「運命のお昼ごはん」

今日から毎日、は難しいかもしれないけど、1週間に何度か、物語を作ってみたいと思う。
僕は頭も悪いし、漢字もあまり知らないし、的確で簡潔に言葉を伝える力が足りないから、文章を書くことから逃げないでいたい。


「ランダム単語ガチャ」
という、ランダムに単語がたくさん出てくるガチャを使って出てきた単語三つを使って、物語を書きます。

きっとぐだぐだした長い文章になるかもしれないけど、今日が一番下手くそなので、おおめに見てください。

それでは引きます。

「ブルーレイレコーダー」
「昼ごはん」
「擬人化」

でした。
この3つの単語を使って、物語を書きます。
最初はノートに書きました。字はテキストで打つよりも、ノートに書いた方が気持ちが乗ると思っているので。
これを下書きとして、清書をテキストに打ち込みます。

※文章計2000文字。長すぎる。次はもっと短くできるように頑張ります。


『運命のお昼ご飯』


僕の名前はアキラ。ただの平凡な大学生だ。なんて事を自分で言えば、僕は何かの主人公になったつもりになれる。だけど僕には何も起きない。
みんなと同じように大学へ行き、みんなと同じように授業を受けて、少し授業をサボったりもする。本当に普通の大学生だ。

ただ、少し違うと言えば、僕には物心がついた頃から親がいない。父親の行方はわからず、母親は僕を置いてどこかへ行ってしまったらしい。
唯一あるものは、ずっと昔から持っていた、ゆるキャラのお米くんのキーホルダーだ。

僕は小さな頃から親戚の家で育てられた。高校に入ってからは、家の近くの定食屋でバイトを始め、定食屋を営む夫婦には毎日賄いをご馳走してもらっている。僕にとって第2の親と呼べる存在だ。奨学金とここで稼がせてもらったお金で、一人暮らしをして、僕は大学に通っている。

学校と、テストと、アルバイト。目の前のことで精一杯。

だけどそんな僕にも、非日常の世界に浸れる瞬間がある。

それは趣味の「擬人化」をするときだ。

僕は今目の前にあるものが、どんな気持ちで、何を考えているのか、擬人化をする癖がある。

最初にこれを始めたのは小学生の時だった。
運動が苦手な僕は休み時間中に外で遊ぶクラスメイトの姿を教室の窓から眺めていた。
その時、みんなに蹴られるサッカーボールがあまりにも可哀想で、僕はサッカーボールに生まれなくて良かった、と思った。

しかし、そのサッカーボールには、

「沢山蹴られても壊れないように」

と魂を込めて作った人がいて、

「このボールを沢山蹴ってね」

と魂を込めて売った人がいる。

そんなサッカーボールが、「僕を蹴らないで」なんて言うわけがない。

むしろ蹴られずに置いてあるサッカーボールの方が可哀想だ。
僕は自分が浅はかだと思った。自分が運動が苦手なだけで、サッカーボールの気持ちを勝手に考えてしまった。

その時から、僕はありとあらゆる物の声に耳を澄ますようになった。
それからこの非日常が、僕の日常になった。


いつも僕は1人でご飯をたべる。その方がいろいろな声を聞くことができるからだ。
でも今日は、たまたま授業のグループワークで同じチームだった人たちと一緒に「お昼ごはん」を食べることになった。


僕はいつも通り、コンビニで買ったパンを食べる。理由はシンプルで、パンが一番"音"が出ないからだ。
ナイフやフォークを使えばカチャカチャと音が出るし、ラーメンに関しては人間がズルズルとすする音を出す。そんな音だらけでは、"声"に耳を澄ますことなんてできない。

「アキラは学食で注文しないの?」

チームメイトのヒロキが僕の買ってきたコンビニ袋を見て言う。そんなヒロキのトレイには学食一番人気の醤油ラーメンが乗っていた。


…ただでさえラーメンなのに…そもそも醤油ラーメンって、いうほど醤油味か?塩ラーメンも、塩って感じじゃないだろ、それに声を聞くっていったって、ラーメンを大きく一つとして捉えるのか、メンマ、海苔、チャーシュー、麺の声をそれぞれ分けるのか…

…ん?まてよ、もしそう捉えるなら…
麺は一本一本の声を聞くべきなのか?
そうするとものすごい数の声が‥

僕がラーメンの声を聞こうとすると、ヒロキはズルズルとラーメンを食べ出した、ラーメンからはなんの声も聞こえなくなった。

「いつもと違う人たちとご飯食べるのって新鮮〜」

今度はチームメイトのカナコがやってきた。
冷や汗をかいてパンを下ろしている僕の横に座った。カナコのトレイには、チャーハン定食が乗っていた。

…そもそもお米は一粒一粒に声があるのか?
いや流石にそれは、ふっくらしてまとまってるし、流石にそれは…

「見て〜今日のチャーハンすごいパラパラなの〜」

パラパラだ

学食のおばちゃん自慢の黄金パラパラチャーハンだ。聞こえる、一粒一粒から、お米たちの声が聞こえる。

「お待たせ〜カナコのチャーハン美味しそうで、俺たちはラーメンの半チャーハンセットにしちゃった〜」

タクヤとナナミがチャーハンとラーメンを持ってやってきた。

僕は大学を飛び出していた。

落ち着いてパンを食べようとしても、パンは

「栄養はえいよう」

と言っている。
嘘だ。菓子パンに栄養なんてない。
僕は頭がおかしくなっていた。

なんだ、僕は全然平凡じゃないじゃないか。
みんなとご飯を食べただけなのに、ラーメンとチャーハンを見て発狂する大学生がどこにいるんだ、バイト先の定食屋に逃げ込もうと思ったけど、そう言えば今日の日替わりランチはチャーハンセットだった。

僕は唯一の帰る場所、自分の部屋へと逃げ込んでいた。

僕はもうずっとこのままなのか、お米とラーメンに怯える生活になるのか、ただ声を聞きたかっただけなのに。

いつもはみない、「ブルーレイレコーダー」をつけた。
たまたま録画していたバラエティ番組をつけると、街の変わった人にインタビューをする企画が流れていた。

「自分の変わったところ?特に自覚はありませんけど、昔から炒飯を食べるのが苦手なんです。なんかパラパラしてて、一粒一粒が喋ってるみたいで(笑)見てください、なのにオレったら、お米くんのキーホルダーつけてるんですよ‥」

その男性の手元には、僕が持っているものと同じキーホルダーが映っていた。

驚いた僕は、ついレコーダーを蹴ってしまった。レコーダーは停止し、映像を流さなくなった。

レコーダーからは、何の声も聞こえなかった。





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