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教育で「厳しさ」はどう出すのか?

新人教育での“厳しさ”は、どういったときに、どう出すべきか?

これは、教育の真髄ではないでしょうか。

激しい怒声やパワハラのような厳しさがNGであることは、昨今では当然のことです。
かと言って、褒めて承認するだけで新人は成長するかというと、必ずしもそうではないでしょう。
また、厳しさを出すのが苦手という先生も多いと思います。
かく言う私も、できれば怒らずに、ずっとニコニコしていたいタイプです(笑)。

ですが、時には心を鬼にして、新人のために厳しさを出さないといけないときがあります。
今回は、「弊社の教育における厳しさの出し方」というテーマでお話をしたいと思います。

■今、必死にやるべき時期の人が努力を怠っているとき、行動と考え方に対して厳しく指導をする

ミスや失敗のそのものへの厳しさは必要ないと思っています。
ミスや失敗は淡々と状況把握をして、感情的にならずに、被害を最小限にするリカバリーを考えて行動し、次に活かすように指導をすればOKです。

それよりもミスや失敗に至るプロセスに注目をします。
日々の行動の積み重ねが結果に繋がっていることを考えれば、仕事への取り組みや覚悟の部分を変えないと、本質的に成長はないからです。

特に、新人で最低限の税理士サービスを身に付けるまでの時期。
この時期は、必死に仕事に集中をすべき時期です。
この大事なときに、教育側が甘い言葉しか言わないと、新人は「これで良いんだ」と勘違いしてしまい、その後の成長速度は遅くなります。
中小企業の社長をお客様に持つ税理士が、仕事に対して甘い考え方では、お客様に認められて信頼されるはずがありません。

■必死に集中すべき時期の長さは、「1年」

税理士事務所の最初の1年は、会計入力、はじめての担当、決算、年末調整、確定申告と学ぶことが盛りだくさんです。
この大事な大事な1年は、仕事に全集中をしないといけません。
それは先生方もよくおわかりだと思います。

2年目以降は仕事の全体像もわかってきますし、自然とオンオフも付けられます。
そもそも、何年間もずっと仕事に全集中するのは難しいでしょう。
長い税理士としての職業人生でたった1年。
この1年は行動あるのみです。
そして、この時期に十分な行動が出来ていない人には、厳しさが必要です。

「今は、必死に仕事をやるべきとき。会社として仕事をさせたいのじゃない。あなたの人生で大事な1年だから、たくさん仕事をやってほしい。」

「なぜ税理士になりたいと思ったのか?どんな税理士になりたいと思ったのかを思い出してほしい。面接で言っていた理想像に近づけているのか。」

こういった投げかけを行い、しっかり考えさせます。

中には、奥さんから「早く帰ってきてほしい」と言われる男性スタッフもいます。
その他、いろいろな家庭事情を持つスタッフがいます。
でも、誰もが何らかの家庭事情を抱えています。
厳しいようですが、それにひとつひとつ、会社として答えていくことは不可能です。
そこは割り切って、「その人の成長に必要な厳しさ」を突きつけるのです。

「どうしてもできない」というのであれば、袂を分かつ結果になってしまうことも致し方ないことだと思います。
残っているスタッフは、みんな厳しい試練の時期を乗り超えて、周りに認めさせる成長をしてきたメンバーです。
試練を乗り越えて残ったスタッフはズレません。
放っておいても、己を高め、お客様の満足度を高めることを追い求めます。

■一番避けないといけないことは、事務所全体の空気感が弛緩して、「これくらいでいいんだ」となってしまうこと

今所属するスタッフが成長できなくなってしまうばかりか、これから入社するスタッフも仕事に甘くなっていき、どんどん悪循環に入ります。
そしてお客様にもご迷惑をかけることに繋がってしまいます。

そもそもスタッフに優しく接しても厳しく接しても、顧問先が求めるサービスレベルは同じです。
それであれば、最初に覚悟を持たせたほうが、そのスタッフの中で、「今の現状」と「求める水準」のギャップを受けいれやすくなるのです。
優しい言葉だけを掛けて、求めるものだけが高いと、「今まで認めてもらっていたのに、急に態度が変わって、無茶を言われる。」と不満につながります。

成長できる環境や教育制度は、用意できたとしても、頑張れるかどうかは本人次第です。
仕事を楽しむために、超えるべき壁がある。
税理士という仕事を勘違いさせず、「厳しさの先にやりがいのある仕事がある」ということを伝えることが、教育で大事なことではないでしょうか。

弊社では、普段は優しい教育が行われています。
ですが、この厳しさだけは今後も失うことなく新人に突きつけていくことこそ、実は一番の優しさだと思っています。


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