9. 「自分や自分のチームの目標、目指すところを自分の言葉で語る」を実践する

前回、「自分や自分のチームの目標、目指すところを自分の言葉で語れる大切さ」というテーマで、自分の言葉で自分の目指すところを語る大切さとそこに至る考えみたいなものを話させていただきました。なぜそれをするのか?を一人ひとりが腹落ちした状態になっていることが望ましいのではないかという内容です。
では、その状態にするために取り組んでいることを1つご紹介します。

最終的には「自分のチームの目標を自分の言葉で表現し語れる状態にし、今の自分の役割がそこにつながっていることを理解する」の状態にする実践

この取組は1日かけて、下記の流れを実施しますが、1日の最後のゴールは「自分のチームの目標を自分の言葉で表現し語れる状態にし、今の自分の役割がそこにつながっていることを理解する」ことにあります。

すでに皆様のチームや組織には目標やミッションの定義がありますか?その言葉をメンバー1人1人が自分なりに理解してそこに邁進していけている状態が理想ですね。
また、メンバー1人1人の役割や現状がちゃんとその目標や目指すところにつながっていることが理解できれば、もっともっと日々の仕事や業務にやりがいを感じることができるはずですし、その役割が実際にどう誰に役に立っているのか?それを実感できることも、日々のモチベーション維持には大切なことではないかと思うのです。
なかなか普段そういう部分に触れることはないと思うので、過去を振り返りつつ自分の役割がどう未来につながっているかをじっくり考えながら、現状がどう役に立っているか?を実感し、その未来を想像するためのワークです。

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自分の入社動機「なぜここに来たのか?」を振り返ってみる

なぜこの会社や組織に来たのか?なぜ多くの選択肢の中からここを選んだのか?過去の今までの経緯を振り返り、自分の入社動機やその時の気持ちを思い起こして書き出してみます。そのときに考えていた気持ちや想いを正直に書き出してみます。
普段業務に向き合っているとどうしても視野が狭くなってしまい、そういう根本的な想いを意識できない状況になってしまいます。転職の決意や新しい道を歩みだすのは大きな決断だし、勇気がいります。それを全員が成し遂げてきたわけなので、その勇気にはそれなりの裏付けがあるはずです。それを思い出してみて、自分がここにいる理由のきっかけとなったこと、どんなことが決め手になったのか?そのときに何を成し遂げたくてこの決断をしたか?を書き出してみましょう。

書き出せたら、参加者に自分の気持ちを知ってもらう

昔を振り返りつつ、過去の自分の想いが書き出せたならば、その自分の気持や想い、感情を参加者のメンバーに知ってもらいましょう。1人ずつその入社動機の内容を共有していきます。周りのメンバーはその内容をじっくり聞いて、その人の過去の想いや経緯を理解しましょう。
話を聞きながら、質問提案リクエストはOKです。誹謗中傷お説教は必要ありません。その人にはその人の今までの人生や考え方があって現在に至っているので、その思いや熱意、決意を感じ取れる時間にしましょう。

今のチームでの役割を洗い出してみて、それがどう周りに影響を与え役に立っているかを理解する

今の業務での自分の役割、重要だと思うミッションを3つほど付箋に書き出してみます。付箋の色は例えば水色にしましょうか(何色でもいいですが、今後のアクションと区別できるものを1つ選びます)。
普段の自分の業務を振り返ってみて、どういうことをやっていて、それぞれの役割がどういう風に役立っているのか?誰のためになるのか?などのことを思い浮かべて、代表的なもの3つを水色の付箋、1枚に1つずつ書き出してみます。
以下のように書き出して貼り付けてみます。模造紙のようなリアルなものを用意してそこに張り出してもいいですし、Google Slideのようなオンラインツールで記載してもいいかと思います。他の参加者の皆さんと共有できる形で書き出してみましょう。

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自分の役割が多くの影響を与え、役に立っていることを理解する

今度は、一人ずつその業務内容を見ていきます。
そのタイミングで聞いている人はその人の業務や役割を聞きながら、「それをやることで誰がどういう風にうれしいのか?」を考えていきます。
今度は黄色い付箋を持ちましょうか。付箋に「それをやることで誰がどういう風にうれしいのか?」を書きながら本人の話が終わったら、書けた人から発言をして本人に伝えてあげながらどんどん貼り付けていきます。
「それをやることで誰がどういう風にうれしいのか?」はより現実的なものから飛躍したものまで含まれて問題ありません。大抵の役割は深ぼっていくと世界レベルの貢献につながっています。

例えば、役割が「新人さんを育成する」であれば、
「新人さんを育成する」⇒ 「新人さんが業務を覚えられてうれしい」
「新人さんを育成する」⇒ 「新人さんが育つのでリーダーがうれしい」
「新人さんを育成する」⇒ 「新人さんが活躍して会社の売上に貢献するので社長が嬉しい」
「新人さんを育成する」⇒ 「新人さんが活躍して売上が上がり株価が上がるので株主の皆さんが嬉しい」
「新人さんを育成する」⇒ 「弊社の商品が沢山売れるようになるので、世界の経済発展に貢献できるから世界中の人が嬉しい」

「オフィスを清掃する」であれば
「オフィスを清掃する」⇒ 「みんなが気持ちよく働けてオフィスで働いている人みんなが快適でうれしい」
「オフィスを清掃する」⇒ 「オフィスがいつもきれいなので、ビル管理会社の人たちが嬉しい」
「オフィスを清掃する」⇒ 「きれいなオフィスの評判が立つのでビル所有者が嬉しい」

このように思ったことを躊躇せず書き出してみます。
当然ながらここでも誹謗中傷は必要ありません。「お前の業務はだれの役に立っていない」など決してありません。すべての役割は必ずなにかに役に立っていますし、それを必要としている人がいます。

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自分の組織のリーダーが、みんなに自分のチームの目標とその意味を語る

ここまでで、過去と現在の自分の役割が洗い出し終わりました。
自分がこのチームに来た思い、それと自分の今の業務をシンクロさせ、整理できましたでしょうか。
ここで、自分のチームのリーダーに自分のチーム目標/ミッションを語ってもらいましょう。目標の内容、その真意、後ろに隠れた思い、目標を達成することの意味は?など、そういったものをリーダー自らの口で語ってもらい、それを参加者は聞きながら、言葉の意味を理解しつつ、リーダーの思いを理解しつつ、自分の役割と、参加者のメンバーが書いてくれた「誰がどういう風に嬉しいのか?」を整理していきましょう。

自分のチームの役割、ミッションを自分の言葉で置き換えてみる

過去と現在の自分の役割が洗い出し終わり、自分のチームの目標/ミッションの理解が深まった状態になりました。
さあ、その上で自分のチームの目標/ミッションを自分の言葉で書き表してみます。過去の入社動機、今の自分の業務役割内容、それがどこにつながっているのか?を整理しつつ、自分のチームはどこに向かうべきなのか?何を成し遂げるべきなのか?自分の中で整理して言語化していきます。

自分の言葉で書いたチーム目標を参加者に共有し、フィードバックを受けながらブラッシュアップする

自分で言語化した自分なりのチーム目標を、参加者に共有してみます。
参加者はその人の思いや意見を聞きながら、その書き出してくれた目標の内容が更に良くなるように、その人の思いや背景が伝わるようにするにはどうすればいいか?どういう文言を使ったらいいかなどをフィードバックしてあげましょう。
あくまで目的は、その本人から出てきた言語化をより良くするために助けることが目的です。毎度で恐縮ですが、ここでも批判や誹謗中傷は必要ありません。どういう言葉や内容がでてきてもそれがその参加者の方の真意です。合っている間違っているというものでもありません。答え合わせをするのが目的であるのならば、この流れの時間は意味がないので、別のやり方をする必要があります。

フィードバックを受けて、自分なりのブラッシュアップをして、最後に「これだ」というものを共有する

自分で言語化してみて、みんなに聞いてもらって、フィードバックしてもらった内容をふまえて再度自分の言葉を磨いていきます。どういう言葉を使ったら伝わるか、どういう内容を盛り込むとよいか?相手に伝えるときにはどういう風に発言すればいいか?などを考えながら最後に「これだ」というものを共有します。
とはいえ時間の都合もあるので、あまり長く時間をかけて考えられないと思いますが、その時点で最善だと思うものでいいと思います。そこで出てきたものが自分なりのチーム目標、自分の言葉で語ったものになるのだと思います

最後に

この機会で何を得たかったのか?
他人事になりがちなチームの目標やミッションを自分の言葉で語ることで腹落ちしてもらうことだったと思います。
この一連の流れの中で、自分がなぜここにいるのかに立ち返り、自分の今の業務が誰にどう役に立っているのかを理解し、最終的に自分の言葉で表現できる状態になったのではないかと思います。
とはいえ、これで完璧なわけでも無いですし、今後も自分の中で考え続けることでより自分なりの言葉がブラッシュアップしてくるはずです。
自分で自分の今の状態を未来に繋げられて意義を見出せている状況であれば、今後もモチベーション高く業務遂行に当たれるのではないでしょうか。

そして何度も言うようですが、こういう場を作る場合、雰囲気作りや言いやすい環境を整えることが大事です。ひとりひとりの気持ちを表現することが醍醐味ですので正解不正解もありません。答え合わせをすることが目的ではありませんので、誹謗中傷説教を始めてしまうと人は自分の気持ちを正直に出すことはできなくなってしまいます。そういう目的であれば別の手立てをすべきだと思いますので、その前提をご理解いただけますと幸いです。


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