕事を通じて、熟成されるのかもしれません。(1社目の社風や誰に業界知識を教えてもらうかは大きいですね)
本日の記事は以上となります。
みなさんが良い会社で、短期離職はせずにタクシードライバーの仲間として共に切磋琢磨していけたら良いなと思っています。
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【関連記事】タクシードライバーになって5年間でできたこと、できなかったこと
また次の記事でお会いしましょう。
タクシーチャンネル・げん太でした。