明日歌う新曲『SOUL FOOD』の歌詞を貼っておきます。 料理の曲です。 15世紀、コロンブスの新大陸発見から、アメリカの奴隷制、21世紀、ジョージフロイドさんの死まで。

新曲『SOUL FOOD』の歌詞を貼っておきます。明日の配信で歌うよ。

15世紀、コロンブスの新大陸発見から、アメリカの奴隷制、21世紀、ジョージフロイドさんの死、そして日本でも尽きることのない差別、支配、抑圧、搾取。

911fantasia「荒野」や、兵士A「ぼくらのひかり」などに連なるスタイルの詩作だと思いますが、
今回けっこう跳ねた感じのセクションがある、ノリの良い曲なので、普通の音楽イベントでも披露しやすいかもしれません。
(まあこれまでフェスとかでも妥協なく、ややこしい曲をやり続けてきましたけどね…)
あと、この内容をあくまでも「料理の歌」としてまとめられた部分で、自分自身の成長というか、新しい切り口のようなものを感じて、気に入っています。

「SOUL FOOD」というのはアメリカの黒人奴隷が生み出した料理の数々を指す言葉ですが、アメリカに限らず、世界中の被差別民のあいだに、厳しい制約の中で工夫と知恵によって生み出されたレシピがあります。
日本にも。
とても美味しいのだけど、「うまい!」だけで終わらせることが出来ない複雑な味わいがそこにあります。

この曲を作った理由は、こちらの記事に。

友人の思いがけない提案がきっかけになりました。
調理中のキッチンの響きとセッションします。^^
おなかがすいてしまいそうだな。
明日のLIFE HOUSE、お楽しみに。

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SOUL FOOD(仮)

クリストファー・コロンブス 15世期の半ば、ジェノバで生まれた探検家
大航海時代の高揚は彼を 未だ見ぬ新大陸へといざなった
過酷を極めた船旅の中で、空腹を満たせないとき、コロンブスは架空の卵にひびを入れ、船室のテーブルに立ててみせた。
遥か海の向こうでは、やがてインディオと呼ばれることになる赤い肌の人々が、
岩壁のコンドルたちの卵の表面に、すこしの異変を見つけた。
果てしない暴力や、疫病の兆候を。
コロンブスの上陸後、1492年からのたった4年間で、彼らの3分の2が殺された。

1619年
最初の黒人奴隷が新大陸アメリカに降り立った。
奴隷船の船底は苦痛に震える黒い肌で満たされ、
時々誰かが瞬きすれば、宇宙空間に灯る生死不明の星々が織りなす数千光年前の約束のよう。
荒波に激しく揺らされるたび、もろい卵の殻のように船体はきしんだ。
しかし故郷を奪われ、言葉を奪われ、名前を奪われても、
彼らのリズムを奪うことは出来なかったという
そしてそのフレイバーも

 SOUL FOOD アルケミストのように
 フライパンを揺らす 喜びに火を注いで
 SOUL FOOD アルケミストのように
 フライパンを満たす 悲しみに塩をふる もういちど もういちど 

 甘いな もうすこし 辛めで
 甘いな もうすこし 辛めでいいかな

ホワイトの農場主が 放り捨ててしまう手羽を
煮立った油のなかで踊らせる ディープフライ、ディープフライ
それを今じゃ、フライドチキンという(Hey , Colonel)

 SOUL FOOD アルケミストのように
 フライパンを揺らす 喜びに火を注いで
 SOUL FOOD アルケミストのように
 フライパンを満たす 悲しみに塩をふる もういちど もういちど 

 甘いな もうすこし 辛めで
 甘いな もうすこし 辛めでいいかな

都会育ちのあの娘のスープ 今日はなんだか懐かしい味
忘れようもない この酸味 悦びと哀しみ
遠い故郷の景色

 SOUL FOOD コンクリートのうえで
 フライパンを揺らす 喜びに火を注いで
 SOUL FOOD アルピニストのように
 フライパンを満たす 悲しみに塩をふる もういちど もういちど 

 甘いな もうすこし 辛めで
 甘いな もうすこし 辛めでいいかな 

21世紀のパンデミック 地球儀を塗りつぶす
ジョージ・フロイドの悲劇的な死を契機に 世界中で広がる声
「鍋を出せ」「フライパンを、キッチンナイフを」「もっと強火で」「ブラックペッパーを」
僕の小さな友だち、アフリカンの父親と生き別れ、日本のママと暮らす14歳
エリザベス マイディア エリザベス 
君の涙をあっという間にとめる 魔法のひとしずくをスプーンに垂らして
フライパンの上の輝く卵にさっと一振り

 SOUL FOOD

夢にまでみた味

noteでの記事は、単なる仕事の範疇を超えた出来事について、非力なりに精一杯書いています。サポートは、問題を深め、新たな創作につなげるため使用させて頂きます。深謝。