見出し画像

視力検査で姑息な手を使ってみる

今に始まったことではないが。
視力の低下に困っている。

数年前から、視力検査を受けるたびに視界のぼやけ方が増している。

私の目は、ランドルト環の開いたところが白い縦線か横線で見えるので、上下なのか左右なのかはわかる。が、上か下か、左か右かは判別し難い。

そして視力検査での一番のネックは、メガネをずーっとかけていた状態から、裸眼になっての左目である。

それと先に右目を検査してからの、左目。
検査用のメガネにしろ、目を隠すオタマみたいなやつ(遮眼子というらしい)にしろ、左目を隠して暗闇に慣れてから再び光の世界で開眼――というのは、かなりしんどい。より一層見えにくくなる。

とにかく左目なのだ。
裸眼の左目。

上から2つ目のでっかいランドルト環が右だか左だか本気でわからなかったとき、いよいよまずいと尻に火がついた。

これはもう、全力で準備してから視力検査に臨まなければ。


数ヶ月後。
再び眼科を訪れた私は、待合室にいるときから計画的にすごした。

まずメガネを外し、裸眼に慣れておく。
目を閉じたり、開けたり。
近くを見たり、遠くを見たり。
壁の張り紙の文字を凝視したり、しなかったり。
スマホ画面は絶対に見ない。
目が硬直する感じがするから。

念入りに目の準備体操。
そしていざ、視力検査。

……おお! 見える。
いつもよりも見える……!
見えるぞぉーーーー!!!

やったやったと喜ぶ一方で、しかしこんな姑息な手を使って視力検査をしても良いものだろうか? とも思う。

その疑問への答えは、数日後、たまたま見ていたテレビから発せられた。視力検査でいつも以上によく見えるよう頑張るのは良いらしい。だから私がやっていた姑息な準備も、むしろオッケー。
細かい解説は忘れたが、とにかく大正解。

近頃はマスクのせいで検査用メガネのレンズが曇る問題もあるので、口元までマスクをずり下げて視力検査を受けている。頑張れるところは、これからも頑張っていく所存である。

しかし先日の視力検査で、ついに一番上がよく見えないという状況に陥った。

もはやこれまでかと思ったが、なぜか
「視力はいつもどおりですね」
と看護師さんに告げられた。

もしかしたら見えないと思ったのは、検査用メガネの度が合っていないだけだったのか。

杞憂。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?