消費税の管理方法について【後編】
こんにちは!古尾谷です。
前回、弊社の消費税の管理方法についてお話をさせていただきました。
1社ずつ時間を掛けて手間を掛けて確認することになりますが、消費税の税賠リスクを考えると避けては通れません。
今回は「管理者の目線からどのように消費税管理をしているか」について、お伝えしたいと思います。
前回お伝えしたように、消費税管理は顧問先1社ごとに「契約時」「半期経過時」「決算2ケ月前」「決算月」「申告月」と、多くのタイミングで管理が必要になります。
事務所全体で考えると膨大な規模の管理になります。
■消費税管理表
管理者としては「蟻の目」で1社1社の判定のミスがないかを確認するとともに、「鳥の目」で確認すべき会社に漏れがないか、保留や修正になっていた会社の後追いができているか等も見る必要があります。
そこで活躍するものが「消費税管理表」です。
「消費税管理表」はスプレッドシートなどで作成をしているもので、3種類に区分して活用しています。
3つに分けている理由は、それぞれ独立した確認を行うためです。
①特定期間の判定チェックリスト
たとえば特定期間の判定チェックリストには、顧問先の会社名や顧客番号、担当者の名前がずらっと並んでおり、「特定期間課税売上」「特定期間人件費」、「特定期間に該当するかどうかの結論」などの情報を埋めていきます。
管理者はひと目で特定期間の判定に漏れがないかがわかり、決定した内容についても把握できます。
②意思決定通知書用のチェックリスト
意思決定通知書用のチェックリストには、「簡易か本則か」「免税か課税選択か」「届出書は提出されたか」「同意書は署名捺印されているか」などの情報を埋めていきます。
③決算月の管理表
決算月の管理表については、過去に簡易課税の提出があったかどうかや、棚卸資産の調整の有無、基準期間の課税売上高、コロナ特例の使用についてなどの情報が埋められています。
それぞれ、判定のプロセスそのものはシミュレーションシートなどで行っていますので、詳細な内容を調べたいと思えば、シミュレーションシートを確認します。
あくまで消費税管理表では、もっと大きな鳥の目で「漏れが無いか」「後追いができているか」を見るのが目的です。
■確認管理
確認責任者は、チームリーダー、オフィスリーダー、管理責任者、代表税理士が手分けをします。
特にオフィスリーダー、管理責任者はこのチェックリストに不備があることは自分の失態という気概で運用をしています。
「この担当者なら大丈夫だろう」という発想を排除して、『このオフィスから損害賠償を発生させない』というモチベーションで確認を行っていく。
結局はチェックリストを動かす人の気概や能力が無いと、リスク管理は絵に書いた餅になると思います。
前回に引き続き消費税の管理についてお伝えをしてきました。
税理士業におけるリスクは消費税に集約されていると言っても言い過ぎではありません。
言い換えれば消費税のリスクをコントロールできれば事務所としては安心して顧客対応が出来るようになります。
また、シミュレーションや意思決定通知書による記録を整えることで、万一の訴訟の場合も「言った、言わない」という立証が困難な状況を排除出来ます。
そう考えて、日々業務にあたっています。
もし先生の事務所の消費税管理で参考になるような内容があれば幸いです。
ありがとうございました。
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