出生率 - 出生率の解決策

 結論から申し上げますと、私は出生率を上げる方法はないと考えてます。
国としては、出生率を上げるために様々な施策を掲げています。しかし、現状維持することはできても昔のような合計特殊出生率2以上に取り戻すのは難しいと思います。

 出生率が低いことを問題だと認識し、懸念し、解決しようとする国々があるということは、低出生率が各国にとって問題になるということだと思います。ほとんどの国の社会システムは人口が減り続けることを想定して設計・構築されていないため、低出生率は大きな社会問題になっていると過言ではありません。


出生率の構成要素

 ちなみに、日本下表のとおり婚外出生率が低い国であり、このような国で出生率は、年齢別有配偶率と結婚している女性(夫婦)の出生率で決まると考えてもよいと思います。

出所:https://honkawa2.sakura.ne.jp/1520.html

 出生率=年齢別有配偶率 x 結婚している女性(夫婦)の出生率と定義し手見ると、両方の率が下がっていると想像するのは難しいことではありません。実際に晩婚化や、Dinks族(Double Income No Kids)は職場内で話すれば簡単に見つかります(最近の30代の話)。実際に私の周りにも子供を持つことに対して結構悩んでる人は多いです。

年齢別有配偶率

 実際に下図のとおり、未婚率は2020年代までかなり増加しており、20代の未婚率から晩婚化も進んでいることも簡単に読み取れます。

出所:内閣府

 それでは、未婚化率の増加の原因は何でしょうか。
 私は、皆の理想が高くなってしまったことだと思います。政府機関や各メディアでは、言及していないことですが、各人の理想が昔と比べ高くなっているのではないでしょうか。
 参考のため、平成21年度の内閣府調査で結婚していない理由の1位は、「適当な相手にめぐり合わない」からでした(57%)。また、この傾向は、平成30年度の内閣府資料においても同じです。

出所:内閣府

 この調査結果を見て思うのは、何十年も「適当な相手にめぐり合わない」のが1位だったが、なぜSNS、結婚相談所、マッチングアプリを始め、交通機関の発達より、より出会いやすくなっているにもかかわらず、「適当な相手にめぐり合わない」のでしょうか。
 私はその原因を、皆の理想が時代の流れに連れて高くなったことだと思います。実際に、出会いの数、出会える方法は1992年とかに比べると、圧倒的に2015年を含め、現在の方が圧倒的に良い環境だと思います。
 しかし、女性の社会進出により、昔は十分魅力的だった男の経済力は、それほど魅力的に見えなくなったことや、SNSやテレビ等の発達により、他人の裕福な生活を見ることで、より良い生活を望むことになっているのではないでしょうか。
 実際に未婚者のうち、いずれ結婚するつもりと答えた割合も80%以上で、1992年度に比べ、さほど割合が減少しているわけではありません。つまり、理想な相手が自分の前に現れれば、結婚するということだと思います。そもそも純粋な未婚主義者の割合も少ないので、単純に皆の相手に求める条件もしくは理想とする結婚生活の基準が高くなっていると思います。
 その他にも自由さや気楽さを失いたくないことや、結婚資金が不足していること等、理由はいくつかもありますが、結局のところ、理想の相手がいれば、多少の自由や気楽さを失っても受け入れられると思いますし、結婚資金が不足していても、それを理解してくれる相手がいれば、結婚することなので、自分が理想としている(満足できる)相手と出会うことができないのが、一番の理由だと思います

出所:内閣府

結婚している女性(夫婦)の出生率

結婚している人の出生率が低い原因は、2015年度時点の資料を見る限り、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」が1位で、「高年齢で生むのはいやだから」が2位となりました。
 親が貧乏だからといって、自分の子供まで貧乏に生きてほしいと願う親はいないと思います。

出所:内閣府

 自分のこともを貧乏に育てないために一番大事なのは教育ではないでしょうか。その貧しくさせないために一番簡単なのは、子供の教育に投資することだと思います。しかし、国公立学校でない限り、学費の負担や特に私立大学の学費及び一人暮らしをさせる場合、およそ年間約250万円はかかるとされています。高校生までの予備校代等も考えたら、負担なのは確かだと思います。

出所:医学部予備校ガイド

  教育費に使わなくても良いという意見があるかも知れません。しかし、時代の流れに伴って貧富の格差は激しくなる一方で、お金がお金を稼ぐ世界に既になっています。投資家は莫大な資金を提供することで、数%の利益だけで、サラリーマン2~3人の生涯年収をたったの何か月で稼げる時代になっています。一方で、沈金は長年にわたり、維持どころか低下してきたのが現実です。なので、貧しさを克服するためには、知識を身に着け、起業するか、一流企業で出世するか、医師になるか等が可能性のある話ではないでしょうか。もちろんYoutuber、漫画家、芸術家、スポーツ選手等も富裕層になる道も十分ありますが、一部は教育よりお金が必要ですし、特に成功する前までは収入がほぼ見込めない職業もあるため、それらの職業にはりリスクがあるという認識が普遍的だと思います。
 話が少しずれましたが、結局のところ、良い相手が見つからない、子供の教育に費用が負担であるのが、高い割合であることが出生率の低下の主な原因であることがわかりました(この二つだけが問題でなく、複合的な問題が重なったとは考えています)。

低出生率の解決策

 私は、出生率は昔のように回復させることはできないと思います。頑張っても現状の出生率を維持することぐらいではないでしょうか。合計特定出生率が長期にわたり1.5を割り込んだ国で、その後合計特定出生率が1.5を大きく超えて順調に回 復したという例はほぼ存在しません(カナダは例外)。

 年齢別有配偶率を上げる方法はないと考えます。年齢別有配偶率が低い主な原因を、自分の理想の相手(満足できる人)と出会えることができないのだとするのであれば、それはどんな政策をとったところで、無用だと思います。そもそも恋愛と結婚は、法や政策によって強要できるものでもないですし、理想を下げて(捨てて)現実をみなさいというアドバイスも、その本人が嫌であれば、いくらしても無用だからです。
 逆にテレビ、Youtube、SNSやマッチングアプリ等を禁止させ、人々が思う理想を下げる方法があるかもしれませんが、現実的ではありません。

 結婚している女性(夫婦)の出生率を上げる方法は、機会の平等を保つことです。正直なところ、現在の日本が機会という面で平等とはいえないと思います。もちろん、アメリカや他の各国に比べれば、平等だとは思います。
 しかし、親が教育費を支援しない中高生からすれば、医学部を目指すのは簡単ではないですし、起業するという発想を持つこともそう簡単なことではありません。一方、お金持ちの親の子供は、幼いごろからたくさんの教育を受けることができ、チャレンジもし放題といっても過言ではありません。これを知っているからこそ親は、子供の教育費に負担を感じるのではないでしょうか。貧富格差が広がりつつある世界で、なんとか普通以上の生活を享受させたい気持ちがあるからこそ、教育させたいと思うのが自然だと思います。
 もちろん、機会の平等といっても、どこまで平等な水準を作ればいいのか、その財源はどこから確保するのか等、たくさんの問題がありますが、それは他の解決策も同様です。実際に、配偶者控除等の制度は、シングルの人からすれば逆差別とも思われます。結婚はしたくても何かの理由で結婚できなかった人々により高い負担(税金、仕事等)を負わせ、その結果、何も得られないとしたら、その人々は不満を持つことになると思います。
 そのため、まずは機会の平等を子供たちに与える前には、社会的合意をする必要があると思います。それを達成するために、今の子供たちの教育において、機会の平等の大切さを学ぶチャンスを与え、実際に学校の学費の免除や教育の無償提供(質の高い)等を充実させる必要があるのではないでしょうか。
 もちろん、これらの施策は一つのみを目的とすることなく、他の子供を産まない理由の原因(仕事を続けたい、高年齢なので生むのが嫌だからなど)の解消と一緒に進められるべきだと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?