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消費税の管理方法について【前編】

こんにちは!古尾谷です。
消費税は非常に多くの判定と確認を必要としますね。

「簡易課税と本則課税の有利判定」、「課税事業者選択の判定」、「特定期間の判定」・・・。

さらに届出書を出し忘れていないか、送信エラーになっていないか等の確認も必要です。

本日は、弊社で行っている「消費税管理」についてお話をさせていただきたいと思います。

弊社では、社内のたくさんある管理の中でも、この消費税管理は最も力を入れています。

日税連保険サービスのサイトによると、税理士の損害賠償事例の中で、消費税が占める割合が約50%と圧倒的に多くなっています。

ちなみに法人税の割合が約25%程度ですので、会社の防衛として力を入れるべきは

「法人税<消費税」

であると言っても過言ではないでしょう。
では、弊社の具体的なチェック方法について、契約時(会社設立時)から時系列でお伝えしていきます。

① 会社設立時(委任契約時)

発起人の他社への出資情報の把握を行います。

出資している場合は、出資先の資本金と売上高の確認が必要になります。
これらの確認項目は会社設立要項のひとつと捉え、「会社設立要項確認シート」に記載していきます。

② 半期経過時

毎月定例のチームMTGにて検討会を実施しています。

「売上・原価の認識基準に間違いがないか」、「人件費と外注費の認識に間違いはないか」、「事業年度短縮による免税期間の最大化の提案漏れがないか」などを担当者とチームリーダーが検討します。
検討の結果を残すために、リストを作成して漏れが無いか等を確認しつつ、会計が進んでいないため判定できない顧客については後追いを実施します。

特に特定期間に該当するか否かの判定は、7ヶ月経過までに決算期変更をしなければいけないため、資料回収ができない顧客に対しては判定が出来ない旨の通知を行います。

③ 決算2ケ月前の初旬(第1回決算対策検討)

決算月の前2ヶ月時点で、当期の実績をベースに翌期見込みを考えて、消費税シミュレーションシートの作成をします。

「来期に設備投資を予定しているかどうか」、「輸出を開始する予定は無いか」などの消費税に関わる項目を確認し、シミュレーションシートに正しく反映されているかどうかを確認します。

半期経過時と同じく、チームMTGで担当者とチームリーダーが一緒に検討をしていきます。

④ 決算月の初旬(第2回決算対策検討)

決算月のチームMTGで再度確認を実施します。

前回からアップデートされた情報に基づいた最終的な決算対策を作成し、当期の着地予想と翌期の見込額からの消費税判定を実施していきます。

決算対策については、必ずチームMTGによる検討を経てから顧客に説明し、シミュレーションなどを納品するようにしています。
担当者ごとに提案にばらつきがあったり、ミスリードな提案があってはいけないため、決算月の検討は厳密に行っています。

⑤ 決算月の中旬から月末(消費税意思決定通知書の受領)

顧問先への説明やシミュレーションシートの納品と合わせて、説明漏れや誤解が生まれないように、書面で意思決定は記録に残します。

書面は「消費税意思決定通知書」という名前で、説明をした消費税の各決定について「はい」「いいえ」を選んでいただき、署名捺印を頂戴することとしています。
同意書に署名捺印を頂いた時点で、ここまでの確認したものをすべてドキュメントとして保存をします。

  • 消費税意思決定通知書

  • 消費税シミュレーションシート

  • 謄本(設立日と資本金確認のため)

  • 関与記録

上記をセットにして、チームリーダーの承認後、代表税理士またはオフィスの管理責任者に提出します。
代表税理士またはオフィスの管理責任者は、検討プロセスに誤りが無いかどうかの最後の検討を行い、全件の記録を業務処理簿に記載します。

⑥ 決算申告月(コロナ特例の検討)

申告時において、コロナ特例により課税方法の変更が適用できるかどうかを確認します。

もし当初検討していた課税方式を変更する場合は、新たにコロナ特例用の意思決定通知書を作成して社長に署名捺印をいただきます。
特例承認申請書等の提出が必要なときは申告確認まで行います。

このような時系列で1年を通して消費税の管理を行っています。

今回は消費税の管理について、「1社ずつどのように消費税を管理しているか」についてお伝えをしました。

次回は管理者目線から、消費税管理をどのように行っているかについてお伝えしたいと思います。


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